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2013年1月11日付 2457号

トラック将来ビジョン検討会で参入時規制など作業部会設置し検討へ  国交省

 国土交通省は12月25日、「トラック産業の将来ビジョンに関する検討会」の第5回会合を開き、参入規制強化や多層構造の弊害解消などに向けた施策の検討を行う作業部会の設置を決めた。10月に取りまとめられた最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ(WG)で「参入に関する事項や必要な対策を推進する作業部会を設置すること」との提言がなされたことを受けたもので、①参入時規制の強化②多層構造の弊害解消に向けた施策③水平構造の改善④適正化事業の充実⑤事後チェックの充実-についてどのように実施するかを検討していく。

 作業部会は、学識経験者・有識者5人、経済団体2人、労働組合2人、トラック業界2人の委員で構成され、必要に応じて委員を追加する。検討スケジュールは、今月から来月にかけて第1回会合、年度内に第2回会合を開く。「半年から1年の期間でスピード感を持って取り組みたい」(加賀至貨物課長)としており、実施可能なものから省令改正などに着手する方針。

 また、事業許可の更新制については、「基本的には別」(同)としており、作業部会では議論の俎上(そじょう)には載せない考えだが、引き続き検討は行う。

 参入規制の強化については、5台割れ事業者を含む全営業所への運行管理者選任や新規事業者に対する法令試験見直しなどを実施するためパブリックコメントを募集しており、今後は営業所・車庫間の距離基準見直しなどについて検討する。

 多層構造の弊害解消については、トラック事業者へのヒアリングから得られた積込遅延時の着時間厳守や不当に安い運賃での運送依頼などの課題解決に向けた方策を検討するとともに、トラック事業者間の傭車や輸送エリアの分担・連携など効率的な事業運営につなげるための対策を探る。また、トラック運送事業で導入の遅れている書面契約についても今年度内に義務化や具体的な運用方法を決定する。

 水平構造の改善についは、トラック業界から要望の多い共同点呼業務について、対象事業所や責任範囲などについて検討していく。

中国で陸運免許取得し実運送開始へ-東北3省の外資系独資で初  トナミHD

 トナミホールディングス(綿貫勝介社長)は7日、同社の中国現地法人である托納美国際貨運代理(大連)有限公司(岡崎美男総経理)が、中国当局から陸運事業免許を取得するとともに、業務範囲や商号、資本金等の変更を行うなど、中国国内における一貫物流サービスの提供を開始したと発表した。

 新社名は「托納美物流(大連)有限公司」で、資本金は1億4千万円(約1094万人民元)となり、今回7千万円を増資した。トナミHDの100%出資子会社であることは変わらない。

 同社は平成23年1月、中国の大連市保税区に設立。中国東北地区の日系企業を中心に、海上・航空フォワーディング業務を主力として、日中間一貫輸送サービスを手掛けてきた。今回、陸運事業免許を取得し実運送に着手することとなり、業務範囲拡大、商号変更、増資等の変更手続を完了したもの。中国東北三省(遼寧省を含む)での外資系企業の単独出資による「陸上貨物運輸業務」の認可事例としては、第一号の取得事例になるという。

 トナミHDでは今後、中国国内において、既存の業務に加え、自社車両・実運送による陸運業務の充実を図るとともに、路線網拡充もにらみながら、一貫物流サービスの向上を実現していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆各界トップの年頭あいさつ

  • ☆JR貨物、3月ダイヤ改正で吹田貨タ開業
    ☆運輸労連、2012年の賃金実態調査まとめる
    ☆日通がインドネシアに多機能倉庫開設

今週のユソー編集室

  • ▼年が明けて2013年がスタートした。本号では、各界トップの年頭あいさつを掲載しているほか、すでに開催された各団体等の新年会の記事を掲載している。
    ▼そうした場でのあいさつを聞いていると、第2次安倍内閣誕生による景気浮揚効果を期待する一方で、やはりこの1年間の経済環境は厳しく推移するのではないかという、期待と不安の入り混じった複雑な感情に陥ってしまう。
    ▼経済再生を最重要課題に掲げ、緊急経済対策や日本経済再生本部の立ち上げなど、早期のデフレ脱却を目指す安倍首相のもと、まずは円安株高の効果が発生し、景気回復を切望する経済界の期待感はますます膨らんでいる。
    ▼ただ、トラック運送業界に限って言えば、業界秩序を破壊するほどの過当競争を生んだ規制緩和の流れに対して、国交省における将来ビジョンの検討など見直しの議論も進んでいる中で、今後どういう影響がでてくるのかが気になるところでもあるのだ。

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