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2016年5月9日付 2608号

多摩ニュータウンで一括配送や家事代行などのくらしサポート開始   ヤマトHD

ネコサポ貝取の前で行われたテープカット ネコサポ永山の前には宅配ボックスが設置されている

 ヤマトホールディングス(山内雅喜社長)は4月28日、都市再生機構(UR都市機構、上西郁夫理事長)と東京都多摩市(阿部裕行市長)と連携し、地域のコミュニティーづくりや他社商品まで含めた宅配便の一括配達・買い物代行・家事サポートなど、多摩ニュータウン(諏訪・永山・貝取・豊ヶ丘エリア)居住者の生活利便性向上を目指す、くらしのサポートサービスを開始した。

 昨年7月に国土交通省の「地域を支える持続可能な物流ネットワークの構築に関するモデル事業」の対象5地域のうちの一つに選定されたことを受けて、9月に関係者による協議会を設立、サービス内容など具体的な検討を進めてきたもの。

 対象となったのは、1971年から始まった多摩ニュータウンの第1次入居が行われた地域で、団地が大部分を占めており、約2万2千人が暮らしている。住民の高齢化が進み、買い物や外出の困難など、初期に開発された近郊都市特有の課題も顕在化しつつあった。

 ヤマトHDは貝取と永山に二つの拠点「ネコサポステーション」を設け、市や地域の情報を発信するなど、地域住民のコミュニティー拠点として機能させるほか◎宅配便の一括配送◎買い物代行・買い物品配達◎家事サポート―などのサービスを提供する。「ネコサポステーション」の設置はヤマトHD初の試みで、ビルなどの館内物流を除く都市内の宅配便の一括配送は、業界初の試み。「ネコサポステーション」の営業時間は午前9時~午後6時で、受付や一括配送のスタッフには、地域住民を積極的に活用していく方針。

 一括配送は、ヤマト運輸のほか佐川急便・日本郵便の宅配荷物が対象。該当エリアの配達荷物を「ネコサポステーション」に集約し、ここから一括して配送する。豊ヶ丘エリアと永山エリアの一部で開始し、貝取・諏訪エリアに順次拡大させていく。各社が荷送人に向けて提供する配達完了情報は、実際の配達完了時に反映できるようシステムを連携させている。

 このほか「ネコサポステーション永山」の前にはオープン型の宅配ボックスを設置し、時間外でも荷物が受け取れるようになっている。宅配ボックスの利用にはヤマトグループの会員制サービス「クロネコメンバーズ」への登録が必要なことから、利用は宅急便のみに限られる。

 買い物代行は、ヤマト運輸が電話・ウェブ・拠点での対面で注文を受け付け、購入品を店舗から集荷、ヤマト運輸の多摩支店で仕分した上で「ネコサポステーション」を経由し自宅まで配送する仕組み。5月9日から「コープみらい貝取店」を対象にサービスを開始し、当面は注文の翌日配達を基本とする。料金は商品1点当たり税込み20円。将来的にはドラッグストアやホームセンターなどへ拡大させていく考え。

 買い物品配達は、地域の小売店から自宅まで、購入品を当日中に配達する。
 家事サポートは、ヤマトグループのヤマトホームコンビニエンスが提供する掃除などのサービスのほか、UR都市機構グループの日本総合住生活が提供する修繕・リフォーム・生活支援サービスJSリリーフの紹介も行い、両グループが連携して生活支援を展開していく構え。

 このほか、ヤマト運輸と多摩市は「多摩市地域見守り活動に関する協定」と「道路損傷等による危険箇所の情報提供の協力に関する協定」の二つの協定を締結。居住者の元気確認や道路損傷の報告を行い、生活の安心サポートを行っていく。

新3ヵ年計画発表、長期経営ビジョンに「アジアを代表する総合物流企業グループ」掲げる 2018年度の経営目標売上高1兆円目指す  SGHD

 SGホールディングス(町田公志社長)は6日、2016年度から3ヵ年を期間とする新たな中期経営計画「First Stage2018」を発表した。

 「アジアを代表する総合物流企業グループ」を長期経営ビジョンに据え、経営戦略に①総合物流ソリューションの進化と生産性向上による持続的成長基盤の整備②海外事業基盤の強化と国内事業との一体展開によるグローバル物流ネットワークの確立③物流周辺事業のバリューアップと最適化④人材マネジメントシステムの構築と人材活用の多様化⑤積極的な最新技術の利活用によるサービスの差別化と業務の合理化―を掲げている。

