大型車の一般道課金の中間答申案を審議 社整審国土幹線道路部会
社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会は7月28日、東京都千代田区の国土交通省で第19回会合を開き、高速道路をはじめとする「道路を賢く使う取り組み」を盛り込んだ中間答申案を審議。1月に公表された基本方針で示された一般道の大型車対距離課金については、「広く意見を聴取しつつ」との記述が追加された上で、「税金による負担との関係も含め、これまで以上に課題認識をもって検討すべき」との表現が引き続き中間答申案に盛り込まれている。
中間答申案は、1月に示された「高速道路を中心とした『道路を賢く使う取組』の基本方針」をベースに取りまとめられたもので、1月27日から1ヵ月間実施したパブリックコメントで得られた意見を反映している。「道路をより賢く使うための取組」「首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系」「その他」で構成。
「道路をより賢く使うための取組」では、ETC2.0を活用した本格的な交通需要マネジメントへの移行や高速道路の活用による生活道路との機能分化、交通機関相互のシームレス化による人流・物流の活性化などを行うべきと指摘している。車両の走行経路などを把握することができる「ETC2.0」については、交通流全体の最適化を図るなどの動的ネットワークマネジメントを実現するとともに、危険物輸送車両の運行管理など非常時の道路マネジメントについても活用を検討すべきと説明。
高速道路の活用促進については、「国際競争力を強化する観点からも、港湾や物流拠点等からインターチェンジへのアクセス道路を含めて国際海上コンテナ積載車両の通行支障の解消を図るなど、今後、道路構造の規格を高めていくことが重要である」との記述が追加されている。
「首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系」では、大型車の効果的・効率的な利用を促すため、法令における処分の厳格化や自動車取り締まり機器の増設などによる取り締まりの強化を行うとともに、過積載車両の割引停止を検討すべきと指摘。
具体的には、現在東日本などのネクスコ各社が導入している違反車両の割引停止措置について、利用者への周知を図った上で、統一化し、講じた措置を高速道路会社間で共有する必要があるとしている。また、特車許可基準についても、会社間で異なっている状況が一部残されているとし、車両の円滑な通行を確保するためにも、これまでの運用実態を見直して統一すべきとしている。
ETC2.0運行管理にも
中間答申案の審議の後、深澤淳志道路局長(当時)がETC2.0を活用した取り組みなどについて説明。物流については、現在は申請した個別の輸送経路のみ通行が可能な特車通行許可について、ETC2.0を装着した車両については国が指定した大型車誘導区間を走行する場合、輸送経路を自由に選択できる仕組みを今秋から開始する。
また、リアルタイムな位置情報や危険個所を把握できることからトラックの運行管理に活用できるとし、今秋ごろから到着時間予測などのサービスを試行する予定であることを明らかにした。なお、中間答申については、第19回国土幹線道路部会での議論を踏まえた上で取りまとめが行われ7月30日付で公表された。