物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2013年4月22日付 2471号

トラックの契約書面「不交付でも処分せず」ー国交省が近くガイドラインとパブコメ募集へ

 国土交通省自動車局の加賀至貨物課長は18日、交通運輸記者会の取材に応じ、義務化に向けた検討が行われてきたトラック運送業における契約の書面化について、近くガイドライン案を公表し、パブリックコメントを開始する予定であることを明らかにするとともに、書面を交付しない場合の行政処分は当面行わないとの方針を示した。

 ガイドライン案は、先月開かれた適正取引推進パートナーシップ会議で、「重要事項確認書面(仮称)」の記載項目などを示したものが提示されたが、近く公表されるガイドライン案では、軽貨物、霊きゅう、一般廃棄物、特積み、引越は書面交付義務化の対象外となることなどを新たに盛り込む。

 また、「(書面交付義務化の)施行をもって直ちに処分基準を策定するのではなく、当面はガイドラインを用いて書面化を推進する取り組みを行っていく予定」と記述。交付を行っていない場合でも、行政処分の対象とはならないとしている。

 これについて加賀課長は、「(トラック事業者による健全取引に向けた)取り組みとしての書面化励行をサポートしたい」とし、監査の際に書面の交付状況などは確認しない方針であることを明らかにした。一方で、現在、標準貨物自動車運送約款第8条第1項で規定されている、荷主からトラック事業者への運送状(委託書)の提出を、これまでの「運送事業者の求めがある場合」から「運送事業者が不要とした場合を除き」に改め、原則提出とすることで荷主に対する書面交付の実効性を上げる。
 ガイドラインは、パブコメを経て、春~夏に公布、荷主、トラック事業者などの関係者に対するセミナー開催など、周知期間を経た上で、今年度内に施行される見込み。

2012年度の商品別実績、鉄道コンテナはプラス伸長に  日通

 日本通運は17日、鉄道コンテナ・引越・内航海上輸送の2012年度実績を発表した。鉄道コンテナは車扱からコンテナへの転換や東日本大震災の災害廃棄物輸送の本格化などにより前年実績を上回り、引越は件数が減少したものの、増収を確保した。内航海上輸送は、新造RORO船「ひまわり7」の投入までの減船体制のため減送となった。
 各商品の概況は次のとおり。

 〈鉄道コンテナ〉
 上半期は台風4号、17号の上陸や4月と9月に発生したJR北海道江差線の脱線事故などがあったものの、前年の東日本大震災の反動増により、98万269個の8.4%増と堅調に推移した。下半期はJR貨物の機関車防護無線機一斉点検や、雪の影響による運休、エコカー補助金の打ち切りに伴う自動車部品輸送の反動減などにより、99万2744個の2.2%減となった。
 年度実績としては、車扱輸送からコンテナ輸送への転換や東日本大震災の災害廃棄物輸送の本格化などにより、197万3013個、2.8%増とプラス伸長を確保している。モーダルシフトの取り組みとして、CO2排出削減効果の高い取り組みに対する国土交通省の補助認定を受けた全18事業(鉄道13事業)のうち6事業を取り扱い、31フィートウイングコンテナ50個を導入。これにより、リースを含めた個数は1020個と千個を超えた。

 また、鉄道コンテナ情報システム「鉄道コンテナNAVI」を機能追加し、利便性を向上させるとともに、1月に社内システムを改修、複数のシステムを統合したことにより機能のスリム化を図った。なお、梅田駅の機能移転に伴う対処法としては、現時点で取り扱いの6割を百済駅で対応している。

 2013年度取扱目標個数は202万個の2.4%増に設定している。

 〈引越〉
 取扱件数は 49万9400件の4.1%減、うち単身パックは16万8200件の6.2%減、売上高は636億8700万円の4.1%増。
 年度当初に東日本大震災で保留、延期された引越が発生したため、前年実績比較でマイナスの影響が出た。9月にワンルームパックPLUSを全国一斉に販売するとともに、11月にタブレット端末を導入するなど、単身者向け引越パッケージ商品の強化と訪問見積もりのスピードアップを図った。件数が減少したものの、事務所移転等の法人引越の単価アップや単身パックの別送品(自転車、ベッド等)の増加で増収になったとしている。

