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2020年10月19日付 2813号

ソフトバンクと新会社を設立、トラック配車システムや荷主マッチングサービスも 物流DXを支援へ  日通

 日本通運(齋藤充社長)とソフトバンク(宮内謙社長執行役員兼CEO)は、物流業界のデジタルトランスフォーメーション(DX)を支援する新会社を共同で設立し、15日からトラック輸送を担う物流事業者向け配車支援サービスの提供を開始した。

 両者が設立した新会社「MeeTruck」(ミートラック、横井直樹社長兼CEO)は、物流事業者向けアプリケーションサービスの開発・販売を事業内容とし、株主構成はソフトバンク51%、日通49%。

 新サービスは、トラック輸送を担う物流事業者向けのクラウド型配車支援サービスで、受注した運送業務の案件登録やトラックの割り当て、勤務計画表の作成などを、場所や時間にとらわれずウェブアプリケーション上で誰でも簡単に行うことができ、デジタルデータとして一元管理することが可能。

 ソフトバンクが企業のDXを支援する中で得た知見と、日通が長年培ったロジスティクスに関する豊富な知見を生かし、運用しやすく操作性に優れたサービスを低価格で提供し、業務効率化を支援する。今後は、サービス利用者の要望を基に柔軟・継続的にサービス開発・改善を行い、受発注や実績管理等の機能を拡充する予定。

 さらに、第2弾として、物流事業者・荷主企業向けに、両者をつなぐマッチングサービスの提供を2021年度中に開始する予定で、貨物を探す物流事業者と、トラックを探す荷主企業が、それぞれの条件に合う貨物やトラックを簡単に見つけることができる。

 将来的には、第1弾の配車支援サービスの提供で知見やデータを基に、AIなどの先端テクノロジーを活用し、サービス利用者のニーズや傾向に応じた、より高品質なマッチングの実現を目指す。

 ソフトバンクは、通信事業を基盤に最先端テクノロジーを活用した新規事業の創出および産業のデジタル化を推進しており、その一環としてDXによる物流業界の変革に注力。物流のサプライチェーン全体の最適化を目指し、ラストワンマイル配送やIoT宅配ボックスに関する実証実験を行っており、今回新たにトラック輸送領域に取り組む。

 日通は、グローバル市場で存在感を持つロジスティクスカンパニーに成長することを目指し、顧客や社会にとって新たな価値につながる変革(イノベーション)を提供し続けることが必要であると考え、これまでに倉庫業務での自動走行フォークリフトや自律協働型ピッキングロボットなどの技術を積極的に導入してきたが、今回、社外のステークホルダーも多いトラック輸送の現場にDXをもたらすため、新たな取り組みとしてソフトバンクとの共創により、革新的なサービスの提供を通じ、物流業界の変革を目指す方針。

2020パッケージングコンテスト経産大臣賞にSGL、日立物流は3部門受賞  包装技術協

経産大臣賞を獲得したSGLなど4社の「カートン・ラップ」

 日本包装技術協会(矢嶋進会長)は9日、同協会が主催する「2020日本パッケージングコンテスト」の各賞を発表したが、最高位となる『経済産業大臣賞』に佐川グローバルロジスティクス(SGL、森下琴康社長)など4社が、『経済産業省製造産業局長賞』『適正包装賞』『大型・重量物包装部門賞』に日立物流(中谷康夫社長)が、それぞれ選出された。

 このコンテストは、材料、設計、技術、適正包装、環境対応、デザイン、輸送包装、ロジスティクス、販売促進、アイデア等あらゆる機能から見て年間の優秀作品を選定するもの。

 このうちSGLの取り組みは、東京都江東区に所在するSGホールディングスグループの「Xフロンティア」において、同社が新たに導入した自動包装システム「Carton Wrap(カートン・ラップ)」を提供するアルテックと王子ホールディングス、王子コンテナー、SGLの4社が共同で受賞したもの。

