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2020年8月10日付 2804号

次期大綱に省力化等の課題や対策盛り込む SIPも着実に  久保田国交省公・物審議官

久保田審議官

 7月21日付で就任した国土交通省の久保田雅晴大臣官房公共交通・物流政策審議官は8月4日に会見し、物流分野でのデジタル・AI活用による生産性向上には、さらなる標準化が求められているとの認識を示すとともに、年度内の閣議決定を目指して策定に向けた検討を進めている次期総合物流施策大綱には、省力化や自動化を推進する上での課題や対策を盛り込むとの考えを明らかにした。

 久保田審議官は会見の冒頭、「新型コロナウイルスの感染が広がる中、国民の生活を支えるエッセンシャルサービスを提供している公共交通や物流の事業者、現場の方々にまず感謝を申し上げたい」と述べた。

 物流については、「人々の生活や経済活動を支える社会インフラとして、新型コロナや自然災害などの影響下にあっても、サプライチェーンをしっかり支える役割が求められている」とし、デジタルやAIを活用した生産性向上には、さらなる標準化を進める必要があると指摘。

 また、新型コロナにより、BtoC物流が伸びたことで人手不足が顕在化したことに加え、非接触でのオペレーションやサービス提供が求められていることなどから、省力化や自動化を進める必要性が高まっているとの考えを示し、次期大綱の策定に当たっては、経済産業省や農林水産省などと連携しながら、標準化や省力化、自動化を阻む課題や対策を盛り込む姿勢を強調した。

 SIPスマート物流については、あまり高すぎる目標を掲げず、少しでも標準化につながる取り組みを着実に行っていくとした。

 【久保田雅晴(くぼた・まさはる)大臣官房公共交通・物流政策審議官略歴】1964年8月生まれの56歳。奈良県出身。88年に東大工学部を卒業し、運輸省に入省。近畿運輸局自動車交通部長、大臣官房人事課長、航空局航空ネットワーク部長などを歴任し、2019年7月から前職の大臣官房総括審議官を務めた。

 趣味は街歩きとストレッチ。仕事の本質は現場にあると考えているので、現場の話をよく聞くことを心掛けている。

クラウド型プラットフォーム導入 決算業務の標準化等 リモートできる経理へ  日通

 日本通運(齋藤充社長)は3日、決算業務の標準化・可視化・自動化の実現と、経理業務の負荷を削減する「リモートワークできる経理部門」を目指し、クラウド型決算プラットフォームを導入したと発表した。

 ブラックラインとSAPジャパンとの協業ソリューション「エスエーピー・アカウント・サブスタンシエーション・アンド・オートメーション・バイ・ブラックライン」を採用したもので◎口座残高をはじめとする諸勘定の照合作業や勘定整理の自動化◎グループ各社の決算タスクの標準化と決算進捗状況のモニタリング◎Excelなどによる属人的なタスク管理からリアルタイムに可視化されたタスク管理への転換◎決算業務プロセスの可視化によるグローバルガバナンスの強化―などに活用するとしている。

 今後、第1フェーズとして、本社と一部の子会社に「タスク管理」「勘定照合」の二つの機能を導入し、段階的にグループ全体で決算の入力作業、確認作業の効率化を目指していく。

 また『日通グループ経営計画2023』に掲げる重点施策「営業・事務生産性の向上」「IT戦略のイノベーション」「持続的な企業価値向上を支える仕組みを構築」の実現に向け、日通グループとしての経理・経営基盤となるシステム構築を推進していく方針。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(111) 『中国の物流コスト削減における情報技術応用の加速』
    ☆四文字『東名神の道路「貨物輸送」』
    ☆日中ビジネスワンポイント(201) 『今年の中国統一大学入試』
    ☆人物ウィークリー、国土交通省自動車局・坂巻健太総務課長

  • ☆トナミHD、新生倉庫運輸の株式取得し連結子会社化
    ☆運輸労連の難波委員長が会見、エッセンシャルワーカーとしての使命感だけでは限界に
    ☆国交省の秡川自動車局長が就任会見、さまざまな取り組みにチャレンジ
    ☆山九、来年3月にマレーシアのポートクラン港にアジア・ハブセンター開設
    ☆セイノーHD、神戸市でドローンを活用した配送サービスの実験
    ☆全ト協・日貨協連、7月のWebKIT成約運賃指数は前同比10ポイント減の114に
    ☆丸運が中計の定量目標を公表、新型コロナは20年度下半期から回復に向かい最終22年度に利益増へ
    ☆西濃運輸、滋賀県と包括的連携協定を締結
    ☆SBSHDの鎌田社長が決算会見、今後も施設の開発進め4PL拡大目指す
    ☆SGHDが特別治療休暇制度を新設、安心して長く働ける環境構築へ
    ☆三井倉庫サプライチェーンソリューション、デジタルトランスフォーメーションでコンサル会社と提携
    ☆アート、オンライン見積もりの引越新サービス「ミライ」を開始
    ☆全ト協が社整審国土幹線道路部会で要望、日本経済回復まで高速道路料金大口・多頻度割引実質50%の適用を
    ☆線ト協、新型コロナ感染予防のマニュアルを策定
    ☆東ト協物流政策委、リモート形式で初開催
    ☆LEVOが連結トラックやスワップボディへの導入補助、31日まで2次公募
    ☆物流各社の21年3月期第1四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼梅雨が明け、各地で猛暑が続いている。マスクをしながらの運転や荷役、配達に当たる物流関係者の苦労を思う。
    ▼そんな暑さとは対照的に、物流各社の2021年3月期第1四半期決算の内容は冷ややかだ。toC向けの宅配などは善戦しているものの、業種や荷種によっては、新型コロナの影響を大きく受けている。
    ▼前期決算発表時に多くの企業が「未定」としていた21年3月期通期予想も厳しい見通しがほとんどだが、物流を止めることは許されない。
    ▼規模の大小だけではなく、新たな社会生活や経営環境に対応し、備えを積み上げた企業が、この国の物流、そして国民生活の次世代の担い手になっていくだろう。

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