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2014年10月6日付 2536号

九州~関西・関東間農産品の共同トラック便運用開始へ  「新しい九州物流構築協議会」

 生産・物流・流通団体が参加する「新しい九州物流構築協議会」は11月1日から共同物流体制の運用を開始する。

 九州内から関西・関東への納品物流便を検討し、いままでにない、生産者が安定して依頼できる「物流便の確保」の仕組みを組み立てようと、西日本有機出荷組合(鳥越農園)、丸善運輸グループ、大地を守る会、らでぃっしゅぼーや、生活クラブ事業連合生活協同組合連合会(生活クラブ連合会)、パルシステム生活協同組合連合会(生協パルシステム)が発起人となり組織化したもの。9月26日に福岡県久留米市で農産物産直団体を対象とした運用説明会を開催している。年間2万トン分を扱う見込み。今後、九州内の中小出荷団体48ヵ所以上に呼びかけ、拡大させていく計画。

 新しい九州物流構築は、◎ドライバーの就業条件に関する厚生労働省からの「改善基準告知」再通達◎宅配便業界のクール便をはじめとする大幅な料金改定◎燃料コスト増による賃金の抑制とドライバー人材の確保困難-など、取り巻く環境が悪化する中、九州内では1車単位にならない小ロットの出荷団体や集荷ルートから外れ過疎地域にある出荷団体などが、運送会社から一方的な契約の解除通告、契約料金の大幅な値上げ要請などを受け、消費地向けへの生産物を出荷できない団体も多く発生しているとし、集荷・運行・配送まですべてを冷蔵車で共同輸送する高品質・低価格・安全運行を実現するシステムを検討してきた。

 物流を担当する丸善運輸グループは九州各地で集荷した農産物等を集約し、兵庫県にある自社の西宮ターミナルを中継拠点として活用。ドライバーを交代させ東京まで運ぶ運行便を設定する。従来、休憩・休息を合わせ27時間半要していたリードタイムを24時間で輸送でき、最大3時間半の短縮を図る。これによりCO2排出量も10%程度削減可能としている。

 運用説明会では1ケースから1トンまでの小口配送、1トン~3トンまでの小ロット、貸切の1車チャーターの料金設定を提示。小口配送では1ケースを福岡から関東まで400円、小ロットでは2~3トン未満で300円、1車チャーターは10トン車で21万円などとなっており、総体的にクール宅配便より40%程度安く、既存運賃より10%程度高く設定。今後の燃料費・人件費高騰による1.5倍程度の運賃上昇を見込んでの料金設定としている。トラックの到着時間等、貨物トレースは久留米市の丸善運輸グループが一括管理する。

 今回の共同便は、付加価値の高い商品の輸送を想定しており、同じ組合・グループ内であっても商品に合わせて、運賃の安い運送会社やJRコンテナをいままでどおり利用することも可能としている。3年を目途に九州全土での集荷体制の整備を計画するとともに、運行経路となる中国地方での共同輸送構築を視野に入れ取り組む方針。

ウラジオストク経由モスクワ向けの複合一貫2商品を発売  日本通運

 日本通運は9月30日、ウラジオストク経由モスクワ向けのシーアンドエア・シーアンドレール複合一貫輸送商品を発売した。

 モスクワなどのロシア西部を中心とした地域へ自動車関連や建設機械関連の企業進出が多く、部材供給などで少量貨物の輸送需要が増えており、小ロット貨物に適した輸送サービスニーズに応えるもので、コンテナ1個に満たない少量貨物輸送に対応でき、顧客はニーズに合わせ輸送サービスを選択できる。

 今回発売したのは、ウラジオストク営業所を生かし、小ロット貨物を対象とした日本発ウラジオストク経由モスクワ向けシーアンドエアサービス「エアさっと!ロシア」と重量建てのシーアンドレールサービス「さっと!ロシア」の2商品。

