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2017年12月4日付 2681号

モーダルシフトの推進、17年度取り組み優良事業者12社に表彰状贈る 日本通運など表彰  物流連

田村会長(左)と日通の吉岡執行役員(右)

 日本物流団体連合会(田村修二会長)は11月28日、東京都千代田区の学士会館で、2017年度「モーダルシフト取り組み優良事業者表彰式」を開催した。

 本年度は、最優良事業者賞(大賞)に選ばれた日本通運を含め、各部門賞のセンコー、フェリックス物流、マリネックス西日本、山九、日本石油輸送、鈴与カーゴネット、清水運送、日陸、濃飛倉庫運輸、日立物流、三井倉庫の12社・19件を表彰。日本通運の吉岡英執行役員やセンコーの福田泰久社長ら各社関係者に対し、田村会長から表彰状と盾が贈られた。

 同賞選定委員会の委員長を務めた竹内健蔵東京女子大学教授は総評で、日本通運の大賞受賞事例であるアサヒビールとキリンビールの関西発北陸向け共同モーダルシフトに触れ、「ビール2社が共同したことも画期的だが、単にトラックから鉄道に乗り換えただけでなく、生産拠点を見直すなど全体的なサプライチェーンを作り替えた点が大きい。参考になる良い事例であり、他の分野へも応用を期待したい」とたたえると共に「この賞も受賞がさらに増え、うれしい悲鳴があがるようになってほしい」と語り、モーダルシフトの一層の進展に期待感を示した。

新技術の開発・検証拠点であるR&Dセンタを公開、スマートロジスティクス加速へ  日立物流

ロボットによるピッキング作業

 日立物流(中谷康夫社長)は、「スマートロジスティクス」の旗印を掲げ、新技術の物流現場への導入を加速させているが、新技術の開発や検証の拠点となっている東京都武蔵村山市の「R&Dセンタ」を11月28日に報道陣に公開した。

 同社では、IoT(モノのインターネット)の進化による物流業界での革新的変化「Logistics 4.0」などの流れを踏まえ、物流ビジネスでの自動化・省人化の取り組みを「スマートロジスティクス」として推進している。

 具体的には、倉庫ロボットや自動運転の普及による省人化やサプライチェーン全体をつなげることによる標準化などの取り組みが挙げられるが、このうち倉庫ロボットなどの新技術については、すでに一部の技術で物流現場への「実装配備」が進んでいる。

 「R&Dセンタ」は新たな技術の開発や検証を目的に2016年7月に同社多摩Ⅲ期物流センター内に開設されたもので、同センター4階部分に4360平方メートルの面積を有する。

 報道公開では、「RFIDリーダ」「無人フォークリフト」「デパレタイズロボット」「Racrew(ラックル)」「ピースピッキングロボット」「画像検品」などについて、実際の作業を想定したデモンストレーションを行った。

 「エフテクノゲート」と名付けられたRFIDリーダは、段ボール箱などに梱包された商品を、かご台車などに乗せた状態のままゲートを通過することで、1.5~3.0秒程度の時間で200~300個の商品のデータを読み取ることができる。

 日立製作所の小型・低床式無人搬送車「Racrew」を活用したピッキングでは、スタッフが倉庫内を歩くことなくピッキング作業を行うことができることから、作業の3~4割を占めるといわれる歩行動作が削減され、生産性が2~3倍に向上する。すでに、15年4月から千葉県内、17年4月には茨城県内の物流施設でそれぞれ導入されており、今後も導入を加速させる計画。

 さらに、ピッキングを自動化する「ピースピッキングロボット」は、2本のアームの先に取り付けられた真空吸引式ハンドで商品をつかみ店舗配送用ケースに収める。

 1個当たりのピッキング時間が人による作業に比べ4倍程度かかるなどの課題があるが、今後はスピードを上げる検証を進めるとともに、「Racrew」との組み合わせによる24時間稼働などで生産性向上を図り、18年度中の物流現場への導入を目指している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運中部警送支店が警送年末防犯訓練大会開催
    ☆四文字 『近代化の途「大手役割」』

  • ☆日通が羽田空港貨物センターに最新自動仕分機を導入、処理能力従来型の1.88倍に
    ☆欧州日通、日系フォワーダーで初めてモロッコに支店開設
    ☆全ト協、交通事故防止へ各地方トラック協会に緊急要請
    ☆国交省、健康起因事故対策協議会が脳血管疾患対策ガイドラインの最終案を了承
    ☆物流連田村会長が会見、労働力不足の逆境乗り越えるため業界の主体的な取り組み重要に
    ☆国交省の奥田自動車局長が会見、ホワイト経営の“見える化”は来夏に制度を決定
    ☆ヤマト運輸、「EC-CUBE」と「カラーミーショップ」へ自宅外受け取り機能の提供を開始
    ☆首都圏キット利用協組が8日に20周年記念式典開催へ、加入事業者数順調に増加
    ☆東ト協出版・印刷部会が懇親会、土曜休配の増加が各業界で賛否両論に
    ☆JR貨物が来年1月1日付で日本オイルターミナルとOLSを合併、危険品の総合物流業展開へ
    ☆JR貨物、東京貨物ターミナル駅の事務所棟など竣工
    ☆日本郵便、「ゆうグローバルエクスプレス」利用の中国個人宛て配送サービス開始
    ☆エコモ財団、グリーン経営認証永年登録2社にラッピング車両を施工

今週のユソー編集室

  • ▼会社の事務所が東京の秋葉原にあるためか、近年話題となっている訪日外国人観光客の大幅な増加を、日々実感している。街中を歩いていて、外国語が耳に入ってこない日はないといってもいい。
    ▼日本政府観光局によると、2016年(暦年)の訪日外客数は15年度比22%増の2404万人、17年は10月までで18%増の2379万人に達した。大幅増には違いないが、政府目標である「2020年に4千万人」の実現に向けて、さらなる取り組みも求められている。
    ▼国土交通省の近畿運輸局は今月から、関西全域の観光・宿泊施設を対象に、多言語で記載された「手ぶら観光・利用ガイドブック」の配布を始めた。
    ▼ヤマト運輸や日本郵便とも連携し、宅配便の利用方法や伝票の記入方法、料金表などが収録されているという。外国人旅行者には、日本食のおいしさと共に、サービスの便利さも存分に堪能してもらい、またの来日を心待ちにしたい。

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