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2020年4月27日付 2791号

物流MaaSの実現へ、目指すべき将来像や今後の方向性示す 経産省

 経済産業省は20日、物流分野の新たなモビリティサービス「物流MaaS(Mobility as A Service)」の実現に向けたトラックの今後の取り組みなどに関する方向性を盛り込んだ勉強会の取りまとめを公表した。

 経産省では、自動車産業でのコネクト、自動走行、モビリティサービス、電動化のいわゆる「CASE」への環境変化や物流でのドライバー不足、荷主・配送ニーズの多様化などの変化を踏まえ、物流の目指すべき将来像や実現に向けた取り組みの方向性などを検討するため、2019年12月に「物流MaaS勉強会」を設置。有識者、トラックメーカー、EC事業者、物流事業者などが参加し、幹線輸送、結節点、支線配送(域内~末端)で、それぞれのプレイヤーが取り組むべき方向性などについて検討してきた。

 取りまとめでは商用車メーカーは、荷主・運送事業者・車両の物流・商流データの連携と物流機能の自動化の「合わせ技」で最適物流を実現して物流の付加価値向上を目指す「物流MaaSの実現像」に向けて、荷主・物流事業者などのプレイヤーが進める物流効率化に対しコネクテッド化やデジタル技術の活用を通じて共同輸送や混載配送、輸配送ルート最適化などを後押しすることが必要であると指摘。

 実現に向けては、日本版FMS(車両運行管理に必要となるトラックデータの標準仕様)標準などを活用し、複数メーカーのトラック車両データを収集してトラックデータ連携の仕組みを確立するなどの具体的なアクションの推進を盛り込んでいる。

新型コロナウイルス対策で全ト協に事業者への後押しを緊急要請  運輸労連・交通労連

要請文書手交の模様、左から佐々木書記長、難波委員長、桝野理事長

 運輸労連(難波淳介委員長)と交通労連(園田龍一委員長)は17日、全日本トラック協会(坂本克己会長)に対して、新型コロナウイルスに関する緊急要請を行った。

 緊急要請は◎マスク・消毒液等の衛生用品◎トラック運輸産業に対する国民の理解と協力◎感染時の補償と雇用調整助成金のさらなる拡充◎食品関連輸送の平常化◎感染者が発生した場合の対応方法◎トラック運輸産業に対する諸負担の軽減―の6項目。

 当日は、運輸労連の難波委員長と交通労連の佐々木弘臣書記長が、全ト協の桝野龍二理事長に要請書を手交。難波委員長は「トラックの仲間は厳しい環境下で頑張っているが、健康面の不安で退職を考えている者もおり、人手不足の加速が危惧されている。ドライバーの健康と雇用を守りながら、物流崩壊を発生させないために要請する」と述べ、これに対して桝野理事長は「感染の影響が出てきており、現場従事者へのリスペクトに欠けた事案も散見される。厳しい環境下で頑張っている事業者の後押しになるようなメッセージを発信しなければならない」と答えた。

 引き続き両労連は、文書に加え◎感染リスクを負いながら使命感をもってトラック輸送を継続していることについて、行政やメディアを活用した国民への情報発信◎従業員に対する企業の「支援金」支給の取り組み推進―などを追加要請。全ト協は「いずれについても引き続き関係各所に対応を強く求めていく。具体的事例などの情報提供をお願いしたい」と回答した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(145) 『新型コロナの感染拡大が駄目押し(その3)』
    ☆四文字『資本の増大へ「拡大傾向」』
    ☆トラック運送業における働き方改革のヒント(6)
    ☆日中ビジネスワンポイント(198) 『日中漢字について』

  • ☆国土交通大臣がトラックの標準的運賃告示、改正事業法の「目玉」政策
    ☆JR貨物・大和ハウスが札幌レールゲートの施設概要など発表、22年竣工予定
    ☆全ト協が20年度のGマーク申請を7月1日~14日に受け付け、新型コロナで特例も

今週のユソー編集室

  • ▼いつもより閑散とした街頭を、出前サービスの自転車が疾走していく。いまや日常風景と化した街を歩きながら、漠然とコロナ後の物流を考える。
    ▼非対面ニーズの高まりは、宅配や引越にどのような影響を与えるのか。省人化・省力化機器の導入は、ますます加速していくのか。そして、大打撃を受けつつある経済情勢下で産声をあげた標準的な運賃の行方は…。
    ▼今まで災害時に力強く支えてくれた物流の「つなぐ」機能は、関係者の懸命な努力により、今回も変わらず力を発揮している。一部の人から浴びせられる無理解な言動を嘆く前に、物流への理解が深まるよう、微力を尽くしていきたいと思う。

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