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2013年8月5日付 2484号

戦略港湾の混雑問題、運転者の拘束時間を厳守する運動展開へ  関東ト協海コン部会

 関東ト協海上コンテナ部会(荒木俊夫部会長)は7月29日に開いた2013年度通常総会で、一向に改善されない京浜港と周辺道路の混雑・渋滞の解消に向け、10月から会員450社が一丸となって、ドライバーの拘束時間を守る遵守運動を展開する方針を固めた。

 京浜港は、2010年に阪神港と並んで、国際コンテナ戦略港湾に選定され、国際コンテナ取扱量増加に向けた国内貨物のさらなる集荷などの方針が示された。一方で、京浜港のコンテナターミナルや周辺道路では、荷役待ちのトレーラによる混雑・渋滞が常態化。ドライバーの拘束時間も長時間化し、安全運行の阻害やコストアップ、ドライバーの離職などの問題がトレーラ事業者に重くのしかかっている。

 東ト協海コン部会が主体となって12年11月に行った調査によると、青海地区A-1ターミナルで輸入コンテナの搬出と搬入を行う場合の平均待機時間は5時間8分となっており、ピーク時には10時間に迫ることも珍しくないという。こうした長時間におよぶ待機時間に、前後の運行・荷役時間を加えると、運行管理上の拘束時間を超えるケースが多く発生しているものとみられる。

 関東ト協海コン部会では、長時間待機の解消に向け、関係機関への要望を行ってきたが、一向に抜本的な改善が図られないことから、ドライバーの拘束時間を遵守することで、「実力行使」に出ることを決めた。時期としては、10月1日の適正化実施機関による巡回指導結果報告強化に合わせスタートさせる計画で、9月までに海コン部会のない山梨県を除く管内各都県で説明会を開く。

 具体的な運動内容は今後詰めるが、「全会員で抜け駆けのない、一糸乱れぬ形でやる」(荒木部会長)方針で、これにより「ターミナルオペレーターを事態改善に向けた土俵に上げさせる」(同)戦略を描いている。
 一方で、荷主からの契約解除につながる可能性や拘束時間が切れた時に待機列から離脱できるかなどのオペレーション上の問題、その際のコンテナ保管料の負担の問題などを指摘する声もあり、荒木部会長も「(運動は)もろ刃の剣」との認識を示す。こうした課題点をクリアしながら、10月の運動開始に持ち込めるか、注目が集まる。

沖縄にアジア向けパーツセンター設置  ヤマト運輸・沖縄ヤマト運輸

 ヤマト運輸(山内雅喜社長)と沖縄ヤマト運輸(赤嶺真一社長)は3日、那覇空港に隣接する国際物流拠点産業集積地域(旧FTZ)の国際ロジスティクスセンター3、4階に「パーツセンター」を設置、運用を開始した。

 アジア航空輸送ネットワークに直結した在庫拠点として、スピーディーな配送や保税状態での在庫を実現。受注締め切り時間の大幅延長、保管コストの削減、在庫圧縮が可能になり、アジア向け緊急輸送の需要等に応えられる。 また、日本から海外各地向け、海外各地から日本向けの荷物について、沖縄で集約できるため、輸送コストの圧縮も可能となった。さらに保税状態での保管、修理、生産が可能になったことで、海外各地に修理工場をもつ必要がなくなり、技術流出を防ぐことや、日本の税金がかからない、といったメリットも提供できるとしている。

 このパーツセンターでは、最初のユーザーとして東芝自動機器システムサービス(滝澤靖司社長)が決まっており、海外向けの自動紙幣処理機について、販売先での故障・メンテナンス発生時に必要となるサービスパーツをすぐに現地へ供給できるよう、沖縄で保管し、24時間スピード通関を活用したアジア向けの最短翌日配達や、欧州向けへの供給も行っていく考え。運用開始に先立ち2日には、現地で開所式が開催された。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクスは「吉」か「凶」か③

    ☆道『規制緩和時代の幕開け⑬』

    ☆運輸労連、夏季一時金の妥結一覧

    ☆これだけは知っておきたいアジア進出の落とし穴③『タイ』

    ☆人物ウィークリー、日本通運財務部長・増田貴氏

  • ☆国交省事務次官に舛田優一国交省交通審議官

    ☆カンダHD、医薬品物流の拡大へ久喜物流センター竣工

    ☆東ト協がドラコン開催、都知事賞に馬上選手(日本通運)

    ☆蔦井倉庫、石狩新港に自社大型倉庫竣工

    ☆ヤマト運輸が本社組織改正、EC営業部を新設

    ☆千葉ト協がドラコン開催、総合優勝に田中選手(日本通運)

    ☆日通、見積もりや送り状が発行できる「webアロー」開始

    ☆佐川急便がCO2削減目標を達成、目標大きく上回る

    ☆物流連が若手16人のWG設置、物流業のイメージアップへ新たなPR方策を検討

    ☆国際コンテナ戦略港湾第2回政策推進委を開催、中間とりまとめの骨子案を提示

    ☆全ト協と日貨協連、事務局連絡会議開く

今週のユソー編集室

  • ▼ヤマトグループが満を持して打ち出した、「バリュー・ネットワーキング構想」。その中核的な役割を担う施設の1つ「厚木ゲートウェイ(GW)」が、いよいよ11日から稼働する。
    ▼発着同時仕分や随時幹線運行など「止めない物流」を目指し、さまざまな工夫を凝らしたこの施設。同社ではその活用により、2016年までに東名大間の当日配達を実現するという、野心的な目標を掲げる。
    ▼GWはその性質上、複数設置されることでより大きな効果を生む。来年の三河、再来年の関西が稼働し、東名大間の当日配達が実現した際に、社会的にどのようなプラス効果がもたらされるのか、大いに注目が集まっている。
    ▼構想の発表段階では、「ラストワンマイル」の部分にどのような手当てを行っていくのかについての言及はなかった。高度なサービスを支える配達品質を維持向上していくために、ヤマトグループが今後どういった手を打つのか、そんな点にも興味がある。

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