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2016年4月25日付 2607号

熊本地震 被災地への支援物資 今後プル型輸送に

熊本ト協が対応にあたった物資集積所、熊本県民総合運動公園陸上競技場での支援物資荷役の模様(16日夜) 緊急物資輸送の基点となる鳥栖営業支店

 14日に発生した熊本県熊本地方を震源とする地震に対し政府は同日夜、内閣府に地震非常災害対策本部を設置して情報収集に努めるとともに、全日本トラック協会などを通じた現地への支援物資輸送要請や輸送を支えるインフラの復旧に全力を注いでいる。

 支援物資については、プッシュ型(被災地以外の地域から食料など当面必要な大量の物資を現地に送り込む輸送)により、食料90万食分などを届けることを決定。16日付で、国土交通省自動車局長から全ト協に対し、被災地が必要とする物資の輸送について、最大限積極的な協力を行うよう文書で指示した。また、熊本県庁から国に依頼のあった輸送については、国交省自動車局貨物課から全ト協へ支援を依頼。これを受け全ト協が指定公共機関である日本通運、ヤマト運輸、佐川急便、西濃運輸、福山通運に支援を依頼している。

 プッシュ型輸送開始当初は、1次拠点での物資滞留などが発生したが、道路の復旧が進んだことなどから、現在では滞留問題は解消している。

 道路は、通行止めとなっていた九州道の植木インターチェンジ(IC)~益城熊本空港IC間の19キロメートルが19日から物資輸送を行う車両に限って通行可能となり、20日から国道443号の応急復旧が完了したことから、本州~九州道方面から被害の大きかった益城町中心部への支援物資の円滑な輸送が整いつつある。

 また、九州道の八代IC~嘉島ジャンクション間の33キロメートルが今週前半に一般開放される予定で、これにより、九州南側から熊本への動脈が回復する見込み。さらに、比較的被害の少なかった熊本県内の熊本・八代・三角と大分県内の大分・別府・佐伯の各3港湾のうち、熊本港を除く5港湾を支援物資輸送や物資供給・補給の拠点として活用。海上保安庁や自衛隊の船舶により九州への支援物資輸送を行っている。

 今後は、プッシュ型から被災地のニーズに応じた物資を送り込む「プル型」にシフトしていくが、必要とされる品目や数量を的確に届けるため、物流専門家や物流事業者による情報・輸送オペレーションがより重要性を増してくる。

インドネシアの物流大手RPX社と業務提携、一貫物流の促進へ SGHDグローバル

RPX社のトラック

 SGホールディングス・グローバル(本社=シンガポール、佐野友紀社長)は21日、インドネシアの大手物流企業RPX社(本社=ジャカルタ、デビッド・バツバラ社長)との間で、デリバリー事業とロジスティクス事業における業務提携契約を締結したと発表した。

 RPX社は、消費市場として高成長が期待されるインドネシア国内において、国内デリバリー、国内エクスプレス、倉庫、フレイト・フォワーディングの各事業を展開している現地の大手物流企業。

 11ヵ所の倉庫を構え、インドネシア全域にネットワークを持っており、特に人口の70%を占め、最重要市場であるジャワ島に強いネットワーク基盤を持っている点が特徴。

 インドネシアでは外資規制緩和により、eコマースの成長が今後も大きく見込めることから、消費市場としての成長ともあわせ国内デリバリーに対するニーズが増加傾向にある。

 今回の提携により、SGHDグループの「佐川急便インドネシア」で展開しているフレイト・フォワーディング事業と、RPX社の国内デリバリー、ロジスティクス事業の機能を一体化させることで、国際物流から国内配送までの一貫物流を促進していく考え。

 また、SGHDグループが各国で展開している3PL事業やeコマース物流のノウハウをRPX社に提供し、顧客サービスの向上を推進していくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ「上海ディズニーランドの開園、EC物流の強化など」~中国内需主導型経済への転換のエンジンとなるか~
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(57)「マイナス金利 政策の功罪(その1)」
    ☆四文字『歩合給の課題「最低保証」』
    ☆日中ビジネスワンポイント『里帰りの感想』

  • ☆全ト協・熊本ト協、熊本地震で「非常災害対策本部」を設置、指定公共機関と連携
    ☆熊本地震、各社の対応
    ☆埼玉ト協、52%の中小トラック事業者が重要経営課題に運転者不足・採用難をあげる
    ☆LEVO、中小事業者向けの環境対応型トラック導入補助を6月13日に公募開始 大型車は100万円補助
    ☆物流連、「手荷役実態調査の中間報告」を発表 費用面など荷主と対話進める
    ☆東ト協、会員アンケートを実施 駐車禁止反則金の納付額が年間140万円の企業も
    ☆国交省、「下請等中小企業の取引条件の改善に関する調査」の結果公表 トラックの適正運賃完全収受は25%に
    ☆韓国日通、釜山港FTZ内に新ロジセンター竣工 ハブ拠点として運用
    ☆日通総研、倉庫作業分析ツール『ろじたん』に新機能「物流ダッシュボード」を追加しデータをビジュアル化
    ☆国交省、「ドライバー異常時の対応システム」 世界初のガイドラインを策定 体調急変時の事故防止に
    ☆物流連、「物流連懇談会」を開催 山内ヤマトHD社長が「新たな価値を生み出すクロネコヤマトの満足創造経営」をテーマに講演
    ☆全ト協、「近代化基金融資制度のあり方に関する検討会」を開催
    ☆通運連盟16年度計画決定、「労働力不足のシンポジウム」開催本年度見送り 具体策実施の年に
    ☆通運連盟、「鉄道コンテナお試しキャンペーン」2015年度実績まとめ 引き続き需要旺盛で予算枠超過
    ☆物流連、青山学院大学で春学期の寄附講座「現代の物流機能と経営」を開講
    ☆全ト協、7月1日~14日まで「2016年度貨物自動車運送事業安全性評価事業(Gマーク制度)」申請受付

今週のユソー編集室

  • ▼14日と16日の2度にわたり震度7の大きな揺れに見舞われた熊本県。亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、一向に収まる気配の見えない余震に不安を抱える、被災者の方々のご苦労を思う。

    ▼東日本大震災から5年と1ヵ月余り、日本は再び試練にさらされた。2万人を超える死者・行方不明者を出したあの震災から、われわれが何を学び、そして何を改善してきたか、今問われている。

    ▼発災直後から政府は「プッシュ型」と呼ばれる支援物資輸送に動いているが、少なくとも避難者サイドから見た場合、今までのところ迅速的確なオペレーションができているかという点については、疑問符が付いてしまうように思える。

    ▼助けてほしいという気持ちと助けたいと思う気持ち、物流はこの二つの思いをつなぐ心のライフラインでもある。緊急時にその機能が十分に発揮できるよう、今回の地震にもしっかりと対応し、さらなる改善に結び付けたい。

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