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2015年8月3日付 2574号

大型車の一般道課金の中間答申案を審議  社整審国土幹線道路部会

 社会資本整備審議会道路分科会国土幹線道路部会は7月28日、東京都千代田区の国土交通省で第19回会合を開き、高速道路をはじめとする「道路を賢く使う取り組み」を盛り込んだ中間答申案を審議。1月に公表された基本方針で示された一般道の大型車対距離課金については、「広く意見を聴取しつつ」との記述が追加された上で、「税金による負担との関係も含め、これまで以上に課題認識をもって検討すべき」との表現が引き続き中間答申案に盛り込まれている。

 中間答申案は、1月に示された「高速道路を中心とした『道路を賢く使う取組』の基本方針」をベースに取りまとめられたもので、1月27日から1ヵ月間実施したパブリックコメントで得られた意見を反映している。「道路をより賢く使うための取組」「首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系」「その他」で構成。

 「道路をより賢く使うための取組」では、ETC2.0を活用した本格的な交通需要マネジメントへの移行や高速道路の活用による生活道路との機能分化、交通機関相互のシームレス化による人流・物流の活性化などを行うべきと指摘している。車両の走行経路などを把握することができる「ETC2.0」については、交通流全体の最適化を図るなどの動的ネットワークマネジメントを実現するとともに、危険物輸送車両の運行管理など非常時の道路マネジメントについても活用を検討すべきと説明。
 高速道路の活用促進については、「国際競争力を強化する観点からも、港湾や物流拠点等からインターチェンジへのアクセス道路を含めて国際海上コンテナ積載車両の通行支障の解消を図るなど、今後、道路構造の規格を高めていくことが重要である」との記述が追加されている。

 「首都圏の高速道路を賢く使うための料金体系」では、大型車の効果的・効率的な利用を促すため、法令における処分の厳格化や自動車取り締まり機器の増設などによる取り締まりの強化を行うとともに、過積載車両の割引停止を検討すべきと指摘。
 具体的には、現在東日本などのネクスコ各社が導入している違反車両の割引停止措置について、利用者への周知を図った上で、統一化し、講じた措置を高速道路会社間で共有する必要があるとしている。また、特車許可基準についても、会社間で異なっている状況が一部残されているとし、車両の円滑な通行を確保するためにも、これまでの運用実態を見直して統一すべきとしている。
 
ETC2.0運行管理にも

 中間答申案の審議の後、深澤淳志道路局長(当時)がETC2.0を活用した取り組みなどについて説明。物流については、現在は申請した個別の輸送経路のみ通行が可能な特車通行許可について、ETC2.0を装着した車両については国が指定した大型車誘導区間を走行する場合、輸送経路を自由に選択できる仕組みを今秋から開始する。

 また、リアルタイムな位置情報や危険個所を把握できることからトラックの運行管理に活用できるとし、今秋ごろから到着時間予測などのサービスを試行する予定であることを明らかにした。なお、中間答申については、第19回国土幹線道路部会での議論を踏まえた上で取りまとめが行われ7月30日付で公表された。

2014年度の宅配便実績は5年ぶり前年割れ  国交省

 国土交通省は7月24日、2014年度の宅配便等実績を公表したが、取扱個数は36億1379万個で5年ぶりに前年実績を下回った。背景には、昨年4月の消費税率引き上げによる荷量の減少や大手事業者の不採算貨物の運賃適正化による取扱個数減少などがある。メール便も54億6425万冊で3.1%の減少となった。

 14年度の宅配便取扱個数は、前年度比0.6%の減少。
 トラック運送によるものも、35億7008万個で0.7%の減少となった。一方、航空等利用運送は4371万個で5.0%の増加。
 トラック運送では、「宅急便」(ヤマト運輸)が16億2204万個(前年度比2.6%減)でトップ。シェアは45.4%で0.9ポイント減少した。
 2位は、「飛脚宅配便」(佐川急便)の11億9600万個(1.9%減)でシェアは33.5%(0.4ポイント減)。
 上位2便が取扱個数を減少させる中、3位の「ゆうパック」(日本郵便)は4億8504万個で13.2%増と2桁の伸びを記録。シェアも13.6%と1.7ポイントの増加となった。

