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2013年2月25日付 2463号

運送契約の書面化今夏までに義務化  第1回トラック産業作業部会

 国土交通省は、トラック産業の安全性・健全性を向上させるための具体的措置の検討と、実施に向けた協議を行うことを目的に「トラック産業に係る取り組み作業部会」を設置、21日に東京・霞が関の中央合同庁舎で第1回会合を開いた。

 昨年10月に取りまとめられた最低車両台数・適正運賃収受ワーキンググループ(WG)の報告書に、「WGで提言した参入に係る事項や必要な対策を推進する作業部会を早期に設置すること」との文言が盛り込まれたことを受けて設置したもので、①参入時基準の強化②多層構造の弊害解消に向けた対策③水平構造の改善④適正化事業の充実-について検討を行う。WGのメンバーを中心に、野尻俊明流通経済大教授ら学識経験者・有識者のほか、日本経団連、日本商工会議所、全ト協、運輸労連、交通労連の代表者が参加し、必要に応じて追加する。

 第1回会合では、多層構造の弊害解消に向けた取り組みとして、運送契約の書面化と荷主勧告制度の改正についての方向性が事務局案として示された。書面化については、「重要事項確認書面(仮称)」についてガイドラインを定め、省令によってトラック事業者からの発出を義務付けるほか、約款での位置付けを行う。

 書面化する事項は、①運送委託者・受託者名、連絡先②委託日・受託日③運送内容(積み込み開始日時・場所、取り降ろし終了日時・場所)④運送品の概要・車種・台数⑤運賃、燃料サーチャージ⑥附帯業務内容⑦有料道路利用料、附帯業務料⑧支払い期日⑨車両番号、運転者名-とする方針。これにより、拘束時間違反や予定外附帯業務の改善が期待される。

 荷主勧告制度については現在、過労運転や過積載運行を行わせた荷主に対して「協力要請書」を発出し、3年以内に同一違反があればさらに警告的内容の「協力要請書」を発出、その後3年以内に同一違反があれば「荷主勧告」を行い社名を公表しているが、改正後は、「非合理な到着時間の設定」「やむを得ない遅延に対するペナルティの設定」「積み込み前に貨物量を増やすような急な依頼」「荷捌き場における手待ち時間を恒常的に発生させているにもかかわらず、事業者の要請に対し、通常行われるべき改善措置を行わない場合」の4つの類型に当てはまる場合に、「協力要請書」の発出を経ずに、「警告書」の発出または「荷主勧告」ができるようにする。

 書面化、荷主勧告ともに、4月に開催予定の次回会合前後にパブリックコメントを行い、今春から今夏にかけて省令公布などを行う。 

トラック景況感10~12月期は改善、人手不足感やや強まる  全ト協

 全ト協は19日、10~12月期のトラック運送業界の景況感をまとめた。景況感の判断指数はマイナス38となり、前回より13ポイント上昇し改善した。雇用状況(人手の過不足)は不足感がやや強くなっている。今後は、新政権の経済政策による経済効果には一定の時間がかかるとの見方が強く、原油価格の上昇と急速な円安に伴う燃料コストの増加が見込まれるなど不安要因は多いこともあって、25年1~3月の景況感の判断指標は5ポイント悪化のマイナス43が見込まれている。

 トラック運送業界の10~12月期の景況感は、「好転」とした事業者は5ポイント増の11%、「悪化」が5ポイント減の44%で、判断指標はマイナス38となった。特積みの宅配貨物の輸送数量の判断指標はマイナス22で10ポイント改善、営業収入はマイナス22で8ポイント改善、営業利益がマイナス24で10ポイント改善した。宅配以外の特積み貨物の輸送量の判断指標はマイナス8となり10ポイント改善、営業収入はマイナス9となり15ポイント改善、営業利益もマイナス13となって13ポイント改善した。一般貨物の輸送数量の判断指標はマイナス23で6ポイント悪化、営業収入もマイナス23となり、ほぼ横ばい、営業利益はマイナス34となって5ポイント悪化した。

 運賃水準は宅配貨物がマイナス22で11ポイント悪化、宅配以外の特積み貨物はマイナス5で9ポイント改善。一般貨物はマイナス20で横ばいとなった。雇用状況はプラス27と10ポイント上昇し、不足感が強くなっている。

 25年1~3月期の見通しは、景況感の判断指標がマイナス43で今回から5ポイント下げる見込み。

 宅配貨物は輸送数量がほぼ横ばい、営業収入と営業利益は改善する見込み。宅配以外の特積み貨物は輸送数量、営業収入、営業利益いずれも悪化する見込み。一般貨物も、輸送数量、営業収入、営業利益いずれも悪化する見込み。運賃水準は宅配貨物が改善、宅配以外の特積み貨物は悪化、一般貨物はほぼ横ばいの見込み。雇用状況はわずかに水準を上げる見込み。  

今週掲載トピック一覧

  • ☆連載特集、引越②

  • ☆センコーがサプライチェーンロジスティクスセミナー
    ☆三八五労組、第54回定期大会開き小野委員長を再任
    ☆日通、新型RORO船「ひまわり7」を北海道~東京間に投入

今週のユソー編集室

  • ▼「新たな車を導入しても、ドライバーが集まらない」。最近特に東北など地方を中心に、そうした悲痛な声を耳にする機会が増えており、ドライバー不足が顕在化しつつあるように感じる。
    ▼なかにはサービスエリアで休憩中に、他社から勧誘されるドライバーもいるようで、事態の深刻であることを物語っている。
    ▼これらの地方では、高齢化も問題だ。正社員ドライバーの平均年齢が50歳代に達しているケースもあり、とにかく男女を問わず、この業界に若者が入ってこないという事実がこうした現状を招いていることは、疑いようがない。
    ▼若者の就労意識の問題か、魅力を発揮できないトラック運送業界側の問題かは分からないが、トラックドライバーの不足が交通の安全に脅威を与えてしまっては、社会的地位の向上どころではない。外国人ドライバーの安易な導入を許さないためにも、若者が入ってくる魅力ある産業づくりが、急務になっている。

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