 2013年度は目標売上高680億円の6.8%増、単身パック目標件数17万7千件の5・4%増に設定している。

 〈内航海上輸送〉
 2012年度は、契約期間満了に伴い、関西~北海道航路で運航していたフルコンテナ船「うらが丸」の運航を終了し、東京~北海道航路の「ひまわり3」を大阪・高松まで延伸し、新たに「北海道~東京~関西・四国航路」として、4隻から3隻での統合運航となり、12フィートコンテナ個数は、18万7892個の9.0%減、トレーラ台数は4万2289台の3.0%増、トレーラを12フィートコンテナに換算した個数(1台あたり3個)は31万4759個の4.5%減となった。減船により、積載率は95.3%と7ポイント向上した。
 航路別にみると、「北海道~東京~関西・四国航路」は、飲料関係を中心とする生活物と農産物・紙製品を継続的に取り込んだが、「うらが丸」の減船により、積載個数は、7.2%減となった。「東京~九州・瀬戸内航路」は、徳山港休止により積載効率が向上し、主に飲料・食品関係を取り込んだ結果、0.1%増となった。

 今年度は4月から「北海道~東京~関西・四国航路」に「ひまわり7」を投入し、基幹航路の拡充を図るとともに、低燃費運航・モーダルシフトを推進していく。また、「東京~九州・瀬戸内航路」は、松山寄港を開始。「北海道~東京~関西・四国航路」の「ひまわり1」または「ひまわり2」の高松寄港と合わせて、輸送網の拡充を図っていく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆グリーン経営認証取得事業者の取り組み、シンエイロジステック
    ☆四文字熟語『路線トラック「発展過程」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑦』
    ☆日中ビジネスワンポイント『2013上海桜祭り』

  • ☆埼玉ト協が良質な労働力確保に向けた職業研修学校設置や特別委合同就職説明会など提言
    ☆センコー、札幌PDセンター敷地内に2号倉庫竣工延べ床合計3万平方メートルに
    ☆日本レコードセンターが神奈川・厚木市内に物流センター開設、ネット通販物流進出も視野
    ☆全ト協が指導取締要領改正に伴う特殊車両通行許可の講習会開催へ、鳥取皮切りに各地で
    ☆日本通運の5月1日付新体制
    ☆トラック協会による燃料サーチャージ導入時の荷主との協議の場設置は独禁法上問題なし、国交省が通達
    ☆新総合物流施策大綱検討委が第6回会合、物流分野の人材育成等を提言案として明記
    ☆春闘妥結状況
    ☆ニチレイロジグループ本社が低温物流でタイ進出
    ☆住友商事がタイで物流事業拡大、年内に新物流センター
    ☆山九が平和島に新センター、来年4月稼働へ 
    ☆日貨協連が会員事務局役職員研修会、緊急時の組合給油施設活用の調査研究報告 
    ☆物流連の25年度寄附講座、首都大学東京で開講した第1回講義に130人
    ☆自工会の2012年度市場調査結果、普通トラックの平均使用年数は代替投資抑制で長期化
    ☆環境省、2011年度のCO2排出量はトラックからの減少等で運輸部門前年度比減少

今週のユソー編集室

  • ▼総務省が16日に発表した、2012年10月1日時点の定住外国人を含む日本の総人口は1億2751万5千人となり、2011年時点と比較すると28万人を超える過去最大の減少数となった。
    ▼統計局のホームページには、年齢を縦軸にとった人口の表、いわゆる「人口ピラミッド」が掲載されているが、その形状はもはや「ピラミッド」ではない。おおむね逆三角形に近い不安定な形は、そのままわが国の未来の姿に重なる。
    ▼この問題は、少子高齢化の「先端産業」ともいえる物流業界にも暗い影を落としている。若年労働者の確保に尽力している、業界関係者のため息が聞こえてきそうだ。外国人労働者の大量受け入れという「劇薬」は、社会不安を引き起こす可能性を考えれば、にわかには首肯しがたい。
    ▼やはり、どれほど遠い道のりであっても、安心して子供を産み、育てられる社会・業界の環境づくりを、続けていかなければならない。

戻る