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2014年11月10日付 2541号

事故半減の目標達成へ、事業用自動車総合安全プラン09の中間見直しまとめる  国交省

会議の模様

 国土交通省は5日、東京都千代田区の同省で、今年度2回目となる「事業用自動車総合安全プラン2009」のフォローアップ会議を開催、6月にまとめた「中間見直しの方向性」に沿って行動計画を整理し、中間見直しの最終とりまとめを行った。また、2018年の最終目標に、これまでの「死者数半減」「事故件数半減」「飲酒運転ゼロ」に加え、「危険ドラッグ等薬物使用による運行の根絶」を新たに盛り込んだ。

 会議では、最近の交通事故発生状況と、最終目標達成に向けた各関係団体の取り組みが報告され、中間見直しの最終とりまとめでは、これまでの重点施策である◎安全体質のさらなる強化◎コンプライアンスの徹底◎飲酒運転の根絶◎より先進的なIT・安全技術の活用◎道路交通環境の改善―のさらなる強化を図るとともに、新たに「関係者一丸となった行動、構造的な課題への対処」が追加された。

 具体的には✔きめ細やかな対策立案と現場までわかりやすい具体的アクションの実施■運転者教育の強化□事故調査機能の強化■運転者の体調急変に伴う事故防止対策の浸透・徹底⑤トラック事業の市場構造の適正化―。

 運転者教育の強化では、初任運転者に対し、「特別な運転者に対する特別な指導の方針」に基づく指導監督マニュアルを作成。より効果的な指導方法を確立し、運送事業者への普及と浸透を図る。高齢運転者においても運転特性等を踏まえた事故防止のための指導監督マニュアルを作成する。また、運転者のキャリアアップにつながるようにドライバーのスキルアップの見える化についての検討を進めるとともに、中継輸送の導入促進を図り、自動車運送事業の担い手の確保と育成を目指す。

 トラック事業の市場構造の適正化では、適正な運賃・料金収受の支援、事業者の状況等を踏まえた取引の書面化の普及、定着を加速させる取り組みの検討、下請け・荷主適正取引推進ガイドライン改正の検討を行い、さらなる事業の健全化を図る。

 意見交換では委員から、「全体的に良くできた施策で、効果にも期待の持てる内容だ」などの意見が出され、中でも、全日本トラック協会による細分化された地域別事故分析が高く評価された。一方、焦点を絞った方が良いのでは、といった声や、事故の分析ではなく対策を考えるべきといった意見も挙げられた。

 会議での意見を踏まえ、最終的に修正を行い、12日をめどに国交省のホームページに公表する予定。

町田新社長が会見「グループの持続的発展を」  SGHD

握手する町田代表取締役(左)と栗和田社長(右)

 SGホールディングスの栗和田榮一社長と来年3月21日付での社長就任が内定している町田公志代表取締役は5日、東京都江東区の同社東京ロジスティクスセンターで会見し、社長交代について語った。

 会見ではまず、栗和田社長が「経営環境が厳しい中、宅配事業以外の経営の柱を構築し、グループの持続的発展を目指すという方向性を明示するため、中期経営計画『Third Stage Plan』を策定した。来年度は本計画の最終年度であり、次期中計を策定する年度。次期中計目標の達成とグループの持続的発展のため、近藤宣晃代表取締役を加えた代表取締役3人の責任分担をさらに明確化し、機動的横断的な経営体制を構築する」と社長交代の意図を説明した。
 町田代表取締役を選んだ理由については、「ホールディング体制に移行してから8年、佐川急便以外の出身者が初めて社長に就任する。町田代表取締役はこれまで上場企業の社長を務めるなど、経営者としての実績を積んでいる。培ってきた知識と能力を生かして、力強いリーダーシップを発揮できる人に任せることが最良と判断した」と述べ、「今後は町田社長を中心に、海外展開や物流以外の新しい領域での挑戦などをさらに推し進めていく」と今後のグループ経営の方向性も示した。

 続いて町田代表取締役が「社長の重責を担うことは、身の引き締まる思い」とした上で、現リクルートから現コスモスイニシアに転じ、不動産事業に長く携わってきた自身の経歴を紹介。「現中計の目標達成に邁進するとともに、海外展開や物流以外の事業拡大に挑戦し、グループの持続的発展に向けた次なる目標を定め、その達成を確実なものとしたい。グループシナジーの発揮により総合力を高め、顧客の多様なニーズに応えることで、社会に必要とされる企業体を目指す」と語り、現中計の取り組みを継続しながら、次期中計を策定していく考えを示した。
 経営手法に関しては「これまでどおり従業員や顧客との対話を継続して互いの理解を深め、自分の経験も生かしていく」と語り、現場との対話を重視していく姿勢を強調した。

