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2014年5月12日付 2518号

日本の売上高物流コスト比率は米国の半分  JILSの13年度調査

 日本ロジスティクスシステム協会(JILS)はこのほど、「2013年度物流コスト調査」の結果を公表。売上高に占める物流コストの比率は12年度調査よりもわずかに上向いたものの、依然4.7%台で推移している。
 
 調査は、製造業、卸売業、小売業などを対象に、13年8月から14年3月にかけて実施したもので、売上高物流コスト比率調査には、192社が回答している。

 売上高物流コスト比率は、1996年度の6.58%をピークに減少傾向が続き、2005年度には4.83%と5%を切った。翌06年度には5.01%と5%台を回復したものの、07年度には再び4%台に落ち込み、12年度には4.72%となった。13年度は4.77%と微増している。

 業種別にみると、製造業では、「窯業・土石・ガラス・セメント」の比率が最も高く8.69%、卸売業では「食品飲料系」の6.13%、小売業では「通販」の12.09%がそれぞれ高い。返品、回収、廃棄などの輸送にかかる「リバース物流コスト」の割合は2.67%。11年度は4.09%だったが、12年度には3.14%となり、13年度さらに減少した。
 領域別にみると、「返品・返送物流費」が1.69%、「回収物流費」が0.74%、「廃棄物流費」が0.14%、「リサイクル物流費」が0.1%となっている。

 日本とアメリカの売上高物流コスト比率の比較では、アメリカが11年の7.77%、12年の7.87%、13年の8.41%と7%台後半から増加傾向にあるのに対し、日本では主要製造業で6%台、全産業では4%台で推移している。

 過去1年間に行った物流コスト削減策(回答188社で複数回答)については、「積載率向上」が118件、「在庫削減」が107件、「物流拠点見直し」が104件などとなっている。

タイでの物流基盤構築に向けて2ヵ所に物流施設建設へ  センコー

 センコー(福田泰久社長)はこのほど、タイ最大の貿易港であるレムチャバン港に、輸出入貨物を中心に扱う物流センターの建設を開始するとともに、バンコク市内からアクセスの良いアユタヤ市内に量販・小売店向け物流センターの建設用地を購入したと発表した。レムチャバンの物流センターは2015年4月、アユタヤは16年4月に稼働予定。

 同社では、アセアン物流ネットワーク構築による事業拡大を図るため、第1ステップとしてタイ国内に物流センターを開設、第2ステップでタイ周辺諸国への拠点拡大を進め、タイを起点とした国際陸上輸送による「陸のアセアン」、第3ステップでは、海上輸送を中心とした「海のアセアン」への物流ネットワークを構築するとしている。

 レムチャバン輸出入物流センターは、敷地面積4万8593平方メートルの鉄骨造り平屋建て3棟を建設し、合計延べ床面積は2万1416平方メートルとなる。レムチャバン港から約10キロメートルに位置する。

 アユタヤ物流センターは、敷地面積4万5千平方メートルに鉄骨造り平屋建てを建設。延べ床面積は約2万平方メートルで、バンコク市内から約70キロメートルに位置し、隣国のラオスやカンボジアへの利便性に優れ洪水対策も施されているという。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字『通運の名称と「事業法則」』
    ☆道『ドルとオイルショックと車社会』(2)
    ☆人物ウィークリー、国土交通省関東運輸局・香田裕明自動車監査指導部長

  • ☆国交省、全ト協会員事業者に大型車の適正運行を要請
    ☆全ト協のWebKIT成約運賃指数、4月も高水準を維持
    ☆味の素、埼玉・久喜の新センターが稼働
    ☆NTTデータ、エースコックベトナムから物流管理・経営分析システム開発を受託
    ☆埼玉ト協が中小トラック事業者の経営課題報告書、課題は燃料や安全対策
    ☆2013年度の長距離フェリー実績、トラック航送台数は5%増加
    ☆物流連の労働力問題小委、初会合開き現状と改題を把握
    ☆SGムービングが機密文書の新サービス、専用車両導入し顧客庭先で溶解処理
    ☆国交省が物流政策アドバイザリー会議、国際海上物流システム改善で鉄道低床貨車導入を検討
    ☆JILS、物流現場の改善事例大会開く
    ☆SGHD、適正運賃収受活動で13年度宅配便単価は26円改善
    ☆ヤマトHD・ヤマト運輸が13年度の宅急便商品別実績発表、海外の宅急便は19%増加
    ☆全ト協が事業用貨物車の事故傾向発表、死亡事故は早朝の発生が多い
    ☆14年春の叙勲
    ☆各社の14年3月期連結決算
    ☆全ト協・日貨協連、4月のWebKITは荷物情報前年同月比36%増
    ☆センコー、コカ・コーラウエストの九州エリア物流業務受託

今週のユソー編集室

  • ▼欧州サッカーのとある試合で、黒人選手が観客席から人種差別的な意味でバナナを投げ込まれた。ところがこの選手は、「気にしない」とでも言いたげに、それを拾って食べた。
    ▼これを契機としてサッカー界では現在、選手や監督がバナナを食べることで、反人種差別をアピールする活動が行われている。日本でも先日、人種差別的な横断幕を掲げたサポーターをもつサッカークラブが、リーグ運営者から処分を受けた。
    ▼日本のケースでは、横断幕を掲げた人物が、「差別的意図はなかった」と釈明していたという。だが、一部にせよそうした釈明をしてしまう人物がいるというところに、問題点が潜んでいるように思う。
    ▼物流業界はもとより、人手不足は日本社会全体の懸念事項になりつつある。外国人移民を受け入れれば、こうした問題は改善されるだろう。一方で、予想される社会環境の変化に適応しようという姿勢は、まだ日本社会にはみられない。

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