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2017年3月13日付 2647号

石井国交大臣と全ト協幹部ら「働き方改革」で意見交換、大臣が思い切った取り組みを要請 業界は猶予期間求める

石井大臣 意見交換会の模様

 長時間労働の是正を目的に政府が進めている「働き方改革」に関連して、石井啓一国土交通大臣は7日、東京都千代田区の国土交通省でトラック、バス、ハイタクの各業界団体幹部と意見交換を行った。

 トラック関係では全日本トラック協会の星野良三会長、坂本克己副会長、福本秀爾理事長の3人が出席。国交省からは石井大臣のほか末松信介副大臣、根本幸典大臣政務官、田端浩国土交通審議官、藤井直樹自動車局長、早川治大臣官房審議官(自動車)、加藤進自動車局貨物課長らが出席した。

 冒頭あいさつした石井大臣は、政府が「働き方改革実現会議」を開催し、長時間労働の是正に取り組んでいるとした上で「日本全体の労働人口が減少する中で、自動車運送事業が魅力ある職場となり、女性や若年労働者を確保していくため、働き方の改革は不可欠」との認識を示し、各業界団体に協力を要請した。

 また「自動車運送事業は経済と国民生活を支える重要な産業。特にトラックは全産業と比較して2割も勤務時間が長い厳しい労働環境にあり、近年人手不足が強まっている。この状態を打破して、今後とも国民の期待に応えていくため、長時間労働を改善していくことが必要だ」とあらためて改善の必要性を強調。「私自身の思い」としながら「自動車運転者は時間外労働の適用除外となっているが、魅力ある産業になるために、今の仕組みを見直した方がプラスになると思う。皆さんには、ぜひ思い切った取り組みを進めていただきたい」と語り、適用除外の見直しに対して理解を求めた。

 一方で「働き方を見直すためには、荷主など関係者の理解と協力が不可欠であり、国交省としても関係省庁にも働き掛けて、必要な環境を整備したい」と述べ、行政として各団体の働き方改革実現を支援していく考えを示した。

 これに対して全ト協は「働き方改革は人手を確保するために大切であり、業界としても一層努力していく」と前向きな姿勢を示しながら「荷主の理解と協力が必要」とも語り、次の3項目について国交省の支援を求めるとともに、後日あらためて要望を行っていく考えを示した。

 ①手待ち時間の削減や高速道路を利用できる運賃の収受など、荷主の協力を得るための必要な措置。

 ②荷主の理解や取引環境の改善のためには時間が必要なことから、罰則付きの制度とするならば一定の猶予期間を設けるなど段階的な措置をとること。

 ③災害時の対応にも支障が出ないようにすること。

労働力不足の物流業、共同化の流れ絶対 新中期経営計画を発表  セイノーHD田口社長

説明を行う田口社長

 セイノーホールディングス(田口義隆社長)は10日、2017年度を初年度とする3ヵ年の中期経営計画「バリューアップチャレンジ2020~成長へのテイクオフ~」を公表。同日、東京都中央区の東証ホールで開いた説明会で田口社長は、新中期経営計画で掲げた20年3月期の売上高6090億円の目標について、「上振れする可能性もある」と述べる一方、「人手不足が一番のリスク」とし、人材の確保・育成・定着に加え、他社との協業などにも一層取り組んでいく考えを強調した。

 同社は、16年度を最終年度とする現行の中期経営計画「JUMP UP 70~未来への変革~」で、17年3月期の売上高目標を5540億円としたが、現段階では目標を上回る5610億円を予想しており、過去最高となる見込み。営業利益は過去最高を記録した16年3月期と同じ261億円を予想している。

 田口社長は、好調な業績について、オペレーションの質的向上や顧客目線での提案などが寄与したと説明。今後は、600キロメートル帯でのトラック運行の「ダイヤグラム化」や、鉄道中心の長距離モーダルシフト、日系企業の海外進出支援などを行って輸送事業を補強するとともに、自動車販売事業での自動車整備ネットワーク拡充や、物流ソリューション領域拡大などを進め、新たな中期経営計画で定めた「20年3月期に売上高6090億円、営業利益300億円」の目標達成に注力していく姿勢を示した。

 目標数値については、現段階で確定しているものをベースに積み上げた内容であるため、今後M&Aなどによる上振れの可能性は十分にあるとしながらも、「下振れリスクは人手不足」とし、人材の確保や生産性向上などに努めていくとした。

 また、労働力不足が深刻化する中、「共同化は絶対の流れ」と述べ、福山通運との提携を通じた共同運行などの取り組みを一層加速させていく必要性を強調。現在、福山通運と幹線トレーラーの共同運行について協議を進めていることを明らかにするとともに、グループ内でも西濃エキスプレスへの1~1.5トン帯貨物の移行などにより、一層の生産性向上に努めていくとした。

 さらに、今後は物流事業者の統廃合が加速するとの見解を示した上で、「その中心で着実にインフラ整備・確保を続けていく」と抱負を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(3)
     各社の施策
      日通海外
      ヤマトホームコンビニエンス
      三八五流通
      セイノー引越
      アートコーポレーション
    ☆四文字 『交通規制と「物流需要」』

  • ☆日通、新開発の機材投入し海上輸送と航空輸送の新たな保冷輸送サービス発売
    ☆国交省、テールゲートリフター補助申請の予算枠大幅超過に
    ☆全ト協が適正取引推進等の自主計画を公表、トラック下請けは原則2次までに制限の方向へ
    ☆国交省、物流考慮建築物の検討会でガイドラインの素案を検討
    ☆日通記者会が施設見学会、成田地区の利用拡大へ医療品国際温度管理サービスを強化
    ☆埼玉ト協、林家たい平師匠に3年目の無事故の達人大使委嘱
    ☆建交労東京・埼玉部会がトラックパレード、労働環境改善に向けてアピール
    ☆埼玉ト協等が安全運転コンクールの表彰式開催、329チームが無事故無違反達成
    ☆物流連が人材育成・広報委員会を開催、業界研究セミナー参加の約4割が採用選考に臨むなど高い効果確認
    ☆東ト協運輸安全委員会が総会、ドラレコを活用した新たなドラコン実施へ

今週のユソー編集室

  • ▼今年も3月11日がやってきた。あの東日本大震災の日から、丸6年が経過したことになるが、いまだに多くの方が仮設住宅暮らしを続けており、復興の道のりは遠い。
    ▼震災は物流面でも多くの苦い教訓をもたらした。国や地方自治体、業界団体、企業はその教訓を生かそうと、さまざまな取り組みを進めているが、昨年4月の熊本地震では再び物流が混乱するなど、厳しい現実を突き付けられた。
    ▼政府の働き方改革に関連して、7日に国土交通省内で石井大臣と意見交換した全日本トラック協会の星野会長は、罰則付きの時間外労働の上限規制が、災害時の支援物資輸送などに支障を及ぼさないよう配慮を求めた。
    ▼被災した方々にとってトラック輸送は、文字どおり命を支えるライフラインだ。一定の配慮は当然の話だとも思うが、一向に歯止めがかからないトラックドライバーの高齢化に、ライフラインの責務が重くのしかかることも心配になる。

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