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2014年3月3日付 2510号

労働力不足対応等でモーダルシフトに「本腰」  国交省がアドバイザリー会議設置

 国土交通省はきょう3日、物流業界を取り巻く課題や対応策を検討し物流政策に反映させるため、有識者や物流事業者、荷主企業担当者らによる「物流政策アドバイザリー会議」を設置、第1回会合を開く。当面の議題は、トラックをはじめとする物流業界で深刻化する労働力不足問題。会議を設置した加藤由起夫物流審議官はモーダルシフトを有効な労働力不足対応策として挙げており、専門アドバイザーにJR貨物や内航海運、通運関係者らを据え、モーダルシフト推進に向けた議論を開始する。

 2月26日の会見で、アドバイザリー会議について説明した加藤審議官は、「交通政策基本法が成立し、今後は交通政策基本計画を策定する必要がある。物流は経済活動そのものであり、策定にあたっては官の視点だけでは対応できないため、アドバイザリーボードが必要だと思っていた」と設置の理由を述べた。

 会議は、「常任アドバイザー」として、顧問に杉山武彦成城大教授、座長に野尻俊明流通経済大教授を迎え、委員には坂口琢也みずほ銀行産業調査部次長、宿谷肇物流連事務局長、徳田雅人JILS専務理事、中村次郎JIFFA・JAFA会長、広瀬茂広トヨタ自動車生産部品物流部長、根本敏則一橋大教授らが参加し、幅広いテーマを扱っていく。

 また、テーマごとに「専門アドバイザー」が招集され、第1の議題となる労働力不足問題では、稲田浩ブルボン製造保証本部製造管理部業務管理課課長、大野泰ファミリーマート物流・品質管理本部物流企画部長、齋藤充日本通運常務執行役員、真貝康一JR貨物総括執行役員、鈴木喜一佐川急便常務、辰巳順長距離フェリー協会業務委員会委員(オーシャントランスフェリー常務)、野崎哲一内航大型船輸送海運組合会長(近海郵船社長)、森日出男ヤマト運輸常務執行役員がモーダルシフト推進について議論する。

 加藤審議官はモーダルシフトについて、これまでの環境対策に加え、労働力不足対策としても有効な手立てであるとの考えを強調。「“腰を据えて”モーダルシフト推進に取り組む」と述べた。

3ヵ年計画の目標達成、今期は4つの新商品拡販へ  押入れ産業が全国加盟店経営者大会開く

 押入れ産業(黒川久社長)は2月27日、東京・大手町のKKRホテル東京で、2014年度全国加盟店経営者大会を開催した。

 黒川社長は大会終了後に記者会見に臨み、コンテナ、文書保管、レンタル収納スペースの主要3事業において、11年2月から14年1月までを計画期間とする前3ヵ年計画の目標を、いずれも達成できたと説明。本年度は13年度に開発した新商品の販売に力を入れていく姿勢を強調した。

 14年1月末のコンテナ事業の稼働率は76%で、10年度実績比6ポイント増となり、同6ポイント増に設定した計画目標を達成。文書保管事業では在庫数が10年度実績比7%増となり、6%に設定した計画目標を達成。レンタル収納スペースは稼働率77%で、10年度実績比7ポイント増となり、同7ポイント増に設定した計画目標を達成した。

 13年度には、全国8ブロックを4つの地域に分け、それぞれの地域で新商品として、より低価格で提供できるコンテナや、屋外保管を前提とした全天候型コンテナ、輸送にまで対応するコンテナ、タイムカプセルと指定日時に配達するパックサービスを開発。14年度は、これら新商品の拡販や必要に応じた水平展開を進めていく考え。
 ネットワークでは、13年度期首に全国で7つあった取扱店をもたない県について、高知と大分で取り扱いを開始。14年度は山口と鹿児島で取り扱いを開始していく予定としている。

 黒川社長は会見で、安い価格で屋外に設置するコンテナとの競争が激化しているとしながらも、「われわれにはわれわれの進むべき道がある」と語り、保管品質にこだわった従来戦略を継続する考えを示した。14年度からの新3ヵ年計画については、「現在策定中」としながらも、コンテナ事業では16年度末時点で保有1万台(14年度期首比200個の純増)、稼働率80%を目指していくことを明らかにした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆連載特集・引越(3、最終)
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(17)
    ☆インタビュー、物流連会長・川合正矩氏『物流連の果たすべき役割』(上)

  • ☆国交省・加藤審議官が会見、日本の物流サービスをアセアン標準に
    ☆全ト協の先進環境対応ディーゼルトラック補助、14日と17日に受け付け
    ☆引越専門協組連、北澤新会長を選任
    ☆全ト協、高速道路会社等に新料金案への意見提出
    ☆全ト協、青年部会が全国大会開く
    ☆ヤマトHD、国内海外共通の会計システムを刷新
    ☆日倉協、中小倉庫業経営者セミナー
    ☆センコー、4月1日付で機構改正
    ☆山九、インドネシアに初の自社物流センター
    ☆山九など3社、自動認識技術を採用した化学品の新管理システム開発
    ☆日本郵政が中計策定、ゆうパック5億個へ
    ☆ヤマトシステム開発、「ふるさと納税支援サービス」開始

今週のユソー編集室

  • ▼国交省の加藤由起夫物流審議官は、このほど行った記者会見で、今まで以上にモーダルシフトの推進へ力を入れて取り組んでいく姿勢を示した。
    ▼従来は、地球温暖化対策など環境優位性ばかりが注目され、実際の進展率は今一つとも受け止められていた、鉄道や海運へのモーダルシフト。ここへきて顕在化しつつある、トラックドライバーの労働力不足がこうした状況を変化させ、国交省の背中を押した。
    ▼モーダルシフトが進展をみせ、労働力不足の問題が改善されることを願ってやまないが、一方で、対処策にすぎないのではないか、という懸念もある。
    ▼貨物鉄道の主要幹線には余力が少なく、若手労働者不足で悩んでいるのは、内航海運も変わらない。何より両モードとも、末端部分の輸送を大型トラックに頼らざるを得ないという状況は、変わらないからだ。行政の動きを大いに歓迎しつつも、魅力ある業界づくりという自助努力にも力を入れていきたい。

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