 そのほか記者との一問一答は要旨次のとおり。

 ――町田代表取締役のどういった点を評価したのか。
 栗和田社長 グループの不動産部門であるSGリアルティ(SGR)を立ち上げ、軌道に乗せた実績をもっている。経済のグローバル化への対応が求められる中、リクルート出身で佐川急便では得られない経験をもっており、その経験をこれからのグループ経営に生かしてもらいたい。そうした実績に加え人格や社員との対応、下からの意見を吸い上げる意欲などを評価した。

 ――不安はないか。自身をどういう経営者と見ているか。
 町田代表取締役 不安はあるが、すでにグループに入り5年が経過している。SGRで物流不動産の開発に携わり、物流の全体像も積み上がっている。そうした経験を生かしながら、物流以外の事業についても、あらゆる可能性を見ていく。
 自身のタイプだが、何でも真面目に一生懸命取り組んでいくことはできると思う。

 ――社長交代後の代表取締役の役割分担は。
 栗和田社長 現在は私が全体を見ながら佐川急便のアドバイザー的立場にあり、海外は近藤代表取締役が、企画管理などその他は町田代表取締役が担当している。
 3月21日以後については、まだ半年あるので足りないところを精査しながら、次の体制を作っていきたい。

 ――現場との付き合い方は。
 町田代表取締役 SGRではいろいろな話を気楽にするよう努めた。生来の酒好きなので、そうした場でどうしたいのか聞くことが、私にとっては一番のやり方。ホールディングスでもさまざまな経歴を持った方がいるので、基本的にはみんなと一緒にその場で話をしていく。協力会社の方々も含めて本音で議論し、時にはぶつかり合いながら問題を解決したい。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウオッチ『最近の中国物流関連施策「海運業」』
    ☆四文字『業界の前進へ「指定業種」』
    ☆道『米ドルとオイルショック、車社会』(14)

  • ☆10月のWebKIT、荷物情報は14.1%増
    ☆日通の齋藤副社長が会見、国内複合事業利益率が着実に改善
    ☆日通商事、イベントに林業用新型フルトレーラを協賛出展
    ☆カンダ共済会、”みんなが主役”をスローガンにカンダ祭り開催
    ☆エコ配、西新宿に女性就労支援モデル店舗をオープン
    ☆国交省、事業用自動車の運行管理に次世代デジタコの検討開始
    ☆関運局、多様な支援物資物流システム構築目的に協議会設置
    ☆ドイツ日通、日系フォワーダー初となるルーマニアの支店開設
    ☆沖縄県がメディアツアー実施、琉球通運の取り組みなど紹介
    ☆千葉ト協、交通事故・労災防止大会開催
    ☆トナミ運輸のお歳暮、北陸3県の旬の味
    ☆ヤマトフィナンシャル、イベント会場などで電子マネー決済可能な端末レンタル開始
    ☆ヤマトHD、海外の宅急便実績は半期で15%の増に
    ☆押入れ産業、大阪市福島区に新店舗オープン
    ☆各社の第2四半期連結決算

今週のユソー編集室

  • ▼来年3月14日の開業が予定されている北陸新幹線の長野駅~金沢駅間。すでに関東地区ではテレビCMも放映されており、観光気分を盛り上げている。
    ▼新幹線と言えば、最近は北海道新幹線についても、レールの締結式や車両の試験などといった話題を耳にする。今後もさまざまな曲折はあるだろうが、沿線自治体の思いは熱く、整備が進んでいくのだろう。
    ▼ただ、喜んでばかりもいられない。北海道の例では、青函トンネルの共用走行により貨物列車の本数が減少し、経済効果はむしろマイナスに働くという試算がある。他の新幹線にしても在来線のネットワーク維持に不安が募る。
    ▼先日行われた通運連盟のシンポジウムでは「日本の産業のためにはリニア新幹線より貨物専用線」との発表があった。半月ほども不通となった東海道線を考えれば、この指摘は重い。華やかな新幹線と地味な貨物列車、日本にとって真に必要なのは、果たしてどちらなのか。

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