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2014年6月30日付 2524号

「事業用自動車事故調査委員会」設置し重大事故の分析・再発防止策提言へ  国交省

 国土交通省は社会的影響の大きい事業用自動車の重大事故の要因分析や再発防止策の提言を行うため「事業用自動車事故調査委員会」を設置。26日に東京・麹町の弘済会館で第1回会合を開き、年間20数件を調査の対象とすることなどを確認した。

 トラックなど事業用自動車の重大事故は、背景に組織的・構造的問題があると疑われるものも多く、高度かつ複合的な事故要因の調査分析と客観性のある質の高い再発防止策の提言が求められている。こうした状況を踏まえ、国交省自動車局、道路局、警察庁交通局の協力の下、「交通事故総合分析センター」への外部委託により、事業用自動車事故調査委員会を運営するもの。年間約4万件発生している事業用自動車による交通事故のうち、特に重大な事故を年間3件程度、重大な事故を年間20件程度選定し、現地調査のほか、運送事業者への聞き取りや国交省・警察庁からの情報など多面的な視点から高度な複合分析を行う。

 委員は、酒井一博労働科学研究所所長を委員長に、交通、道路、車両、組織マネジメント、健康などを専門とする学識経験者ら8人で構成される。委員会は年4回程度開催し、直近3ヵ月間に発生した重大事故から調査対象を選定。早いものでは、事故発生から半年以内に再発防止策を公表する。ただし、運輸安全委員会と違って、設置に法的な裏付けが薄く、情報収集に関しての実効性を疑問視する見方もある。

 自動車運送事業者への調査については、運輸支局などの監査担当官が同行することで実効性を担保できるとしているが、無理な運行を指示した可能性が疑われる荷主や旅行会社などへの調査については、「任意で応じてもらうしかない」(国交省自動車局安全政策課)としており、事故の構造的背景を明らかにするための調査の実効性をいかに高めるかが今後の課題となる。

タイ・チョンブリ県に初の海外自社施設  SBSHD

 SBSホールディングス(鎌田正彦社長)は20日、タイ・レムチャバン港近郊に建設を進めていた同社初の海外自社物流施設の第1期工事が完了したと発表した。

 同施設は、タイ・チョンブリ県シラチャに所在し、敷地面積は6万3840平方メートル。タイのパートナー企業である「Trans Air Cargo Co Ltd.」と設立した合弁企業TASの開発によるもので、このほど1号倉庫と事務所棟が完成した。1号倉庫は、平屋建てで延べ床面積は9788平方メートル。事務所棟は、事務所11室、会議室3室、宿泊室7室のほか、食堂テラスなどを備える。

 1号倉庫はすでに日系企業の利用が決定しており、7月中旬から稼働。現在工事中の2号倉庫と寄宿舎棟は8月下旬の完成を予定。また、2015年秋の竣工を目指して3号倉庫を建設する計画で、最終的には3万平方メートル規模の物流施設となる。

 同社では、1号倉庫の完成とさらなる施設の拡充により、自動車、OA機器、各種部品メーカーなど多くの日系企業が集まる同エリアで日本品質の物流サービスを提供し海外戦略を加速させる。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・トラック運送業界の安全・環境対策

  • ☆国交省、今年度創設の港湾物流施設再編等補助事業の公募開始
    ☆交政審部会・社整審部会、交通政策基本計画中間とりまとめの素案を審議
    ☆物流連が通常総会、安部副会長を新任
    ☆日立物流、富山県内にメディカル業界向け物流センター
    ☆日通、国内航空貨物ウェブサービスを「そらネット」として大幅リニューアル
    ☆センコー、北海道の農産物関連物流会社を子会社化
    ☆日本自動車ターミナル、京浜ターミナル新7号棟着工へ
    ☆全ト協が通常総会、齋藤副会長を新任
    ☆首都圏キット協組、会員数売上高200社超える
    ☆通運連盟が通常総会、新理事長に飯塚裕氏
    ☆日通総研の14年度国内貨物見通し、全輸送機関で前年割れ

今週のユソー編集室

  • ▼22日朝方にJR北海道の江差線札苅駅構内で発生した貨物列車の脱線事故は、翌23日夜に復旧した。貨物列車の運休本数は56本に及んでおり、原因は現在調査中だ。
    ▼JR北海道管内における貨物列車の単独脱線事故は、今回も含めてここ2年程度で5件も発生しており、異常事態だと言っていい。今回の事故に関しては、貨物列車のコンテナ内の積み荷の片寄りも報道されており、原因の早期解明が求められている。
    ▼トラックのドライバー不足などにより、貨物鉄道への視線はにわかに熱を帯びてきている。だが、その足元を支えるネットワークの隠されたもろさに、不安を覚えずにいられない。
    ▼今回の事故が発生した現場は、北海道新幹線の開業に伴い第三セクター化が予定されている。それがネットワークの維持に、とりわけこうした事故や大規模災害の発生時に、どういう影響を与えるのかを予見し、必要な策を講じていくべきだと思う。

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