ORSの廃止問題、集約期限延長して協議継続 収支改善へ大詰め JR貨物・田村社長が会見

JR貨物の田村修二社長は13日の定例記者会見で、オフレールステーション(ORS)問題の協議の現状などを説明するとともに、鉄道事業部門の黒字化に向けて経営資源の一層の効率的運用を図る考えを示した。
田村社長はORSについて、利用運送事業者との協議が継続しているとした上で「さまざまな提案をいただいている。拡販に本腰を入れていただければありがたい。実際に目の色を変えて拡販に取り組んでいるケースもあると聞いている。収支改善のためにどう使ってもらうのか、知恵を出していきたい。もう少し時間はあるので、精力的に詰めていきたい」と語り、おおむね協議が前向きに進んでいるとの認識を示すとともに、当初1月中旬としていた集約の期限を延長するとした。
一方で「(存続が)難しいケースもあるが、ORSが廃止になっても実質的にそれをカバーしていくための知恵を出す」と述べ、ORS以外の手法で集配機能を維持することに含みを持たせた。
利用運送事業者との協議にまで至っていない、青函トンネルの付加金の問題については、EH800の新製などで約160億円の設備投資を行っており、減価償却負担が発生することに言及し、「協力をお願いしている。コスト削減の自助努力はもちろん行っていく。理解を得られるよう頑張りたい」として、引き続き協議を行うよう求めていく考えを示した。
田村社長はまた、12月の経営指標について①1日当たりの取扱収入が4億円超となった日が13日あった②1日当たり12フィート換算発送個数が1万7千個超となった日が5日あった③JRコンテナ運用効率が18%を超えた(一つのコンテナについて約5.5日に1回使用されている高効率の状態)④平均積載率が84.8%となり、2000年以降では月間最高値を記録した⑤月間取扱収入が本年度2回目の100億円超を達成した―の5項目を取り上げ、「この5項目が目安値を超えたのは07年度以来」と指摘、「これらを踏まえ08年のリーマンショック以前の状態に戻ったとみている」と述べた。
その上で「当時と比較して、機関車の両数・貨車の両数・コンテナ個数・フォークリフト配置台数・社員数がどこまで効率化できたのか、現在検証している。今年3月のダイヤ改正でさらに効率化を進め、来年度の鉄道事業部門黒字化を実現していく」と語り、経営資源の効率的運用に力を入れていく考えを示した。