 航空等利用運送は、トップが「飛脚航空便」(佐川急便)で852万3千個を扱いトップだが、前年度に比べると6.2%の減少。シェアは19.5%。
 2位は、「宅急便」(ヤマト運輸ほか2社)で663万1千個を扱い6.6%減。シェアは15.2%。
 3位は「フクツー航空便」(福山通運ほか1社)で75万1千個(23.0%減)、4位は「スーパーペリカン便」(日本通運ほか1社)で52万7千個(4.7%減)となっている。
 上位4便は前年度比減となったが、5位以下全体(75便)の合計は2727万5千個で14.1%の増加となっている。

 メール便は、「ゆうメール」(日本郵便)が33億6194万冊(1.1%増)でトップ。シェアは61.5%。
 2位は、「クロネコメール便」(ヤマト運輸)で19億101万冊(8.8%減)で、シェアは34.8%となり、上位2便で96.3%を占めている。
 3位は、「ポストウェイメール便」(ポストウェイ)で8624万冊(1.4%減)、4位は「中越メール便」(中越運送)で5743万冊(9.5%減)、5位は「飛脚メール便」(佐川急便)で5299万冊(25.2%減)となり、4位と5位が入れ替わった。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(40)
    ☆日中ビジネスワンポイント『中国の大学入試』

  • ☆国交省の幹部人事、事務次官に徳山技監が就任
    ☆ヤマト運輸がシンガポール向け国際クール宅急便発売、初の東南アジア向けに
    ☆佐川急便が全国のローソン店舗で購入商品受け取り開始、第1弾として「JINS」から
    ☆陸災防、フォークリフト荷役の技能検定実施へ
    ☆取引環境・労働時間改善へ、神奈川県・千葉県・埼玉県で協議会発足
    ☆日通総研短観、7~9月見通しは若干改善もマイナスに
    ☆東ト協・千葉ト協でドライバー・コンテスト
    ☆JR貨物がグループ社長会議、各社の経営改善でグループ外へビジネス拡充
    ☆ヤマト運輸・ANA Cargoが宮崎県と連携協定、県産品の販路拡大へ
    ☆トナミ労組、毎年恒例の清掃ボランティア実施
    ☆観光庁が「手ぶら観光」の共通ロゴでヤマト運輸・佐川急便など全国47カウンターを認定
    ☆東ト協が理事会、都民参加型の事故防止大会を11月に開催
    ☆千葉ト協が理事会、「セーフティードライバーズちば」に161社411チームが参加
    ☆損保ジャパン日本興亜、実践的労務管理テーマにロジセミナーを開催

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省では現在、今後の物流政策の方向性を探る目的で、各種委員会を精力的に開催している。委員会では事業者がヒアリングを受けるケースも多いが、これがなかなか興味深い。
    ▼7月23日に開かれた会議には、宮城県の白石倉庫から太宰榮一社長が出席し「災害時の物流支援機能の強化」として、東日本大震災の経験も踏まえ、大型の雨天荷捌用ひさしを建ぺい率から除外するよう訴えた。
    ▼大型のひさしは震災直後の荷直しや停電時の作業、支援物資の仮置きなどに有効に活用できる反面、一般的な建ぺい率60%の倉庫用地では収入確保の観点から、どうしても倉庫主体の施設を建設するしかなく、設置は難しいのが現状だという。
    ▼倉庫はそのままで建ぺい率20%程度の大型ひさしの設置を可能にしてほしいという訴えについては、なお検討が必要だろう。ただ、こうした現場のアイデアを吸い上げていくことで、より良い方向性を探りだしてほしい。

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