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2013年11月25日付 2498号

トラックの7~9月期景況感は水面下も全規模で大幅に改善  全ト協

 全ト協は18日、7~9月期トラック運送業界の景況感をまとめた。日銀短観でも景気回復や円安進行などを背景とした企業マインド改善が続いていることが確認される中、トラック運送業界の景況感の判断指数は、マイナス14と前回から大幅に改善した。前回大規模事業者に集中していた改善が、今回はいずれの規模においてもみられるものの、営業利益は燃料価格高騰の影響を受け、中小規模事業者では依然として伸び悩んでいる。

 10~12月期の見通しについてはマイナス14の横ばいで、内需盛り上がりによる受注増となっても、コスト増による収益圧迫の懸念が景況感判断を押し下げている。

 7~9月期景況感は、「好転」とした事業者は21%で10ポイント増加、「悪化」とした事業者は32%で10ポイント減少し、判断指標はマイナス14と22ポイント改善した。

 特積み貨物の宅配貨物は、輸送量の判断指標がプラス6で11ポイント悪化、営業収入はマイナス10で17ポイント悪化、営業利益もマイナス10で6ポイント悪化した。宅配以外の特積み貨物は、輸送数量がプラス23で17ポイント改善し、営業収入もプラス28と30ポイント改善、営業利益もマイナス8と6ポイント改善。

 一般貨物は、輸送数量がプラス5となり25ポイント改善、営業収入もプラスマイナスゼロとなり20ポイント改善し、営業利益はマイナス29と7ポイントの改善にとどまった。

 運賃水準は、宅配貨物の判断指標がマイナス13で9ポイント悪化、宅配以外の特積み貨物はプラス15で24ポイントの改善、一般貨物はマイナス10で9ポイント改善した。

 雇用状況(人手の過不足)は、プラス54で22ポイント上昇し、依然として不足感が強い。

 10~12月期の見通しは、業界の景況感の判断指標はマイナス14。12月にかけて増税前の駆け込み需要で内需が盛り上がると予想されるものの、受注増となっても燃料コストの高止まりや人材不足、環境適合車の維持コストなどが圧迫し、景況感を前回の横ばいにとどめている。

 宅配貨物は、輸送数量、営業収入、営業利益がやや減少の見込み。宅配以外の特積み貨物は、輸送数量と営業収入はやや減少し、営業利益はわずかに増加の見込み。

 一般貨物は、輸送数量が横ばい、営業収入はわずかに減少、営業利益がほぼ横ばいの見込み。

 運賃水準は、宅配貨物は改善、宅配以外の特積貨物はやや悪化、一般貨物は横ばいの見込み。

2012年の事業用自動車事故は死者数増加に-総合安全プラン中間指標達成に”黄信号”  国交省

 国土交通省は20日、東京・霞が関の同省で2013年度の「事業用自動車総合安全プラン2009フォローアップ会議」を開き、2009年の安全プラン策定後に全ト協など関係団体が取り組んだ施策の発表などを行うとともに、最近の事故発生状況を報告。事業用自動車が第一当事者となる事故による死者数はここ数年減少傾向にあったが、12年に増加に転じて466人となり、中間指標である「13年に380人」の達成が難しい状況であることがわかった。

 プランでは、18年までに「10年間で事業用自動車による事故件数、死者数の半減と飲酒運転ゼロ」の目標を掲げ、各種の施策を示すとともに、毎年フォローアップを行い、施策の見直しなどを行っている。

 08年に5万6295件だった事故件数は12年に4万5346件となり、13年に4万3千件という中間指標を達成する見込み。飲酒運転も、08年に取り締まり件数が287件だったが12年には121件となり、着実に推移している。

 死者数は08年に513人だったが、11年までに447人と減少傾向をたどった。しかし、12年には466人と増加し、中間指標の達成が危ぶまれている。このうち、トラックは405人と高い水準にある。

 こうした状況から、今後は健康・過労運転起因事故対策や中小・零細事業者対策、安全コストに対する荷主とのパートナーシップの醸成などを実施し、来年4月ごろ開催の第5回会議で今後取り組むべき対策を示す。

 また、来年6月には第6回会議を開き、中間見直しを公表する計画。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か⑩
    ☆連載企画、『通販~トレンドと近未来予測~』(1)「ネットとアマゾンと楽天」
    ☆四文字『組織が悩む「財政運営」』
    ☆道『規制緩和時代の幕開け(21)』
    ☆日中ビジネスワンポイント『江南水郷「古鎮」巡り 最終回』

  • ☆東京団地倉庫7~9月調査、入出庫と残高いずれも減少に
    ☆埼玉ト協が営業対策マニュアル作成、“ちいさな運送事業者”支援へ
    ☆東ト協連の運賃動向アンケート、現行収受運賃の水準9割近くが『低い』 
    ☆鉄貨協が講演会と演奏会開催、福島・伊達市長の講演など
    ☆来月12日にグリーン物流パートナーシップ会議、物流のCO2排出削減優良事業者を表彰
    ☆国交省の加藤物流審議官が会見、日韓間のシャシ通行リードタイム短縮で在庫管理に効果大
    ☆警視庁、都内の駐車規制緩和2ヵ所追加し45に
    ☆各労連の秋闘妥結状況
    ☆日通の10月国際事業実績、航空輸出が水面まで回復
    ☆全ト協、地球温暖化対策税の還付措置の適用を自民衆参議員に要望
    ☆エコドライブ普及推進協とエコモ財団がシンポジウム、活動コンクール表彰と取り組み事例の紹介
    ☆NASVAの上半期の業務実績、インターネット予約が増加し指導講習で76%に
    ☆赤帽長野県協組が特殊詐欺を未然防止で小諸警察署から感謝状
    ☆日倉協、「倉庫業の成長戦略」テーマに物流フォーラム開催
    ☆アートが引越キャンペーン、ディズニーキャラクター『ドリームBOX』プレゼント
    ☆厚労省が賃金構造基本統計調査まとめる、運輸業・郵便業の初任給は高専・短大卒が上昇
    ☆世界12ヵ国から177社が出展し東京モーターショー開幕、トラックメーカーの意欲作多数

今週のユソー編集室

  • ▼ヤマトホールディングスがこのほど行った、2014年3月期第2四半期決算説明会の質疑応答資料を見ると、労働力需給に関する質問が真っ先に挙がっている。
    ▼資料では、東京、大阪、名古屋などの都市部を中心に人員の確保が難しくなっており、フルタイマーは、募集をかけても集まりにくくなってきているとある。
    ▼今年に入ってから、こうしたドライバーが足りないという話を耳にする機会が、圧倒的に増えている。業界最大手企業の一つ、ヤマトグループにしてその状況なのだから、他の企業の状況は推して知るべしといったところだろう。
    ▼以前から指摘され、将来的な脅威とされてきた労働力不足の問題が、今やはっきりと危険な兆候を見せ始めている。早期改善が見込めない状況を考えると、あらゆる手法を検討せざるを得ない。ただ、労働力確保が低コストを前提としたものになるなら、日本の物流の未来は決して明るいものではないだろう。

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