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2013年5月6日付 2472号

センコーが中期経営計画を策定、国内外から信頼される流通情報企業目指し商流・貿易事業の業容拡大を

 センコー(福田泰久社長)は4月25日、平成25年度から28年度までの4年間の中期経営計画を発表した。商流・貿易事業や物流センター事業の業容拡大、業務提携・M&Aの推進などで28年度の経営目標である売上高4千億円、営業利益150億円、営業利益率3.8%を目指す。

 同社は28年に創業100周年を迎えることから、グループが目指すべき企業像を「国内外から信頼される、流通情報企業」と定め、4年間の中期経営計画をスタートさせる。コーポレート・スローガンは「Moving Global」。同社が定める「流通情報企業」とは、顧客の調達から販売まで情報を駆使する中、物流・商流を含めてグローバルに最適な流通サービスを提供する企業。

 中期経営方針は①総合・一貫したサービスの提供に向け、物流・商流事業の業容を拡大するとともに、ものづくりへも挑戦する②お客様に一層信頼される、高品質でコストパフォーマンスの高いサービスを形成する③グループ人材(グローバル人材、社内起業家含む)の育成・確保のため、人材教育・採用活動を強化する④コンプライアンスを重視し、環境・安全・健康の先端企業を目指す⑤財務健全性の確保に重点を置いた財務施策を推進する-の5つを掲げた。中期経営目標は28年度売上高を24年度実績から36.3%増加の4千億円、営業利益は51.4%増加の150億円、営業利益率は3.8%にそれぞれ設定した。

 中期事業方針としては①「物流センター事業」の業容拡大②「商流・貿易事業」の業容拡大③収益を重視した「国際物流事業」の展開④「ものづくり」への挑戦⑤「業務提携・M&A」の推進-の5つを挙げている。
中期経営方針に基づく施策のうち事業別の重点施策として、流通ロジスティクス事業は物流センター事業の業容拡大(ネット通販、医療・医薬など)や共同配送事業の拡大を目指す。住宅物流事業は在来工法の住宅分野やリフォーム市場への進出、施工や商流の機能を備えた新しい物流サービスの開発・拡充を図る。ケミカル物流事業は樹脂、液体、高圧ガスなど特殊物流の販売拡大や、外資系メーカーや専門商社など新規顧客の開拓、共同配送などを含む3PL事業の拡大を進める。その他物流事業では病院引越やオフィス移転など新規事業の開発・拡大を図る。国際物流事業では顧客の海外戦略への対応、海外での物流機能の強化と地域物流網の構築、新興国への進出(カザフスタン、ASEAN諸国など)を展開する。商事・貿易事業では商品の製造から販売、物流までを一体化させた商社機能の確立や、貿易事業の強化・拡大を進めていく。

 会社経営に関する施策では、収益体制の強化、情報化の推進、人事・賃金制度の整備、人材育成・採用の強化、財務健全性に重点を置いた財務施策の推進-の5つに重点を置く。CSRについては環境対応の推進、安全活動の推進、健康活動の推進を展開していくとしている。

国民ニーズに応えるため信書便事業に競争を ヤマト運輸が内閣府会議で提案

 ヤマト運輸(山内雅喜社長)はこのほど、内閣府規制改革会議で「信書の取り扱いの全面的な民間開放に向けた信書便法の見直し」について、信書定義の撤廃や一般信書便輸送事業参入規制の見直しなどを提案した。

 提案ではまず、文書輸送に対する規制が、「事業者間の競争を通じたサービス向上や利用者の便益を害する弊害を生む原因」になっていると主張し、見直しの必要性を訴えた。また、具体例をあげながら信書の定義が不明確であること、信書と非信書の輸送が区別されていることについて、国民のニーズに応えるという観点から不都合があるとし、さらに一般信書便事業への参入条件や特定信書便事業についても規制に不都合があると指摘した。

 その上で同社は具体的な提案として、次の3点を挙げている。①「信書」定義の撤廃またはその前段階としての定義の明確化、および罰則対象から個人を除外するなどの縮減。②通信の秘密保護とユニバーサルサービス提供を前提とした、信書便差出箱10万本設置義務等の一般信書便事業参入条件規制の見直しまたは撤廃。③特定信書便に係る規制の見直し。

 同社はこれらにより、信書便事業に競争原理を導入することで、「国民生活にとってより利便性が高く、わが国の国際競争力向上にも資する、安価で高品質な新しい文書輸送サービスの提供が可能になる」としている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆新連載、これだけは知っておきたい アジア進出の落とし穴①
    ☆人物ウィークリー、全国通運連盟業務部長・村田俊行氏

  • ☆全ト協、今年も7月にGマーク申請受け付け
    ☆自民、民主に続き公明党にもトラック議連発足、全ト協が軽油高騰、高速道問題で要望
    ☆緊急時の協組保有給油施設の活用で施設高度化など必要、日貨協連が調査研究取りまとめの方向示す
    ☆大塚倉庫、神戸に医薬品専用物流センター建設へ
    ☆日本ペイント、埼玉・白岡市の拠点隣接地に来年2月稼働予定の新物流センター
    ☆LEVO、大型CNG車普及へエネ特連携事業も
    ☆東ト協連の運賃動向アンケート、希望に対する現行収受運賃『低い』の回答9割超に
    ☆TLロジコム、ドラッグストア向け愛媛常温センター開設
    ☆ヤマト運輸、配達待ちのストレス解消へ宅急便荷物照会から事前に日時変更可能に
    ☆日通商事が初の太陽光発電所設置、福岡で売電を開始
    ☆埼玉ト協が経営課題と取り組み報告書、好調企業のキーワードは安全・コンプライアンス・品質重視 
    ☆春の叙勲、褒章
    ☆センコー、従業員持株ESOP信託導入
    ☆JR貨物、キリングループ初の専用列車
    ☆有識者検討委が次期物流施策大綱の提言を取りまとめ
    ☆SGHD、シンガポールの海外統括会社が新事務所開所式開く
    ☆センコー、滋賀の大門物流センターに新倉庫2棟を増設

今週のユソー編集室

  • ▼書籍やDVDなどを発売日前に予約し、心を踊らせながら当日を待つという経験は、誰しも一度はしたことがあるのではないだろうか。
    ▼このほど発売日を迎えたある映画作品が、ネット通販大手からの注文で発売日当日に到着せず、通販サイトの商品評価画面が苦情で埋まるという事態が発生した。期待が大きかった分、怒りもまた大きかったようだ。
    ▼これがただの遅配とは違った点は、実際には発送されていないにもかかわらず、発売日前に購入者のもとに、荷物の問い合わせ番号まで記載された発送済みメールが送られてしまった点にある。サイトに記載された苦情の数々を読むと、どうやら責任は物流事業者側ではなく、ネット通販事業者側にあるらしい。
    ▼この件で物流事業者には数多くの問い合わせが寄せられ、対応には苦慮したようだ。物流事業者にとって大口荷主のネット通販事業者との関係には、さまざまな難しさが潜んでいるようでもある。

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