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2015年3月30日付 2558号

自動車CANデータをデジタコに活用を  国交省の次世代運行管理・支援システム検討会

 国土交通省は23日、東京都千代田区の同省で「次世代運行管理・支援システムについての検討会」の第2回会合を開き、事業用自動車向けの次世代運行記録計開発に関するデジタルタコグラフメーカーに対するアンケート結果などを報告。現在、自動車メーカーが整備以外で提供を行っていない自動車CAN(コントローラエリアネットワーク=速度やエンジン回転などの自動車の制御情報に関する転送規格)データをデジタコに活用できれば機器の取り付け工賃が低減する可能性があるとの指摘が得られたことが分かった。

 現在のデジタコは、速度では車軸の回転数を基にパルスによって機器に転送・入力するなど、パルスによる情報入力が主流となっているが、自動車に搭載されているCANデータをデジタコに直接活用できれば、情報の精度が高まるとともに、機器や取り付け工賃の低減が見込まれる。

 しかし、自動車メーカーは、安全面への配慮などを理由にCANへのアクセスは整備目的に限るとの立場を取っている。これは、安全面の理由のほか、燃費など自動車ごとのマーケット情報が含まれていることも大きな理由であるとの見方もある。加えて、CANデータの規格が自動車メーカーごとに異なっていることも、デジタコへのCANデータ活用の障害になるとみられている。

 欧州ではすでに2001年、車両メーカー4社で車両データの共通プロトコルに合意。02年に2社が加わり、多くの車両で、CANとは別に「FMSコントロールユニット」を設置し、限定された車両情報を取り出すことができるようになっている。

 検討会では来年度、アンケート結果などを踏まえ、CANデータ取得の実現可能性やデジタコ技術基準の見直し、データの送信方法などの検討を行う。6月に第3回会合を開き、10月には第4回会合で課題に対するあり方の素案を提示、来年2月に取りまとめを行う計画。

業界初のマレーシア向け冷蔵混載サービス開始  日本通運

 日本通運は27日、冷蔵管理が必要な食品を対象とした業界初のマレーシア向け海上リーファー混載サービスを開始した。複数顧客の冷蔵管理が必要な食品を混載でポートケランまで輸送する。

 マレーシアをはじめアセアン諸国では日本酒、米、みそ、根菜などの青果物やチョコレートなどの加工食品のニーズが高まっている。発着の冷蔵倉庫を保税対応することで、冷蔵管理の必要な食品の海上混載輸送を業界で初めて実現した。コンテナ1個を仕立てる場合より、1当たり約70%の輸送コスト削減が可能。

 冷蔵管理の必要な食品は輸送中傷みやすく、鮮度が保てないといった事情があることから、昨年3月、損保ジャパン日本興亜と共同で生鮮食品輸出専用運送保険サービスを発売、このたび開始するリーファー混載サービスでも本保険を付保することで高い輸送品質とともに万一の場合に備えた補償も万全としている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆主な物流企業の2015年度新卒新入社員数
    ☆ウオッチ『ミャンマーの貿易と物流』
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(35)
    ☆四文字『不況期の経験「周章狼狽」』
    ☆道『米ドルとオイルショック、車社会』

  • ☆国交省が物流分野の労働力不足対策でアクションプラン策定、退職自衛官の活用など盛り込む
    ☆国交省検討会、貨客混載の検討など過疎地物流の報告書案を審議
    ☆押入れ産業、広島にレンタル収納の3つの新店舗がオープン
    ☆運輸労連の2015春闘、大手妥結11単組中8単組でベア獲得
    ☆全日通、ヤマト運輸労組の春闘妥結判断
    ☆日通、日本発サントス港経由の一貫輸送サービス「ブラジルダイレクト混載」開始
    ☆三井倉庫HD、ヘルスケア事業の専用施設建設計画を発表
    ☆ヤマト運輸、宅急便新商品と連携し個人間取引サイト「メルカリ」と提携
    ☆JR貨物の2015年度事業計画、鉄道赤字6億円改善へ
    ☆ヤマト運輸が1日付で組織改正、育成戦略部の新設など
    ☆SGHDが3月21日付で組織改正、営業企画部の廃止など
    ☆ベトナム日通、ホーチミン郊外に多機能倉庫を開設
    ☆物流連がモーダルシフト表彰、大賞にセンコーが選ばれる
    ☆ヤマト運輸、国際クール宅急便で台湾向けも発売へ
    ☆国交省、標準引越運送約款の改正検討会を設置
    ☆全ト協が2013年度決算版経営分析発表、事業収入減少に歯止めも7年連続の赤字に
    ☆国交省の検討会、共同輸配送マッチングシステムの試行で成約は2件にとどまる

今週のユソー編集室

  • ▼18日にヤマ場を迎えた、トラック運送業界の春闘。運輸労連大手組合をみると、25日までに妥結した11単組中8単組がベアを獲得するなど、好調な出足となっているようだ。
    ▼「この勢いが中小企業の交渉にもつながってくれれば」と運輸労連関係者は期待感を示す。賃上げの流れが中小企業に及ばなければ、単に格差が拡大するだけで、内需の回復など夢のまた夢だろう。
    ▼菅義偉官房長官は18日、大手企業の春闘妥結額がおおむね好調であることを受けて、「素直に評価したい」との談話を発表した。さまざまな見方はあろうが、ここまでの政府の尽力が一定の成果を導き出したのは事実ではないだろうか。
    ▼ただ、繰り返しになるが、道のりはいまだ半ばだ。菅官房長官が同日語ったとおり、下請け企業への対応もしっかりしてもらわなければならない。産業間や規模間で顕著にみられる格差の是正に向けて、政府には今一度しっかりとした対応を希望したい。

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