物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2013年5月20日付 2474号

トラック運送契約書面化推進など一挙に6案件のパブコメ募集  国交省

 国土交通省は11日、トラック運送契約の書面化推進などに向け、①貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正案②標準貨物自動車運送約款の一部改正案③トラック運送業における書面化推進ガイドライン案④元請運送事業者および利用運送事業者への要請⑤点呼業務の管理の受委託の許可基準⑥荷主勧告制度の改正―に関する意見募集を開始した。募集期間はいずれも6月10日まで。
 
 貨物自動車運送事業輸送安全規則の一部改正案では、トラック事業者等が運送を引き受けた場合に、荷主に対し運送引受書を交付し、写しを1年間保存することを義務付ける。標準貨物自動車運送約款の一部改正案では、荷主がトラック事業者等に提出する運送状をトラック事業者等が不要とした場合を除き提出しなければならないとするとともに、附帯業務の内容や車両留置料の収受についても明確化、明文化する。いずれも7月に公布、来年3月施行の予定。また、これらの書面化を推進するため、元請運送事業者、利用運送事業者に対し、運送状を十分な時間的余裕を持って発出することや運送引受書の安全に関する記載事項を速やかに荷主に伝え、必要に応じ調整を行うよう要請する。

 点呼業務の管理の受委託については、中小トラック事業者等の運行管理者確保の負担を軽減するため、Gマーク取得営業所間で対面の乗務前・乗務後点呼を受委託できるようにするもので、協同組合などは対象としていない。契約は営業所単位とし、一つの営業所が複数の営業所に委託することはできないが、複数の営業所からの受託は可能。許可期間は3年間。7月制定、10月施行の予定。

 荷主勧告制度の改正については、現行では過去3年以内に「警告的内容の協力要請書」の発出実績がなければ発動できない荷主勧告を、実運送事業者の違反が荷主の行為に起因するものであると認められる場合には、“一発”で発動できるよう改める。7月制定、来年3月施行の予定。

愛される会社となるために品質向上と「挑み」を  ヤマト運輸山内社長が労組研修会で講演

 ヤマト運輸の山内雅喜社長は15日、労組が主催する中央研修会で講演し、創業100周年を迎える2019年度に「一番身近で、一番愛される会社」となるために、本年度取り組まなければならないことを説明した。

 山内社長はまず、社会、経済、個人のニーズが急激に変化していること、特に個人宅配についてはネット通販会社が自社配達を進めるなど「新たなライバルが出現してきた」ことを指摘。同社はこれまでも、そうした時代の変化に先取りして対応してきたとして、今こそ変化への対応力を発揮するときと述べ、合わせて、①品質のダントツ化②新たな「挑み」-が必要と強調した。

 品質については、約束を守ることや少しの気づかいで応対品質を向上させるとともに、利用者がさまざまな場所で荷物を受け取れるよう受け取り利便性を向上させ、他社との差別化を図っていく方針を示し、現場の知恵も取り入れながら改善を図っていくとした。

 新しい「挑み」については、◎厚木ゲートウェイや羽田クロノゲートなどの新施設◎主管機能とベース機能の切り離し◎エリアセンター制見直し-などに言及。

 このうちゲートウェイについては東名大間の当日配達実現、クロノゲートについてはアジア圏大都市間の翌日配達や国際クール宅急便実現を意識したものであることを説明し、特に東名大間の当日配達では、「在庫のあり方など企業物流が大きく変わる。作業面の課題があって実現は簡単ではないが、ぜひ提供していきたい」と意欲を示した。

 また、主管機能とベース機能の切り離しでは、配送時間の短縮化などを目的に、各センターが所属主管に関係なく直近のベースに荷物を集約させる形と説明。今後さらに検証を進め、具体案を策定していくとした。

 エリアセンター制の見直しについては、多店舗展開に主眼をおいた従来の出店計画が、センター長やエリア支店長に過重な負担をかけていることから、こうした役職者がサービスと営業の両面で自己の責任を全うできるように、方向性を改めるとした。

 一方で、こうした施策の実現に向けては、高効率経営と社員力の向上が重要と指摘。エリア特性に合わせた集配効率化、ベース作業員約1万人の契約社員化などベース作業の効率・品質向上、事務作業集約化など各種改革を進めるほか、年間約100万件弱発生しているクレームの撲滅などを目的に、職場のコミュニケーションを促進させるための施策、職場のリーダーを育成するための施策に取り組んでいく方針を示した。

 山内社長は最後に、「社会に愛される企業になるためには、会社が社員に愛されなければならない」と語り、労使一体で取り組みを進めていく考えを強調した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆グローバル版大手物流企業業界地図2013①「日本通運グループ編」
    ☆四文字熟語『日通社史にみる「通運用語」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑨』
    ☆日中『中国茶について』

  • ☆大口・多頻度割引は基本的に継続の方針、社整審が今後の高速料金のあり方示す
    ☆日立物流バンテック、グループ初のロシア現地法人6月に営業を開始
    ☆JR貨物・リサーチセンター、「鉄道貨物振興奨励賞」と「住田物流奨励賞」論文等の募集開始
    ☆日清食品HD、グループ内企業間で共同物流を推進-共同購買も順次拡大
    ☆アスクル、東日本メディカルセンター移設
    ☆経産省、自家倉庫の設備導入等経費の半額を補助-27日まで執行団体公募
    ☆澁澤倉庫が中期経営計画策定、収益・成長性向上へ
    ☆日立物流、米国物流会社2社の株式譲り受け合意
    ☆センコーと伊藤忠エネクスが積載量千トンの新造船アスファルトタンカー竣工
    ☆佐川急便が業界初の24時間対応家電リペアセンター開設
    ☆日通、上海スーパーエクスプレスで冷凍混載サービス開始へ
    ☆センコー、重量物配送全国ネット構築 
    ☆全流協が定時社員総会、災害ロジスティクス体制構築等25年度事業計画決める
    ☆全国高等学校長協会が国家公安委員長に中型免許見直しを要望
    ☆国交省、電気自動車の導入費用の3分の1補助-トラック事業者等対象に公募開始
    ☆物流企業各社の25年3月期決算

今週のユソー編集室

  • ▼好事家(こうずか)とは、変わった物事に興味を抱く人のことを指す。鉄道ファンをそう呼ぶのは実態にそぐわな いだろうが、「貨物鉄道ファン」となるとどうだろう。
    ▼このほどPHP研究所は、「貨物鉄道のひみつ」なる本を発刊した。「なぞの多い貨物列車に詳しくなって楽しむための入門書」というのが、その本の売り文句だ。
    ▼どこに行くのか分からない、何を積んでいるのか分からない、もちろん乗れない。確かになぞは多いし、そうした点にも心をひかれるのだろう。鉄道貨物協会が毎年発刊する貨物時刻表にも一般購読者が多数存在するというのだから、もはや「貨物鉄道ファン」も、好事家とは呼べないのかもしれない。
    ▼ただ、せっかく興味をもってもらっているのだから、貨物鉄道事業が赤字だという事実を、頭の片隅に置いておいてほしい気もする。「次の引越は鉄道コンテナで」、きっとJR貨物の関係者も、そう思っているに違いない。

戻る