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2015年9月7日付 2578号

協組・事業者のBCP策定マニュアル策定支援事業実施  日貨協連

 日本貨物運送協同組合連合会(古屋芳彦会長)は「協同組合並びに組合員事業者のBCPマニュアル策定支援事業」の実施に向け、「BCP推進対策検討委員会」の第1回会合を8月下旬に開催し、マニュアル策定等の検討を開始した。

 中小企業庁の2014年度補正予算事業の「中小企業・小規模事業者事業継続力強化支援事業」を活用し、日貨協連会員連合会・協同組合、組合員事業者のBCP(事業継続計画)の策定・運用の取り組みを支援するため、指導マニュアル策定や事業継続力強化の講習会など経費の一定額の助成を受けて事業を実施するもの。事業は①指導マニュアル等の策定②事業継続力強化講習会の開催③BCP策定・ワークショップの実施。

 指導マニュアルの策定では、トラック運送固有のリスクの特徴とBCP対応の実態を連合会、協同組合、組合員事業者約3700件を対象にアンケート等により調査し、分析する。この調査を踏まえマニュアル等を策定するとともに、実践活動に向けた準備を進める。そしてこの「BCPマニュアル」と中小企業庁作成の「中小企業BCP策定運用指針」についての事業継続力強化講習会を、11月から仙台・東京・名古屋・大阪・福岡の5ヵ所で各1回開催していく。参加組合員事業者は300社を見込む。

 その後、BCP策定の演習・運用訓練を支援するためのワークショップを実施する。先の講習会に参加し、策定意欲の高い人を対象に、来年1月下旬から2月にかけて東京、名古屋、大阪の3ヵ所で各2回それぞれ30人程度の参加を予定。

 検討委員会は委員長の橋場之廣首都圏キット利用協同組合理事長ら7人で構成するが、10月に第2回、3月に最終会合を開き報告書をまとめる予定。なお講習会やワークショップ等の事業は来年度も継続していく見込み。

来年度予算要求でトラック縦列走行の研究等を要求-運転者不足に対応  経産省

 トラック運転者をはじめとする物流分野での人材不足を受け、国土交通省は2016年度予算概算要求で関連の新規項目を複数盛り込んだ=前号1面参照=が、経済産業省もエネルギー対策特別会計(エネ特)を活用して、複数台のトラックの縦列走行に向けた研究開発などを行う「スマートモビリティシステム研究開発・実証事業」を新規に要求した。

 同事業は、運輸部門の省エネルギー対策推進や運転者不足などの社会的課題の解決を図るため、高度な自動走行システムの“社会実装”に向けた革新的なセンサーの研究開発を進めるとともに、公道を含む実証実験を通じて事業環境などを整備するもので、20億円を新規に要求。トラックの縦列走行では、運転者の乗った先導車に無人の後続車を電子連結などにより隊列させる仕組みをイメージとして示している。このほか、物流分野でも活用が期待されている燃料電池自動車の普及に向け、水素ステーションの整備費用補助を行う「水素供給設備整備事業費補助金」も新規で62億円要求している。

 国交省との連携事業では、トラックのエコドライブなどを後押しする「輸送機器の実使用時燃費改善事業費補助金」をエネ特を活用して新規に62億5千万円要求。これは、従来のEMS補助に、次世代自動車に対応したスキャンツールの導入などを加えたもので、対象経費の3分の1から2分の1を補助する。昨年度から国交省との連携事業として実施している「中小トラック運送事業者向け環境対応ディーゼルトラック補助事業」は、来年度も29億6500万円要求した。

 また、国交省・経産省・環境省の連携事業として、ハイブリッドトラックや高速走行大型CNGトラックなどに対して補助を行う「先進環境対応トラック・バス導入加速事業」を新規に10億円要求している。

 エネ特を活用した環境省と国交省との連携事業では、「鉄道・海上輸送への転換促進に係る設備の導入経費補助」「31コンテナの導入経費補助」「共同輸配送によるトラック輸送力の有効活用」「倉庫・公共トラックターミナルへの省エネ設備の導入経費補助」「倉庫への燃料電池フォークリフトおよび電動フォークリフトの導入経費補助」「都市鉄道等の旅客鉄道を利用した新たな物流システム構築に係る設備の導入経費補助」で41億円を要求。このうち、「倉庫への燃料電池フォークリフトおよび電動フォークリフトの導入経費補助」と「都市鉄道等の旅客鉄道を利用した新たな物流システム構築に係る設備の導入経費補助」は新規要求となっている。このほか、冷凍冷蔵倉庫への省エネ型自然冷媒機器の導入経費補助を85億円の内数で要求している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆インタビュー・飯塚裕全国通運連盟理事長『各種課題解決しさらなるモーダルシフト促進を』
    ☆人物ウィークリー、一般社団法人日本物流団体連合会・与田俊和理事長
    ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(43)
    ☆四文字『労働力需給で「不足予想」』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(7)

  • ☆8月のWebKITは求車情報が4ヵ月連続前年上回る
    ☆運輸労連が10月に運輸問題研究集会、取引環境・労働時間改善協議会対応メーンに
    ☆全ト協ほか5社が政府主催の広域医療搬送訓練に参加しハイサンソを輸送
    ☆国交省・藤井自動車局長が会見、トラックのルール厳守へ”信賞必罰”で臨む
    ☆日通野球部、社会人日本選手権8大会連続18回目の出場決める
    ☆東京都市圏交通計画協議会、東京都市圏の望ましい物流で三つの目標示す
    ☆国交省、自動車運送事業でのSAS対策マニュアル12年ぶり改訂
    ☆総務省統計局のサービス産業調査、運輸業・郵便業は売上高20ヵ月連続増
    ☆全ト協、中小トラック事業者向けリスク対策ガイドブック作成しBCP策定支援
    ☆ネットプロテクションズ、サカイ引越センターの法人新規開拓を支援
    ☆ヤマトオートワークス、高機能整備工場スーパーワークス神戸が9月30日竣工
    ☆カンダHDのインドネシア現法がフォワーディングのライセンス取得
    ☆東ト協運輸安全委、事故ゼロ目指しキャンペーン「いっしょに安全」展開へ

今週のユソー編集室

  • ▼本号8面のコラムで、物流連の与田理事長は「時代の要請に真摯(しんし)に向き合ってきた結果、物流業界の社会的地位は以前に比べて向上したと感じている」と語っている。
    ▼現在問題となっている手待ち時間の長さなど各種の商慣行や運賃に関すること、排気ガス規制への対応、災害時のライフライン確保など、万全ではなかったかもしれないが、物流が時代の要請に真剣に向き合ってきたことは確かだろう。
    ▼ひと昔前、ヤマト運輸は「日本のわがまま運びます」とのキャッチフレーズで広告展開を行っていた。表現に多少の疑問はあるが、発着荷主の要望に最大限応えるという姿勢は、実は物流業界全体の姿を表現したものだったとも言えそうだ。
    ▼翻って今、その姿は破綻の危機に直面している。労働力不足などで複雑多様化する「日本のわがまま」を運べなくなってきている。それでも運びたいと願う物流の要請に、時代は応えてくれるのだろうか。

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