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2015年9月14日付 2579号

国交省自動車局長に行政処分基準の弾力的運用など労働時間規制のあり方で要望  全ト協

要望書を提出(左から国土交通省の祓川貨物課長、宮城審議官、全ト協の坂本、大髙、馬渡各副会長、福本理事長)

 関越自動車道でのバス事故を契機に行政処分基準等が改正され、著しい乗務時間違反の場合、「事業停止30日」となるなど処分が強化されたことで長距離輸送事業者等では大きな問題となっているが、全日本トラック協会(星野良三会長)は9日、国土交通省の藤井直樹自動車局長に対し「労働時間規制の在り方について」要望した。

 長距離輸送の実態調査から、荷主からの厳しい時間指定等により、労働関係法令への対応に苦慮する事業者がいることが明らかとなったため、行政処分基準の弾力的運用等行政における各種基準の見直しや契約書面化のさらなる推進、長時間労働抑制への取り組みなどを求めた。同日、大髙一夫副会長らが国土交通省を訪れ、宮城直樹大臣官房審議官に要望書を提出した。

 全ト協では長距離輸送事業者が労働関係法令を適切に遵守できるよう、労働時間規制のあり方や労働力確保対策などの労働政策について検討することを目的に、物流政策委員会の下に「労働政策小委員会」を設置して実態調査を行い、その結果を踏まえ要望をまとめた。

 要望事項はまず、「行政における各種基準の見直し」として、急な輸送条件の変更、荷主都合の手待ち時間や契約にない等附帯作業による遅延、渋滞・悪天候などの外的要因により、やむを得ず「貨物自動車運送事業の事業用自動車の運転者の勤務時間及び乗務時間に係る基準」を遵守できないケースもあるとして、こうした場合には弾力的に行政処分基準の運用を図るよう求めた。
 
 また一運行144時間以内とされている期間の制限について、出先で休日をとり十分な休息がとれることから、休日に当たる部分の時間数を差し引いて144時間以内とするよう見直しを要望。さらに中継輸送は労働時間短縮や不規則な就業形態の解消などさまざまなメリットがあるとして、中小企業においてもその導入が促進されるよう制度面を含め環境整備を図るよう求めた。

 一方、「契約の書面化の更なる推進」として、国土交通・厚生労働・経済産業省等関係行政機関が一体となって、適正な運送条件の設定に向け、さらなる書面化の推進を図り、実効性のあるものとするため、荷主・元請け事業者に対し積極的に指導を行うよう要望。また「長時間労働抑制への取り組み」として、取引環境・労働時間改善協議会の取り組みの実効性をあげるよう、特段の指導方とともに、積極的な荷主勧告制度の発動など荷主に対する監督指導の徹底などを求めた。その上で、トラック運送事業者の自助努力だけでは長時間労働改善が困難な場合には、悪質・重大な乗務時間等告示の遵守違反に係る30日間の事業停止処分の発動要件を緩和することについて検討するよう求めた。

 このほか関連する要望事項として①高速道路料金の引き下げ、割引制度の拡充②高速道路のサービス・パーキングエリアや道の駅等における大型車の駐車スペースの整備・拡充③フェリーの便数増加、利用枠の拡大-を求めた。

新倉庫管理システム「NEWTON」リリースへ  日本通運

 日本通運は7日、新グローバル標準倉庫管理システム「NEWTON(ニュートン)」を10月1日からリリースすると発表した。

 業種別テンプレートの採用により導入期間の短縮とシステム連携の強化を実現したとし、昨年8月以降、8案件での試行運用を行い、本年度中に20件の展開を予定している。システムの特徴として、◎低コスト・短納期◎グローバル展開への対応◎システム連携機能強化◎KPI機能の充実◎情報漏えい対策の強化◎バックアップ機能の充実-をあげ、このうち、「低コスト・短納期」では従来、不足機能をカスタマイズ開発してきたが、『業種別テンプレート』を準備し、必要な機能を選択できる仕組みとすることで導入・開発にかかる期間と費用を削減する。

 また、「グローバル展開」では日・英・中国語(繁体字、簡体字)のメニューを標準で用意。多通貨換算(円、ドル、元など)、保税管理などの機能も装備した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・次世代の運行管理機器
     国土交通省-次世代運行記録計の実用化に向け検討
     安全運行サポーター協議会-”民”の視点生かして次世代車載器の標準化を検討
     損保ジャパン日本興亜-スマイリングロード「見える」「わかる」「ほめる」機能で支援 
     注目の先進機器
      富士通グループ-ネットワーク型デジタコ「DTS-D1」シリーズ発売
      パラマウントベッド-非装着型睡眠計「眠りSCAN」
    ☆四文字『中小のよりどころ「構造改善」』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(8)

  • ☆物流連、会員24社参加して第2回インターンシップ-学生200人物流学ぶ
    ☆SBSHD、シンガポールに現地法人設立
    ☆8月のWebKITの成約運賃指数は前年上回る傾向続く
    ☆ヤマト労組が定期大会開く、11月からパート社員組織化へ
    ☆日貨協連が理事会、組織見直し特別委員会を設置
    ☆日貨協連、協組の官公需共同受注の報告書まとめる
    ☆全日通商事労組が定期大会、会社の発展が従業員の幸福につながる
    ☆日通、災害公営住宅建設のため気仙沼支店を移転
    ☆振興センター、30のトラックステーションで「とくとくキャンペーン」展開へ
    ☆国交省、各種スクリーニング検査の普及に向けて協議会設置
    ☆JILS、14年度の物流システム機器売上高は8%の減少に
    ☆関運局、エコモ財団と共催でグリーン経営セミナー
    ☆日通、東京都江東区にの新拠点名称は「Tokyo C-NEX」に
    ☆日通、タイ~ミャンマー間の陸路輸送3日に短縮

今週のユソー編集室

  • ▼健康診断でメタボリックシンドローム予備軍と診断され、減量・節酒・禁煙を強く指導されたことがある。こちらの体を配慮した言葉と理解してはいるが、実現はなかなか難しい。
    ▼先ごろ国交省は、自動車運送事業者におけるSAS(睡眠時無呼吸症候群)の対策マニュアルを発表した。睡眠時の呼吸障害から、運転中に突然意識を失うような睡眠に陥ることもある、危険極まりない病気だ。
    ▼症状も疲労感にとどまり、日中に強い眠気が出ないケースも多いため、自分では気づきにくいというからやっかいだ。マニュアルでは、日本の男性トラック運転者の7~10%は中等度以上の睡眠呼吸障害だと指摘しており、その数の多さに驚く。
    ▼予防法はメタボ対策と同じく減量・節酒・禁煙。メタボで迷惑をかけるのは自分だけかもしれないが、SASは周りを巻き込んでしまう。検査を受けてしっかり対処したい。実現は難しいなどと言っている場合ではない。

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