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2014年7月7日付 2525号

輸出入コンテナが大幅増加、トランシップ率は欧州方面で急上昇  国交省

 国土交通省は6月30日、5年ごとに実施している「全国輸出入コンテナ貨物流動調査」の結果を公表。2013年11月の国際海上コンテナ貨物量は前回の08年調査に比べ、輸出量は36.6%増、輸入量も32.7%増と大幅な増加を見せた。一方で東アジア主要港湾でコンテナ貨物が積み替えられる「トランシップ率」は、欧州方面の貨物で上昇。寄港便数確保の取り組みが求められている。

 調査は、昨年11月1日から30日までの1ヵ月間に通関申告が行われた海上コンテナ貨物全量(空コンテナは含まず)を対象に、輸出は国内生産から海外仕向地までの流動実態、輸入は海外原産国から国内消費地までの流動実態をまとめた。

 貨物量については、輸出が692万トンで前回調査に比べ36.6%増加。輸入についても1098万トンで32.7%増加した。コンテナ貨物をやりとりする相手地域は、「東アジア州」が923万3863トンで最も多く、次いで「その他アジア州」の402万9153トンで、以下「北アメリカ州」の205万9926トン、「ヨーロッパ州」の169万9178トンなどの順となっている。前回調査と比べ、「東アジア州」が44%、「その他アジア州」43%など貨物量が増加している。

 トランシップ率は、北米方面は12.3%で前回より0.1ポイントの微減となったが、欧州航路については、前回の12.9%から24.6%に大幅に上昇した。背景には船社のアライアンスの変化などにより、欧州航路の1週間当たりの寄港便数が大きく減少していることがあると考えられている。寄港便数が減少すると、安価で短時間のルートが減少してサービス水準が低下するばかりでなく、わが国立地企業の輸送が海外トランシップルートを選択せざるを得なくなり、直接輸送ルートとの価格交渉力低下や遅延・荷傷みリスクなどの発生が懸念される。

 こうした状況に対し、国交省では、京浜港、阪神港への欧州航路寄港便数を1週間当たりそれぞれ3便に増加させることを目的に国際コンテナ戦略港湾政策を深化・加速させるとしている。

マレーシアLNGプロジェクトに1350トンクレーン導入  日通

 日本通運は2日、LNGプラント設備などの重量物を吊り上げる移動式クレーン「1350トン吊りクローラークレーン」を導入したと発表した。東南アジア地区に配備し、5月からマレーシア・ビンツルのLNG建設プロジェクトで稼働させている。投資額は約15億円。すでに所有する550トン、600トン、800トン、1250トン吊りクローラークレーンに、さらに能力の高い1350トン吊りを増備し、東南アジアでの重機建設需要を取り込んでいく方針。

 ベトナム、マレーシア、ミャンマーなどの東南アジアを中心としたLNGや石油精製等のプラント建設では現場作業の効率化や作業員の省力化のため、設備機器を生産拠点で組み立てた状態(モジュール化)で輸送し、そのまま現地で据え付けを行なうケースが増えており、大型クレーンによる作業を求められるケースが多くなっている。

 こうした工法の変化や建設部材の大型化、モジュール化に合わせ、海外プラント建設需要に確実に対応するため新規導入したもので、海外大型プラント建設工事は長期間にわたり、工事期間の変更も発生する傾向があるが、自社設備のため工事計画の変更にも柔軟に対応することができる。

 同社では、4月にベトナム日通エンジニアリングを設立し、タイ日通エンジニアリングとともに重機建設事業の強化を図っている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(22)
    ☆四文字『物流史の視点「企業対応」』
    ☆道『ドルとオイルショック、車社会』(6)

  • ☆全ト協・日貨協連、6月のWebKITは荷物情報15%の増
    ☆国交省事務次官に本田勝国土交通審議官
    ☆長距離フェリー協が定時総会、新副会長に安藤氏
    ☆日通、消防庁の建物破壊訓練に東京第2ターミナルを提供
    ☆佐川急便がドラコン開催、南東北支店が東北勢として初の優勝
    ☆トナミ運輸のお中元、北陸3県の旬の味
    ☆SGHD、第1回エコ絵画コンクールの募集開始
    ☆西濃運輸、東北地区最大規模の新仙台支店が竣工
    ☆国交省が事業用自動車総合安全プラン2009のフォロー会議、目標達成へさらなる対策必要
    ☆JILSが定時総会、西田会長を再任
    ☆運輸労連が定期大会、山浦委員長があいさつで労働力不足問題や燃油高騰対策に言及
    ☆ヤマトグローバルエキスプレス、保冷スペースの拡大など羽田ベースをリニューアル
    ☆日通、インドで日系物流企業初のAEO認定取得
    ☆トナミHD、菱星物流を子会社化
    ☆JR貨物、日本運輸倉庫が飯田町紙流通センターを吸収合併
    ☆西濃運輸、新東京支店の地鎮祭
    ☆ヤマトホームコンビニエンス、法人向けショールーム開設
    ☆日通商事大阪支店、ローコスト・軽量の紙製パレット発売
    ☆都の貨物輸送評価対象192社中189社が東京都トラック協会の会員
    ☆日通商事のお中元、カタログ『鮮』夏号の取り扱い開始

今週のユソー編集室

  • ▼景気回復と消費税増税前の特需に加え、トラックドライバー不足までもが重なった「嵐の3月」が過ぎ去り、迎えた新年度も第1四半期を終えた。
    ▼ここまでの各種指標をみると、物量の落ち込みは想定どおりか、想定より下回っているように感じられる。その反面、地域や業態によっては「6月の物量の落ち込みが激しい」とする事業者も現れており、今後の景気動向には不安感も漂っている。
    ▼一方で、燃料費の高騰は止まらず、トラック運送事業者の経営に、打撃を与え続けている。サーチャージ制度が機能していない現状を踏まえて、トリガー条項凍結解除に向けた要望など、業界からは悲鳴に近い叫びも聞こえてくる。
    ▼政府などが唱える景気回復の底堅さは、事業者にとって、今やかすかに差し込む希望の光のようにすら思える。これを腰折れさせるような動きは、厳に慎んでいただきたいものだ。消費税の再増税の話など、今はまだ聞きたくない。

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