 緩衝材など梱包資材の削減や段ボール箱の在庫品種の削減、梱包作業の省人化、梱包サイズの最適化による物流費の削減などの効果が評価された。

 日立物流が「経済産業省製造産業局長賞」を受賞したワンウェイ段積治具は、これまで平積みを余儀なくされることの多かった異形状ユニットロードでのロスをなくすため、従来の鋼材製よりも安価な強化段ボール製治具を用いることで、積載効率を従来比2倍にする一方、コストの40%低減を実現。

 「適正包装賞」を受賞した新型サイクロン(掃除機)の包装開発では、被包装体の脆弱部保護手法見直しも含む改善に取り組み、余剰スペースの活用と収納・配置方法見直しによる梱包箱の縮小化を図るとともに、V字形状の段ボールで補強をすることで品質レベルを維持し、従来比で①包装サイズ20%縮小②材料費17%低減③トラック積載台数33%拡大④輸送費25%低減⑤CO2排出量27%低減―を実現した。

 「大型・重量物包装部門賞」を受賞したアジャスター脱着式緩衝材は、従来の台木使用による梱包で課題となっていた納品先でのフォークリフト作業や、広い作業スペース・複数作業員の確保などの課題を解消するため、EPE(発泡ポリエチレン)と強化段ボールを用いた着脱式緩衝材を採用した結果、作業員が1人で緩衝材を製品アジャスターから滑らせて抜き取ることができるようになり、作業の安全性向上と作業時間の75%短縮を実現。さらに、材料と形状を変更したことにより廃材重量93%削減につなげた。

今週掲載トピック一覧

  • ☆日中ビジネスワンポイント(204) 『若者の転職傾向』

  • ☆厚労省、19年のトラック労基法の違反率は微減傾向
    ☆西濃運輸・ヤマトなど、燃料電池大型トラックの5社実証走行合意
    ☆トヨタと日野が燃料電池大型トラック共同開発へ、北米向け「HINO XLシリーズ」ベースに
    ☆日通が4月に電子契約サービスを国内の総合物流業界として初めて全社規模で導入
    ☆ヤマト運輸がSF25の運行区間を宮城県まで伸長、9日から開始
    ☆交通労連トラック部会が第1回中央委、他産業との格差是正へ行政等へ働きかけ
    ☆JR貨物の真貝社長が定例会見でコメント、上半期大幅赤字の見通しも通期の黒字へ全力
    ☆拓洋が越谷市に食品共同配送の新センターを展開、21年6月オープン
    ☆JR貨物が20年度上半期の輸送実績まとめる、コンテナは86%に
    ☆全ト協が理事会、新型コロナの影響踏まえ会費の免除を延長
    ☆規制改革推進会議、「当面の審議事項」に生産性向上に向けた物流改革も
    ☆運輸労連大手組合の要求が出そろい2020秋闘が本格スタート、厳しい交渉を予測
    ☆ヤマト労連が定期大会開く、グループの経営統合に関して情報共有し協議へ
    ☆東京交運労協が台東区へマスク寄贈、トラックの日行動
    ☆JR貨物などがコンテナ輸送品質向上キャンペーン展開、荷役競技会は中止
    ☆岩井・大西国交副大臣が就任会見で抱負、防災・減災など強化
    ☆全ト協等で構成の勉強会、高速道路の軸重取り締まりで計測時のばらつきを考慮
    ☆住友倉庫が「羽生アーカイブズ第2センター」に第3期倉庫を竣工
    ☆建交労東京・埼玉部会が大宮トラックステーションでトラックの日行動
    ☆安田倉庫がメディカル物流倉庫を12月に開設

今週のユソー編集室

  • ▼本号6面でも取り上げているとおり、運輸労連大手組合の年末一時金要求が出そろい、2020秋闘がスタートした。
    ▼新型コロナウイルスの影響から、経済情勢はここ数年では最悪の状況だ。存続の危機に直面している企業もあり、交渉の難航が予想される。
    ▼一方で「トラックはまだまし」という声もある。特に観光バスなどインバウンド需要の後押しが強かった産業では、年末一時金交渉どころではない、極めて厳しい状況にある。
    ▼長期的に見て、トラックのドライバー不足が解消しないのであれば、他産業との労働条件の格差是正に向けた好機ともとれる。「ピンチをチャンスに変える」のは、今かもしれない。

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