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2020年9月21日付 2809号

WebKIT2で標準的な運賃算出、簡易計算機能追加  日貨協連

WebKIT2の「標準的な運賃」の簡易計算機能画面

 日本貨物運送協同組合連合会(吉野雅山会長)は16日、求荷求車システム「WebKIT2」で国土交通大臣告示の「標準的な運賃」による運賃額をシミュレートできる簡易計算機能を追加し、提供を開始した。同機能はスマートフォン版も近日中にリリースされる予定で、客先などでも容易に標準的な運賃に基づく運賃額を計算・提示できることから、新型コロナウイルス感染拡大による景気低迷などで立ち遅れている標準的な運賃の普及が加速するものと期待される。

 「WebKIT2」は昨年5月、それまでの「WebKIT」を15年ぶりに刷新する形で提供を開始。スマートフォン専用アプリの提供やマッピング地図からの検索、SNSとの連携など、最新のIT技術を活用したシステムとすることで、「使い勝手」を大幅に向上させ、2018年度末に5259だった会員ID数も20年9月15日には6千を突破するなど、会員から絶大な期待と信頼を集めている。

 一方で、米中摩擦や消費増税の影響などで、18年度に210万件だった情報登録件数は19年度160万件まで低下。20年度も新型コロナの影響により8月末時点で34万件程度にとどまっており、19年度を大幅に下回っている。

 こうした厳しい事業環境に対し、日貨協連では会員の経営基盤強化や輸送効率向上などを目的に、適正運賃収受を後押しするため標準的な運賃の簡易計算機能を追加するとともに、適正取引推進に向け「WebKIT適正取引ガイドライン」を策定し、不適切行為の明確化を図った。

 標準的な運賃の簡易計算機能では、会員ログイン後のページから「標準的な運賃の計算」を選択し、「距離制」「時間制」のいずれかを選んだ上で地域と車種、距離を入力すると、標準的な運賃額が表示される。

 スマートフォン版もアンドロイド版・iOS版ともシステムはすでに完成しており、アプリ管理会社の承認が得られ次第リリースする。

 「WebKIT適正利用ガイドライン」は、新型コロナによる経済の停滞を背景に、求車件数の減少が発生し、取引秩序の低下が指摘されていることを踏まえ、モラルの低下を招く可能性がある行為に対して運営規程にモラル基準を追加するとともに、規約・規程の適用に関するガイドラインを整備し、不適正な取引の抑制を図る。

 ガイドラインは、文書やWebKITサイト内に掲載するほか、システムを利用する担当者が十分に理解できるよう具体的事例に関する動画を制作してWebKIT内のE―learning機能やWeb研修の教材として周知を図る。

 また、ガイドラインに基づいて不適切な希望運賃の入力や要件を満たさない情報の登録を制限する機能を来年10月のリリースを目指してシステムの改修を進める。

テレワーク制度拡充で新たな人材層採用 範囲拡大と手当支給  SGHD

SGホールディングスのテレワーク制度の概要

 SGホールディングス(荒木秀夫社長)は9月1日から、テレワーク制度を拡充した。テレワーク制度の対象範囲拡大とテレワーク勤務頻度に応じた手当を支給し、テレワーク勤務にかかる従業員の費用負担を軽減することで、新たな人材層の確保や従業員が勤務場所にとらわれることなく新しい働き方を選択できる環境を整備したもの。

 これまでの制度では、テレワークの対象範囲は正社員、嘱託社員とし、その中でも、社会人経験3年以上かつ入社後半年以上経過した者と限定していた。今回の制度拡充により、正社員、嘱託社員に加え、パートナー社員まで対象を拡大し、社歴の制限を撤廃することにより、入社間もない従業員などでもテレワーク制度を利用することが可能になり、通勤が働く際のハードルとなっていた障害者や地方採用など新たな人材層の採用を目指していく。

 また、1ヵ月当たりのテレワーク勤務頻度に応じた勤務形態に分類することで、個人の働き方に応じた手当の支給を実現。

 これまで従業員が負担していた在宅勤務にかかる費用負担を軽減し、従業員がより積極的にテレワーク制度を利用できる環境を目指していく。

 同社では引き続き、IT環境の強化やウェブ会議を利用した会議・研修、ペーパーレス化など業務スキームの見直しや業務のオンライン化を図りつつ、順次、国内事業会社全体でのテレワーク制度拡充を進めていくと同時に、評価制度の見直しや部下との適切なコミュニケーション方法など評価者側の教育を行い、新しい働き方に適した人事評価の実施に向け取り組んでいくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・秋の全国交通安全運動
     インタビュー―国交省自動車局安全政策課長・石田勝利氏
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会文京支部・星野昌康支部長

  • ☆国交省の石田総政・上原鉄道の両局長が就任の抱負など語る、新型コロナ対応やJR貨物の評価など
    ☆ヤマト運輸労組が定期大会をウェブ開催、会社の事業構造改革は現場の理解が重要
    ☆国交省が第3回「2020年代の総合物流施策大綱に関する有識者検討会」開催、物流関係者が要望や課題などプレゼン
    ☆国交省が第2回「2020年度の総合物流施策大綱に関する有識者検討会」、物流高度化推進はデジタル化がカギ
    ☆経団連が2021年度税制改正に関する提言公表し自動車重量税の「当分の間税率」の早急な廃止求める
    ☆全日通商事労組が会場とオンラインでつなぎ第40回定期大会を開催
    ☆JR貨物がグラウンドデザイン第1号の新総合事務所を東福山駅に完成、用地生み出し活用
    ☆JR貨物真貝社長が定例記者会見でコロナ渦の半年振り返る、貨物鉄道の使命の重要さを再認識
    ☆東ト協物流政策委員会が働きやすい職場認証取得助成に750万円を予算化、申請受付中
    ☆三菱倉庫が鮮魚航空輸送の実証実験、ニューヨーク向けトレーサビリティ
    ☆埼玉ト協が県警主催の反射材付きエコバッグ贈呈式に協賛、連携して事故防止図る

今週のユソー編集室

  • ▼菅義偉内閣が16日に誕生し、国土交通大臣に赤羽一嘉氏が再任された。安倍政権の継承を掲げ、実務を重視した布陣と伝えられている。国交大臣には「GoTo」施策の推進という任務も課されており、特に継続性を重要視したのかもしれない。
    ▼継続性ということなら、物流業界とて例外ではない。物流施策大綱の策定、標準的な運賃の普及、物流規格の標準化、改善基準告示の改正など、喫緊の課題や実現に向けて高いハードルが予想される課題が目白押しだ。
    ▼新型コロナウイルスが猛威を振るう中、物流の諸課題解決に行政の後押しは不可欠となる。政治の混乱で足を引っ張られることだけは、ごめんこうむりたい。

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