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2014年6月9日付 2522号

2013年度のトラック業社会保険未加入事業者割合が06年度比9.7ポイント減少、処分強化等が奏功  国交省

 国土交通省は4日、東京・霞が関の同省で「貨物自動車運送事業における適正取引推進のための関係省庁等課長級会議」を開き、トラック運送業における社会保険の未加入状況などを報告。適正化事業実施機関の巡回指導で2006年度に26.7%だった社会保険の未加入率が通報制度の導入や行政処分強化などにより、昨年度は17.0%にまで下がっていることがわかった。しかし、依然として巡回指導を行った事業者のうち2割近くが社会保険未加入で、これらの事業者は本来社会保険に充てられるコストを運賃の引き下げ原資に充当している可能性もあり、さらなる対策の強化が求められている。

 同会議は、年1回、国交省、厚生労働省、日本年金機構の担当者が出席して、トラック運送業での社会保険・労働保険未加入対策に関する運用状況や今後の取り組みを話し合うもので、今回で6回目。

 国交省からは、新規許可時の社会保険加入指導や地方実施機関からの通報制度導入、行政処分強化など、これまでの対策についての説明が行われた。新規許可時の社会保険等への加入指導は08年3月の許可等の処理方針改訂により実施され、昨年5月からは、未加入事業者の情報を日本年金機構に提供する制度も開始された。

 地方実施機関から運輸支局への通報制度は04年から実施。昨年10月から12月までの3ヵ月間では、全国で595件の社会保険等未加入に関する通報が行われた。また、09年には一部未加入の初回違反を、「警告」から「10日車」の車両使用停止処分にするなど、行政処分を強化した。

 これらの取り組みにより、06年度に26.7%だった巡回指導時の社会保険未加入率は09年には25.2%に減少。12年度には19.4%と20%を切り、昨年度は17.0%となった。労働保険の未加入率も、06年の12.9%から昨年度は7.7%にまで低下した。

 しかし、加入が義務である社会保険に入らない事業者による不健全な競争状態が続いている現状は、人手不足に悩むトラック業界の将来のためにも早急に改善を図る必要がある。こうした状況に対し、国交省は、加入状況照会に対する回答の期間短縮を日本年金機構に求めている。

 現行制度では、適正化実施機関からの通報を受けて運輸支局が監査に入り、社会保険未加入が認められた場合、処分の前に年金機構に加入状況などに関する照会を行うが、約半数は回答までに2ヵ月以上を要し、スムーズな処分への流れを妨げている。回答までの期間は以前よりも短縮傾向にあるというが、現行の枠組みの中で、行政処分の効果をより高めるには、回答のさらなるスピード化が求められている。

シンガポール現地法人がドレージ子会社を吸収合併  SBSHD

 SBSホールディングス(鎌田正彦社長)は5日、シンガポールの現地法人「SBS Logistics Holdings Singapore Pte.Ltd(SLHS)が、同社の100%子会社であるドレージ輸送会社「GIMGUAN FREIGHT Pte.Ltd(GGF)を吸収合併したと発表した。

 SLHSは、SBSグループのアジア展開を推進・統括するとともに、シンガポールでの物流事業を展開。GGFは、1987年創業のドレージ事業(コンテナ輸送)を行うシンガポール企業で、2014年1月にSLHSが全株式を取得した。両社の合併は、SLHSのフォワーディング事業とGGFのドレージ事業を一体化させ、事業領域の拡大やコストダウン、輸送品質向上などを狙うもので、新規顧客開拓にもつなげる考え。

 合併後、GGFはSLHSの運送事業部門となり、年内にトレーラ14台をはじめ、トレーラヘッド、トラックの増車を計画。ドレージ能力はトレーラ95台、トレーラヘッド14台、トラック5台となる予定。今後、SLHSは、シンガポールでの国際・国内貨物輸送の拡大に努めるとともに、倉庫事業やCFS(コンテナ・フレイト・ステーション)事業などへの進出も検討していく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・営業倉庫
    ☆特集・通運
    ☆人物ウィークリー、国交省関東運輸局千葉陸運支局・近藤基了支局長

  • ☆全ト協・日貨協連、5月のWebKITは荷物情報26%の増
    ☆国交省・エネ庁、省エネ実証実験の公募開始
    ☆神奈川ト協、運輸安全マネジメントシステムの実践講座
    ☆国交省・田端自動車局長が会見、水屋の実態調査実施に向けて調整進む
    ☆交通労連が結成50周年のレセプション開催、関係者ら360人が出席してT盛大に祝う
    ☆日本冷蔵倉庫協会が定時総会、14年度は節電・省エネに取り組む方針
    ☆日本パレット協会が13年度統計まとめる、保有数量初の2千万枚超に
    ☆センコー、守山PDセンター内に新倉庫竣工
    ☆ヤマトホームコンビニエンス、住宅設備向けメーカーとエンドユーザー向けにテクニカルネットワーク事業開始
    ☆ヤマト運輸、虎ノ門ヒルズの館内物流一括管理
    ☆カンダホールディングスが14年度経営方針発表、全営業拠点の黒字化や国内外の業容拡大目指す
    ☆日貨協連、全国から600人が出席し創立50周年式典を開催
    ☆埼玉ト協が通常総会、常設委員会の再編など決める

今週のユソー編集室

  • ▼先日、流通経済大学の野尻俊明教授の講演を聞く機会に恵まれた。いうまでもなく教授は、数多くの公職を受け持つ、物流分野の第一人者である。
    ▼教授によれば、流通経済大学と言えど学部によっては、就職活動に際して物流業界への関心が薄いという。学生に理由を聞くと、「物流は身近ではないから」ということらしい。
    ▼「そんなばかな」と思う。外出すればトラックを見ない日はないだろうし、震災では物流の停滞で東日本のコンビニからモノが消えた。何より今どきの学生なら、ネット通販の利用はそれほど珍しいことではあるまい。
    ▼だが教授は指摘する、「問題は高校教育で物流がとりあげられないことだ」と。なるほど高校の「公民教育」はあまりにも幅広く、物流にそれほど多くの時間はとれないだろう。せめて教科書内で物流の記述を増やしてもらうしかない。非常に時間のかかる作業ではあるが、人材確保の面からも、粘り強く進めたい話だ。

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