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2015年11月30日付 2588号

ETC2.0を活用した大口・多頻度割引最大割引率50%継続を財務省に申し入れ 今年度補正予算 自民党ITS推進・道路調査会

 自民党のITS推進・道路調査会(山本有二会長)は19日、財務省に対し来年度当初予算での道路予算の増額とともに、高速道路料金の大口・多頻度割引についてETC2.0を活用して継続しその予算は本年度補正予算で確保するよう、申し入れた。

 同調査会では同日午前に開催した全日本トラック協会からのヒアリングで、「積極的に高速道路の利用促進を図るため、平成27年度末までとなっている大口・多頻度割引の最大割引率50%を継続されたい」との要望を受け、先の申し入れ内容を盛り込んだ決議を行い、財務省に要請したもの。

 午前のヒアリングには全ト協から坂本克己、小幡鋹伸両副会長と福本秀爾理事長が出席し、要望事項等を説明。同ト協が11月に事業者を対象に実施した高速道路料金の負担に関する調査では、取引先から高速道路料金を収受できていない比率は6割を超え、高速道路利用を現状よりも増加させたい意向が強いものの、割引率が縮減(約10%)された場合、その利用を削減するとの回答が7割に及び、利用控えが加速するものと推測される状況。そして、割引率が縮減された場合、物流効率化や法令遵守、労働時間削減などにも深刻な影響があると8割以上が回答、事業経営の安定性、継続性に対して深刻な悪影響があるとする回答が92%もあり、甚大な影響があるとみられていることを説明し、トラック輸送にとって高速道路利用の活用は不可欠であるとして、最大割引率50%の継続を強く要望した。

MRJの製造ロジスティクスをサポート 量産体制へ準備着々 日通

 国産初の小型ジェット旅客機「MRJ」(三菱リージョナルジェット)の製造を日本通運が物流面で完全サポート。

 1機当たりの部品アイテム数は100万点にのぼるというMRJの製造ロジスティクス業務を担当するのが日本通運中部ブロック地域総括名古屋支店(中村栄一執行役員)・中部営業開発部「航空宇宙産業開発グループ」。11日に名古屋空港で初飛行に成功した翌週18日、通運記者会の要請を受け、見学会を実施した。

 同部は5月の組織改正で新設されたセクションだが、日通では2010年にMRJ試作機製造プロジェクトを受注、小牧セットパーツセンター・小牧南工場等で試作機製造計画にそって入荷検品・検査・棚入れ保管・キット・梱包出荷や緊締器具の管理・供給を行うファスナー業務、消耗品等を配膳するラインキーパー業務を実施。初飛行成功を物流面で支えた。

 MRJは、2017年第2四半期の量産初号機納入を目指す計画で、受注機数はすでに400機を上回るとされる。同社は、三菱重工業・三菱航空機と「国内の各製造拠点および世界中のサプライヤーとリアルタイムネットワークを構築し、膨大な数の物流を管理する計画」に着手。

 MRJの代表サプライヤーは27社に及び、3分の2は海外からの輸入となる。最適な供給体制を整備するため、現在、情報システム・海外調達ハブ拠点の構築、そして小牧市に専用の新センター「グローバルロジスティクスセンター」(GLC)を建設中。延べ床面積3万平方メートルの規模で、MRJの量産体制を見据え準備を進めている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、日本通運関東警送支店警送年末防犯訓練
    ☆特集、日本通運中部警送支店警送年末防犯訓練

  • ☆ヤマトHD、東南アジアの物流強化 沖縄GLCが稼働
    ☆日通記者会見、大日向副社長「営業利益率3%達成に強い決意」 伊藤副社長「中国企業の海外進出に対応図る」
    ☆日通、那覇発香港向け海上冷凍混載サービス開始 琉球物流の新倉庫を活用
    ☆物流連工藤会長、今後の物流のあり方などについて見解 全体最適の視点で荷主と共に構築
    ☆国交省、ETC2.0装着特殊車両の通行許可を簡素化 1月実施に向けパブコメ
    ☆社整審・交政審計画部会、社会資本のストック効果最大化へ向けた専門小委員会を設置 物流施設の現地視察も
    ☆国交省羽尾物流審議官が定例会見、宅配便の再配達削減について関係者の取り組み広がるとの見解
    ☆日貨協連、組織見直し特別委員会を開催 来年5月に中間答申
    ☆全ト協引越部会総会、分散引越呼びかけ 引越繁忙期対策として
    ☆日倉協、“生き抜く倉庫業”テーマに物流フォーラムを開催
    ☆物流連、モーダルシフト優良事業者にヤマト運輸など表彰
    ☆千葉ト協、家畜伝染病の防疫対策業務で県と協定を締結 必要物資の運搬で
    ☆日本物流記者会、第1回物流人間大賞に川合氏

今週のユソー編集室

  • ▼現在、国土交通省を中心に取り組みが進められている、「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」。年内には各都道府県でも2回目の協議会が開かれるようだ。
    ▼協議会に関して国交省関係者は「適正運賃収受の話にまで踏み込まないと意味がない」と強調しており、業界の期待も大きい。一方で、ある関係者は「そもそも適正運賃とは何か」という疑問を投げ掛ける。
    ▼業界では行政による「標準運賃」の制定を期待する声が根強い。これが実現すれば「適正運賃」の一つの指標にはなるだろうが、現在の社会環境では難しい。そのため一部では、合法的な輸送を行うための必要最小限のコスト、すなわち「最低コスト」の明確化を求める動きもある。
    ▼仮に行政が「最低コスト」を明示したとしても、これを強制する力はない。ただ、労働力確保の必須条件である労働環境の改善を半歩でも進めるためには、十分検討に値する案であるとも思う。

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