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2013年4月8日付 2469号

売上高6年連続減少し営業利益率も悪化  全ト協の23年度決算版経営分析

 全ト協は3日、トラック運送事業の平成23年度決算版経営分析報告書を発表した。1社平均の全売上高、貨物運送事業収入(営業収益)ともに6年連続の減収となり、営業利益率も、ともにマイナス幅が拡大、業界の9割を占める車両50台以下の約6割が営業赤字で推移している。また経常利益率も、ともに低下し、さらに厳しい経営状況となっている。この報告書は、全国の事業者1976社(有効数)から提出された23年度決算の「一般貨物自動車運送事業報告書」に基づき集計、分析した。

 それによると、兼業分を含む23年度全売上高(1社平均)は1億8948万円となり、前年度に比べ2.3%の減収となった。うち貨物運送事業収入も1億8825万9千円となり、2.0%減少し、ともに6年連続の減収となった。なお、23年度の1社平均輸送トン数は6万3425トンで、ほぼ横ばいであることから、輸送トンあたりの売り上げが減少している。

 採算状況についてみると、23年度の売上高営業利益率は0.3ポイント、悪化のマイナス0.9%と、5年連続営業赤字となり、貨物運送事業の営業収益営業利益率も0.3ポイント悪化しマイナス1.0%となった。営業利益は19年度以降マイナスが続き、23年度も燃料価格が上昇したため、営業損失が拡大した。貨物運送事業の営業損失は180万4千円(前年度140万9千円)で、マイナス幅が拡大。

 貨物運送事業収入の2%減に対し営業費用(運送費プラス一般管理費)は1.8%の減少となった。営業費用の大部分を占める運送費用をみると、燃料油脂費が8.5%増加する一方で、人件費は0・8%減少し、燃料価格の上昇要因が大きく影響している。売上高経常利益率は0.1%となり、0.4ポイント低下。うち貨物運送事業の営業収益経常利益率は0.1%となり、0.3ポイント低下した。

 貨物運送事業の経常損益額は13万1千円の黒字で、前年度の76万4千円から大幅に減少。2年連続の経常減益に。貨物運送事業の黒字企業の割合をみると、営業利益計上企業の割合が43%で、ほぼ横ばい、経常利益計上企業割合は54%で、2ポイント低下した。営業赤字企業の割合は過半数を占める状況が続いており、23年度は57%で横ばいとなっている。

 規模別にみると、「21~50台」「51~100台」を除いた規模で営業黒字企業割合が横ばいないしは低下した。特に、営業赤字企業割合が「10台以下」では63%と6割を超え、「11~20台」は60%、「21~50台」では53%となっており、規模が小さいところでは依然として赤字企業割合が過半数を占め、規模が小さいほど経常黒字企業割合が低い傾向がみられる。

 燃料費が営業収益に占める燃料費比率は、21年度14.2%、22年度16.2%で、23年度は、1.7ポイント上昇し17.9%となり、21年度から原油価格上昇の影響を受けて、燃料費が上昇していることがわかる。

佐川グローバルロジスティクスを国際と国内ロジに会社分割  SGHD

 SGホールディングス(栗和田榮一社長)と同社の連結子会社である佐川グローバルロジスティクス(SGL、石川秀範社長)は4日、今年5月1日付で、佐川グローバルロジスティクスの国内ロジスティクス事業を新設分割し、その事業を新設分割設立会社に承継させると発表した。

 SGLは現在、国内ロジスティクス事業および国際貨物事業を主たる事業としているが、会社分割により事業ごとの経営判断の迅速化と、それぞれの顧客ニーズに合った一層のサービス向上を図り、両事業のさらなる成長を目指すことが目的としている。

 分割方式は、佐川グローバルロジスティクスを新設分割会社とし、新設分割設立会社を設立する新設分割方式。SGLは分割後、国際貨物事業を展開する「SGHグローバル・ジャパン(株)」に商号を変更する。一方で新設分割設立会社は、国内ロジスティクス事業を展開する「佐川グローバルロジスティクス(株)」を商号とする。

 新設の「佐川グローバルロジスティクス(株)」がこの分割に際して発行する株式は100万株で、全ての株式を「SGHグローバル・ジャパン(株)」に割当交付する。「SGHグローバル・ジャパン(株)」はこれと同時に、割当交付された株式の全てを、剰余金の配当として、100%親会社であるSGホールディングスへ交付する。この分割による、SGホールディングスの資本金等の変動はない。

 分割後の両社の概要は、次のとおり。

 ▽SGHグローバル・ジャパン=本社・東京都品川区勝島1-1-1、川崎直介社長、資本金・28億7610万円、発行済株式数189万8954株、従業員275人▽佐川グローバルロジスティクス=本社・東京都品川区勝島1-1-1、石川秀範社長、資本金15億円、発行済株式数100万株、従業員4573人。

今週掲載トピック一覧

  • ☆平成25年の新入社員入社式トップ訓示

  • ☆適正化機関が悪質事業所や5台割れ事業者の運管選任義務違反を通報、国交省が制度創設へ省令公布
    ☆日通の新経営計画発表記者会見、渡邉社長「企業物流に徹する」
    ☆ヤマトグローバルロジスティクスジャパンがAEO制度の認定通関業者に、国際小口フォワーダーで初
    ☆日通、北海道~東京間に「ひまわり7」就航
    ☆国交省、定期健診への助成に交付金支出認める
    ☆全ト協・青年部会が東日本大震災被災地の小中学生ら162人をプロ野球観戦等に招待
    ☆中小企業庁23年度実績の調査速報発表、中小の運輸・郵便等従業員数が減少
    ☆DHLサプライチェーン、コニカミノルタの物流を受託し物流子会社も継承
    ☆ミサワホーム、物流センターで太陽光発電の運用開始
    ☆日本海事センターが2012年の動向まとめる、日本・アジア発米国海コン貨物は微増
    ☆全ト協が交通事故の傾向と事例まとめる、事業用貨物自動車 は車両相互事故が9割以上で追突事故がほぼ半数
    ☆ヤマト運輸、震災で一時休止していた福島県一部地域での集配を再開
    ☆全流協が災害時の物流業務で滋賀県と協定締結、都に続き自治体2件目
    ☆全ト協の25年度引越講習予定
    ☆トナミHDが情報システム開発や経営分析行う「シー・フォーカス」社を子会社化
    ☆エコモ財団、3月のグリーン経営認証は20件・28事業所に
    ☆近鉄エクスプレスがブラジルに現法設立
    ☆佐川急便が博多駅周辺で低炭素化事業、宅配ボックスでの再配達受け取りや集配での電気自動車導入など

今週のユソー編集室

  • ▼中国で感染が確認された鳥インフルエンザは、4日現在死者が3人、感染者が9人にのぼると報じられ、中国当局をはじめとして、日本を含めた近隣諸国でも警戒感が高まっている。
    ▼現段階では人から人への感染は確認されていないとのことだが、2000年代前半に東アジアを中心に猛威を振るった鳥インフルエンザの記憶はいまだ新しく、各国の反応は緊張感にあふれている。
    ▼天災とは、地震などの自然災害だけを指すのではなく、こうした疾病も含まれるように思う。そして、天災には日ごろの備えが極めて重要な意味をもつことを、われわれは東日本大震災から学んだ。
    ▼新型インフルエンザの大流行となれば、社会活動は崩壊の危機にさらされる。社会の血液たる物流もまた、その機能を維持できるか疑問である。日本では物流連が近年この問題に注目し、さまざまな提言活動等を行っているが、これを機に予防策の充実化をさらに進めたい。

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