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2013年5月27日付 2475号

「燃料高騰危機突破へ!」全ト協など各地方ト協が燃料費補填の補助金制度等要望し総決起大会

 全ト協(星野良三会長)は都道府県ト協との共催で23日、東京・千代田区の自民党本部で「燃料価格高騰経営危機突破全国総決起大会」を開催した。全国から約800人の事業者が参加し、燃料費高騰によるトラック運送事業者の窮状を訴え、スローガンに掲げた①燃料費を補填(ほてん)する補助金の創設②燃料サーチャージ導入の促進③燃料価格監視の徹底④軽油引取税緊急減税-の実現を求める大会決議を採択した。

 佐久間全ト協青年部会長の総合司会のもと午後2時半開会。大髙東ト協会長の開会あいさつに続き星野全ト協会長が主催者を代表してあいさつ。「平成21年3月以降軽油価格は約40円上昇し業界の燃料費負担は年間約6800億円の大幅な増加となっており、多くの事業者が事業存廃の岐路に直面している」と窮状を訴え、4つのスローガンの実現に向けて、政府与党に実現可能な対策を早急に実施してもらうため、全国の6万3千事業者とともに意気込みと生の声を伝えていこうと呼び掛けた。

 多くの自民党トラック議連の議員らが出席するなか、細田博之議連会長が来賓あいさつ。燃料高騰にあえぐトラック運送事業者を支援する財政措置の取りまとめを急いでいるとし、今回の要望の財政措置実現に向けて積極的に取り組んでいきたいと述べた。引き続いて鶴保庸介国土交通副大臣、菅原一秀経済産業副大臣、西村昭宏自民党国土交通部会長の3議員があいさつ。

 参加事業者からの意見開陳に移り、まず北海道ト協の伊藤副会長が、軽油引取税の旧暫定税率17円10銭の一
時凍結、トリガー条項の復活を求める意見を述べた。秋田ト協の島田会長は燃料サーチャージの普及促進を強く訴えた。また千葉ト協の西郷会長は政府の石油元売り各社に対する燃料価格の監視の徹底を要請。このほか、三重ト協や福岡ト協の事業者からは軽油引取税の緊急減税や燃料高騰を補填する補助金創設を強く求める意見が出された。

 こうした要望を受けて、木村太郎議連幹事長が、早期に議連総会を開催し今日の要望を議連の思いとして具体的とりまとめそれを政府・関係省庁に伝え、一緒に行動していきたいと、議員としての見解を表明した。石破茂自民党幹事長の「トラック運送業の重要性を十分認識しており、本日の皆さんの総意を重く受け止め、党としても原油高騰対策を取りまとめ、政府に要望していきたい」とのメッセージを赤澤亮正事務局長が代読。この後、三浦群馬ト協会長が大会決議を読み上げ、「軽油価格の異常な高騰は、経営収支や労働条件の一層の悪化を招き、今や多くの事業者がまさに廃業の危機に直面し、悲痛な声をあげている」として、スローガンに掲げた4項目の実現を期した決議を採択した。

 坂本大阪ト協会長のリードでスローガンをシュプレヒコール=し、1時間にわたる大会を閉会した。

電動トラックでの集配、都内で実証運行開始  西濃運輸と日野自動車

 西濃運輸(大塚委利社長)と日野自動車(白井芳夫社長)は21日、名古屋市の中部経済産業局で「電動(EV)トラック実証実験運行開始」に関する記者会見を開き、24日から東京・江東区の西濃運輸深川支店で約1年間EVトラック1台を使用した集配業務での実証運行を行うことを発表した。

今回実証実験に使用されるEVトラックは、日野自動車が開発した1トン超積み低床トラックで、基本的な構造はヤマト運輸(山内雅喜社長)が3月から都内で実証運行を行っている2台(うち1台はトヨタブランド)車両と同じ。ヤマト運輸では、冷凍・冷蔵バンを架装しているが、西濃運輸で実証運行に使用される車両はドライバン仕様となっている。床下のバッテリーに充電した電力でモーターを駆動するため排気ガスはゼロ。低騒音のため、深夜・早朝の集配業務にも適している。
 また、前輪駆動として荷台の床面地上高を44センチメートルまで下げ、荷役作業での乗務員の負担軽減を図るとともに、車両全高を2.3メートル以下に抑えたことで立体駐車場への進入を可能にしている。

西濃運輸では環境対策として、都市部での台車・自転車による配送などを実施するとともに、自動車の低公害化も推進。2003年9月にハイブリッドトラックを導入し、現在、約1万1千台の自動車のうち1760台がハイブリッド車となっている。

 EVトラックの実証実験では、深川支店から日本橋・銀座の繁華街までの往復約12キロメートルを走行。午前中に配達を行い、正午前後に深川支店で充電。午後に集荷を行う計画。実証運行に先駆け、深川支店には急速充電器が設置された。1年間の運行を通じて、消費電力やバッテリー性能を評価するとともに、車両全般の使い勝手を検証する。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日通グループ全国安全衛生大会
    ☆グローバル版大手物流企業業界地図2013②「ヤマトグループ編」、③「SGグループ編」
    ☆人物ウィークリー、日本通運営業企画部長兼お客様相談センター所長・勅使川原徹氏

  • ☆国交省、ASV装置導入補助申請受け付け開始
    ☆物流業実態に合わせた駐車規制や中型免許見直しを-日商が政府の会議に意見提出
    ☆新会長に北野姫路合同会長、南氏は名誉会長に-路線連盟が社員総会
    ☆関西の国際物流戦略チームが関空貨物便就航ニーズ調査、関西での就航・増便要望多い欧州方面
    ☆ヤマトシステム開発、申し込み受け付けから利用明細照会までを一括支援する会員制サービス11月に提供開始へ
    ☆日立物流、静岡県と愛知県内に物流センター開設
    ☆全日空、路線拡大や貨物会社設立で貨物事業拡充へ
    ☆SBSHD、NASVA安全教材に研修風景が収録
    ☆セブン&アイ、小売業では初めて大規模災害対策の一環で燃料備蓄基地を建設へ
    ☆SGHDとハマキョウレックスが資本業務提携で最終合意、10月1日に株式交換
    ☆セイノーHD、4種類の決済方法で企業間決済サービス「セイノーB2B」開始

今週のユソー編集室

  • ▼1964年の東海道新幹線開業により、それまで特急で6時間半かかっていた東京~大阪間の所要時間は、3時間10分程度まで大幅に短縮された。その事実は、今も人々の生活に大きな影響を与えている。
    ▼先日行われたヤマト運輸労働組合の研修会で、同社の山内雅喜社長はその例を引き合いに出し、同社が実現を目指す東名大間当日配送について、「企業間物流を中心に、日本を変えるほどのインパクトをもつ」と力説した。
    ▼東名大間当日配送の構想については、すでに一般紙でも報道されているが、これに関するネットユーザーの感想を読んでみると、「そこまでする必要があるのか」という意見が少なくないことに驚く。
    ▼ただ、個人レベルではそうであっても、コスト削減にしのぎを削る企業レベルでは、やはりインパクトは大きいだろう。実現までの道のりは簡単ではないだろうが、日本の物流にどれだけの影響を与えるのか、注目が集まっている。

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