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2015年12月14日付 2590号

15年度の賃金等実態調査 年齢格差依然大きく賃金総額はやや減額  運輸労連

 運輸労連(難波淳介委員長)はこのほど、2015年度賃金・労働条件実態調査報告書をまとめた。春闘に取り組む各単組の基礎資料とするため毎年度まとめているもので、本年度は例年より早い時期の公表となっている。本年度は対象組合・人員が増加しており、単純な比較は難しいものの、それらを踏まえた上で前年度調査と比較すると、年間賃金は減少、年間総労働時間は増加、平均年齢は上昇した。厚生労働省の調査でみても、産業全体との平均年齢格差は依然大きく、ドライバーの高齢化に歯止めがかからない厳しい実態を反映している。

 報告書は今年6月の調査結果をまとめたもの。本年度は152組合・9万4807人を対象としており、前年度より15組合・3169人増加した。
 月額賃金の加重平均は前年度比4843円減の33万9310円で、3年連続の減額。内訳は、所定内賃金が前年度と比較して397円、仕事給が708円、所定外が3738円、それぞれ減額している。
 14年の年間賃金は537万3913円の1万7998円減。

 厚生労働省の「2014年賃金構造基本統計調査」による全産業平均(年齢42.1歳、勤続12.1年、月間総労働時間177時間)と比較すると、運輸労連は所定内賃金で約9万円下回るが、総額では約1万5千円上回っており、従来同様の傾向がみてとれる。
 総労働時間は208.4時間で、前年度より0.9時間増加しているものの、近年のピークだった06年と比較すると12.5時間の減少となる。

 一方で、平均年齢(加重)は0.2歳増の43.0歳となった。厚生労働省の賃金構造基本統計調査でみても、産業全体の平均年齢が42.1歳であるのに対し、道路貨物運送業は45.0歳となっており、その差は2.9歳に達している。
 前年度の差は3.2歳だったことから、やや改善をみせたものの依然格差は大きく、04年当時の差が1.0歳(当時の道路貨物運送業の平均年齢は41.7歳)だったことからみても、長期的にみて平均年齢の格差は拡大している。

 このため運輸労連では「ドライバーの平均年齢の上昇スピードは産業全体より速まっている」として、「『人財』確保のためにも、労働諸条件の改善と格差是正に向けて、より積極的に取り組まなければならない」と警鐘を鳴らし、◎年間所得の引き上げ◎賃金制度の確立・改善◎企業内最低賃金協定の締結◎65歳までの雇用確保◎総労働時間の短縮と時間外割増率の引き上げ―などの必要性を訴えている。

DBJ環境格付で日通が最高Aランクを取得 特に先進的と評価  日本政策投資銀行

 日本政策投資銀行は8日、日本通運に対し「DBJ環境格付」最高ランク「A」格付に基づく融資を実施したと発表した。

 DBJ環境格付はスクリーニングシステム(格付システム)により企業の環境経営度を評価、優れた企業を選定し、得点に応じて融資条件を設定する「環境格付」の専門手法を導入した世界初の融資メニュー。A~Cの4段階でランク分けされており、今回「環境への配慮に対する取り組みが『特に』先進的」である最高ランク「A」を日通が取得した。同社は10年前にも「A」ランクを取得している。

 今回の格付では①グローバルレベルで調達から生産・流通・消費まで物流システムをトータルサポートするサプライチェーン・マネジメントの提供を通じたロジスティクスの最適化を図ることにより、顧客の経営効率を向上させている点②事業のグローバル化を踏まえ、総合物流企業他社に先駆けてサスティナビリティレポートガイドライン第4版の基準に沿って「人権の尊重」をはじめとした三つのマテリアリティ(重要課題)の特定に至っている点③自社の産業廃棄物にかかる委託処理に関し、処理業者との契約書情報や処理業者の許可証情報をデータベース化し、排出事業場が交付するマニフェストの内容と、許可証情報および契約書情報が整合しているのかどうかチェックして、適正と判断されたマニフェスト(電子マニフェストにも対応)のみ交付される機能を織り込んだ独自のマニフェスト管理システム「ECO―TOWMAS(エコトーマス)」を開発する等、適正な管理を継続的に行うための優れた仕組みを構築している点―を高く評価したとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ「ASEAN経済共同体(AEC)発足」を点検する
    ☆四文字『新規制設定へ「事業法令(2)」』
    ☆道『国際化に至る道半世紀』(14)

  • ☆全ト協・日貨協連、11月のWebKIT成約運賃指数は118 年末に向け上昇傾向
    ☆経産省・国交省、グリーン物流パートナーシップ優良事業者を公表 15日に表彰式開催
    ☆国交省、交通関係環境保全で東ト協に大臣表彰 グリーンエコプロジェクトを評価
    ☆細見日冷倉協会長が会見、2016年度予算編成・税制改正の要望事項実現目指す
    ☆国交省、トラックの長時間労働等の実態調査で目標上回る回答数 第3回協議会で内容公表
    ☆社整審・交政審計画部会、第1回専門小委開く ストック効果最大化評価手法などの検討スタート
    ☆全ト協、青年経営者の先進的事業顕彰 本年度受賞事業者に丸憲運輸と藤倉運輸
    ☆全ト協、降積雪期における輸送の安全確保について各ト協へ発出 国土交通省自動車局長からの通達受け
    ☆埼玉ト協が理事会開く、交通事故防止徹底や個人情報管理規程決める
    ☆日倉協、安全衛生教育DVDライブラリーの充実図る 新規3巻・リニューアル1巻
    ☆東ト協、大髙会長が抱負示す 駐車問題の解決には今後も全力で臨む
    ☆秋闘妥結状況
    ☆帝国データバンク、海運業者の経営実態調査まとめ 「内航貨物海運業者」の総収入高堅調に推移
    ☆物流連、第8回懇談会で田村副会長が講演 JR貨物の現状語る
    ☆物流連、海外戦略WT開催 マレーシアとの政策対話控え進出企業の課題議論
    ☆東ト協、出版・印刷・製本・取次部会が出版関係者懇談会開く 問題意識の共有進む
    ☆東ト協、第5回理事会開く 創立50周年記念式典を来年10月12日開催
    ☆エコプロダクツ2015開催、物流業界からも多数が出展

今週のユソー編集室

  • ▼パリで開かれた国連気候変動枠組み条約第21回締約国会議(COP21)、先週末には議論も大詰めを迎えたが、なお難題も山積しており、11日までの会期を延長する可能性も示唆された。
    ▼本稿執筆段階では「パリ協定」が合意に至ったかは分からないが、世界全体および各国に温室効果ガス削減目標を策定させることや、5年ごとに検証・見直しを行うことなど、必要と思われる施策も多い。
    ▼欧州の非政府組織による各種指標を基にした温暖化対策評価では、日本の温暖化対策は主要58ヵ国中最低の58位だという。確かに日本のCO2排出量は、2010年以降最新統計の13年まで4年連続で増加している。
    ▼協定の合意に関係なく、温暖化対策には早急かつ真剣に取り組む必要がある。先週末には日本でも環境展「エコプロダクツ」が開催され、物流業界からも多くの企業・団体が出展した。こうしたイベントも活用しながら、温暖化の抑制につなげたい。

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