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2013年11月4日付 2495号

宅配単価は22円増で適正運賃収受は一定の成果、今後は個数増も  SGHD

会見する和田取締役

 SGホールディングスの和田潔取締役は10月30日、東京・霞が関の国土交通省で記者会見し、2014年3月期第2四半期決算の内容などについて説明。宅配便単価の上昇で利益率が向上したことなど、佐川急便が進めている適正運賃収受の活動が、一定の成果を挙げているとの認識を示した。

 第2四半期決算では、宅配便の個数減少等で226億円の減収となったものの、コスト削減の面で、労務費118億円、外注費183億円、燃料費3億円、その他原価62億円と大きな進展がみられ、営業利益は213億円の前年同期比54%増を達成、営業利益率も前年同期比3.2%から5.1%へ改善された。

 上期の宅配便実績は、飛脚宅配便が6億625万4千個の11.3%減、飛脚航空便が462万1千個の12.0%減、飛脚クール便が1535万1千個の13.2%減、飛脚メール便が3781万9千冊の14.2%減、飛脚ゆうメールが1億4175万8千冊の18.4%減、e―コレクトが5894万個の12.4%減、その決済金額は5923億400万円の10.1%減となり、適正運賃収受の活動から、いずれも2桁の大幅減少を記録している。一方で同活動の効果により、宅配便の単価は22円増加し481円を記録した。

 これらについて和田取締役は、「適正運賃収受の活動による個数の減少幅と単価の上昇幅は、いずれも想定を上回っており、かなりの水準まできている」と説明。今後の展開については、「このまま進めていくのではなく、バランスをとっていく。サービス面で付加価値をつけて折り合える運賃を探るなど、企業努力を継続していく」として、取扱個数増大も意識した取り組みに転換していく方針を明らかにした。

 なお、第2四半期末の社員・パート・アルバイトを含む人員数は7万1941人で、500人の減少となっている。

萩尾副社長が会見、国内複合事業の利益率大きく改善  日本通運

国内複合事業の収支改善策の取り組みを語る萩尾副社長

 日本通運の萩尾計二副社長は10月31日、2014年3月期第2四半期決算発表の記者会見で、国内複合事業の収支改善策について、増収とコスト削減の両輪であたっており、今後さらに顧客ごとの「限界利益管理徹底」の推進、各現場の利益管理『練度』の向上の取り組みを強化していく姿勢を示した。

 同社では、現経営計画の基本戦略の数値目標に「国内複合事業営業利益率3%(2016年3月期)」を掲げ、今年度は2%の達成を目指している。第2四半期の複合事業売上高は3532億9200万円の前年同期比2.1%増、営業利益は52億3800万円の246.5%増と、大幅増益を確保し、利益率は前年同期の0.4%から1.5%へと大きく改善している。

 収益性向上の取り組みについて萩尾副社長は、下請費、購入費等徹底した支出管理と同時に、増収へのこだわりを持って臨んでいる点を強調。宅配便事業の切り離し以降、売上高ベースで2000億円規模の減収となっており、「減収でのコスト削減は収支均衡に陥り、大変厳しいものになるだけに、収入を上向かせることに重きを置いている」との取り組みの姿勢を説明。

 具体的には、顧客ごとの「限界利益管理の徹底」を推し進め、その成果は取引先上位30~60位であがっており、今後、限界利益「額」より「率」に重点を置き、重厚長大産業が占める上位30位の改善に向けて取り組むとした。

 一方、管理業務の見直しによる固定費の圧縮や、徹底した「変動費の見える化」によって各現場では手応えを感じ始めているとの認識を示し、引き続き、利益管理の『練度』を高めていくとした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か⑨
    ☆これだけは知っておきたいアジア進出の落とし穴最終回『インド』

  • ☆全ト協と道運研が5日に要望実現の会、事業者、議員300人参加し軽油高騰経営危機突破へ
    ☆国交省、運輸安全マネジメントセミナー民間4機関が実施
    ☆ユニーグループ共同物流拠点、マザーセンター稼働
    ☆日通総研ロジゼミ、セブン―イレブンの新形態物流を学ぶ
    ☆総務省の8月分サービス産業調査、道路貨物運送業の景況感が大きく悪化
    ☆全国ドラコン、プロ日本一に唐木さん(11㌧部門日通東京運輸)、4㌧部門優勝・倉本さん(鳴海急送)に国交大臣賞
    ☆SBSロジコム、横浜市の磯子区内に国際物流センター建設へ 
    ☆日立物流、マレーシア・バンギに物流センター開設
    ☆西濃運輸、東京国体陸上競技で選手の荷物を輸送
    ☆OLS、創業20周年を記念し「感謝の集い」開く
    ☆国交省・エネ庁、省エネ型トラック運送実証実験公募開始
    ☆ヤマトパッキングサービスが秋田トリニティセンター開設へ、山陰に続き2ヵ所目
    ☆佐川急便、来年3月に3台の大型天然ガス車導入へ 
    ☆日立物流、3PL事業の深化へ新ビジネスモデルツール開発
    ☆2013年秋の叙勲
    ☆物流各社の2014年3月期第2四半期連結決算
    ☆日通総研短観、国内向け出荷量(9月調査)2年ぶりプラスに
    ☆日立物流、インドネシア・ジャカルタに現法設立
    ☆埼玉ト協が資金繰り円滑化対策マニュアル実践編、DVD3千枚を作成
    ☆日通東京輸送協組が第42回通常総会開く

今週のユソー編集室

  • ▼このほど発表された、SGホールディングスの連結決算では、営業利益が前年同期と比較して1.5倍に伸びた。一般紙等でも話題になった、適正運賃収受活動の効果だという。
    ▼寡占化が進む宅配便業界だからこそできた活動なのかもしれないが、それにしても取扱個数の減少は2桁を超えている。この事実は、値上げ交渉がいかに劇薬なのかということを、端的に表しているようにも感じてしまう。
    ▼適正運賃収受といえば、JR貨物も鉄道事業部門の赤字解消に向け、鋭意取り組んでいく方針という。積載率の非常に高い列車を対象に、予約キャンセル料の改定とあわせて進められていくようだが、こちらの動向も気にかかる。
    ▼物流業界にとって永遠にして最大の課題ともいえる適正運賃収受。その実現に向けて、具体的な行動をとる企業が出てきている。ドライバー不足などを背景に、こうした動きが広まっていくのかどうか、注視していきたい。

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