 「エアさっと!ロシア」はロシア極東部のウラジオストクまで海上輸送し、輸入通関後、モスクワ向けに航空輸送するもので、リードタイムは日本から直接ロシアへ海上輸送する場合に比べ約30~35日削減、輸送費は日本から直接ロシアへ航空輸送する場合に比べ約20%削減できる。

 「さっと!ロシア」は同じくウラジオストクまで海上輸送後、シベリア鉄道輸送でモスクワまで鉄道輸送し、リードタイムは日本から直接ロシアへ海上輸送する場合に比べ約15~20日削減、輸送費は日本から直接ロシアへ航空輸送する場合に比べて約35%削減できる。

 ロシア日通では、2012年にウラジオストク営業所を開設、通関などで発生するトラブルにも迅速に対応できるようになり、発着ともに日本通運グループによる一貫輸送が可能となっている。ロシアでは、モスクワディストリビューションセンターをはじめ、ロシア国内に七つの拠点を有し、航空輸送、欧州・黒海経由の海上輸送、シベリア鉄道を利用したシーアンドレールサービス、ウラジオストク経由海上混載サービスなどをすでに提供している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、第29回全国フォークリフト運転競技大会
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(26)
    ☆日通商事、創立50周年記念祝賀会を開催

  • ☆LEVO、中小トラック事業者向けに環境対応車導入補助の申請要件を緩和
    ☆日貨協連、国交省2局長に高速道路料金等に関する要望
    ☆岐阜ト協、優良ドライバーの認定制度を創設
    ☆全ト協、自民党や国交省に対して来年度税制改正および予算の要望事項など説明
    ☆センコー、岩谷物流から一般貨物事業など譲受
    ☆物流連が環境対策委、「モーダルシフト優良事業者公表制度」を「表彰制度」に改定へ
    ☆住友商事、マレーシアで現地ヤマト運輸利用してネット通販事業開始
    ☆全ト協が高齢者雇用の実態調査、年収は定年直前比80%に
    ☆全新潟運輸労組が定期大会、引き続き賃金改善求める
    ☆近畿運輸局等が過労運転防止で荷主団体に協力要請
    ☆センコー、名古屋PDセンターに新倉庫
    ☆全ト協・日貨協連、14年度上期のWebKITは荷物情報18%の伸長
    ☆西濃運輸、恒例の安全督励行う
    ☆日本ロジテム、来年1月ベトナムに冷凍冷蔵倉庫の合弁会社設立へ
    ☆日通商事、ミャンマーに子会社設立
    ☆日本郵便、ジオポスト等と提携し国際宅配便開始へ
    ☆JR貨物・通運連盟・鉄貨協、コンテナ輸送品質向上キャンペーンのキックオフミーティング開催
    ☆SBSHD、取引先の雪印メグミルクと資本・業務提携
    ☆日通の創立記念式典で渡邉社長があいさつ、陸海空の一体化でワンストップ体制強化
    ☆国交省の中間評価、広域地方計画推進で物流面の強化進む

今週のユソー編集室

  • ▼DHLはこのほど、ドイツ本土から北海のユイスト島まで、無人小型ヘリコプター「パーセルコプター」による医薬品の定期輸送プロジェクトを開始した。
    ▼「パーセルコプター」は高度50メートルを時速約60キロメートルで飛行することが可能としており、航続距離は12キロメートル。医薬品を安全に輸送するため、1.2キログラムまで積載可能な完全防水の軽量コンテナを装備しているという。もちろん世界で初めての試みだ。
    ▼DHLでは今回のプロジェクトについて、将来的な利用可能性を検証するのが目的としており、実用性があれば過疎地等への緊急物資輸送に活用していくという。通常の輸送に利用する考えはないようだ。
    ▼荷物を無人小型輸送機で配達すると言えば、米アマゾンの取り組みが思い浮かぶ。通常の輸送はともかくとしても、自然災害が多いという日本の風土性を踏まえれば、やがては「緊急物資輸送は無人機で」といった時代が、やってくるのかもしれない。

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