 2018年度の経営目標は、売上高1兆円(16年度決算比6.0%増)、営業利益620億円(同14.8%増)、営業利益率6.2%(同0.5ポイント増)に設定。3ヵ年の累計投資額はM&Aに270億円、不動産に790億円、情報に620億円、車両・設備等その他に1260億円の合計2940億円を計画した。

 重点施策には①グループ横断的なソリューション営業チーム「GOAL」の進化やスマート納品の進化など、グループ連携によるソリューション力の強化②フォワーディング事業の強化と顧客基盤の拡大によるグローバル物流ネットワークの拡張③不動産事業の取り組み拡大や、決済を中心としたサービス事業の拡充など、物流周辺事業の価値向上・最適化―などを掲げ、日立物流との連携シナジーも追求しながら、目標達成を図る考え。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(58)『マイナス金利 政策の功罪(その2) 』
    ☆四文字『かつての課題「免廃運動」』

  • ☆日貨協連が事務局役職員連絡会議開く、2016年度事業計画案やBCP策定支援事業等について内容紹介
    ☆大阪府等、社整審国土幹線部会で高速料金の物流への配慮等要望
    ☆改正物効法が2日に成立、労働力不足解消の視点盛り込む
    ☆ヤマトHD決算会見、宅急便全商品売上高が初の1兆円超えに
    ☆日通が15年度の商品別実績を発表、引越売上高は1.9%増
    ☆日通が秋田警送事業所を竣工、高度なセキュリティー機能導入 増築可能スペースも確保
    ☆丸運が丸運国際フレートとの統合記念パーティー開く、合併で内外一貫物流目指す
    ☆埼玉ト協、15年度事業報告など承認 8行の金融機関と一堂に会し金融支援強く要望
    ☆LEVOが中国の天然ガストラック普及状況を公表、価格優位性など背景に3年で台数10倍に
    ☆LEVOがエコドライブ実証実験15年度実績を公表、燃費が5.3%の改善
    ☆関東地整がストック効果を発表、圏央道埼玉県区間全通により配送時間短縮や事故発生件数減少効果も
    ☆国交省が港湾物流施設の再編・高度化、対象はランプウェイ・スロープなどに対する補助事業 16日まで応募受付
    ☆全ト協が近代化基金融資制度の検討会スタート、40年迎え再構築の時期に
    ☆日通、東京~北海道航路にひまわり8、9の就航発表
    ☆コラボデリバリーが新宿ガーデンタワーの館内配送業務を開始、サービス提供は都内6ヵ所目に
    ☆各社の16年3月期決算
    ☆全ト協が国交省から依頼を受け、燃料価格下落理由の運賃引き下げ要請への対応
    ☆日通総研短観発表、景気後退の可能性を指摘

今週のユソー編集室

  • ▼ゴールデンウィークが終わって、今日からまた“普通の日々”が始まる。連休中は開業間もない北海道新幹線に乗って、青函トンネルをくぐった人もいるのではないだろうか。
    ▼原稿を書いている段階では、連休中の北海道新幹線の乗車率がどの程度で推移したかは分からない。だが、開業1ヵ月の普通車の乗車率は26%程度で、JR北海道は「想定どおり」としているが、手放しで喜べる状態とは言いづらい。
    ▼すでに毎年50億円近い赤字を計上するという試算結果も公表されており、将来的な不安は尽きない。気になるのは、雑誌などに北海道新幹線の苦戦の原因の一つとして「貨物悪者論」のような記事が掲載されることだ。
    ▼新幹線が東京~北海道間を3時間台で結べないのは、貨物列車が悪いわけではないし、北海道にとって人流と物流はどちらも非常に重要だ。新幹線と貨物列車が共存共栄できるよう、安易な悪者論に警鐘を鳴らしていきたい。

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