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2016年6月20日付 2614号

2015年の交通死亡事故、事業用トラック第1当事故308件で前年比7%減少するも依然多い追突事故 全ト協まとめ

 全日本トラック協会はこのほど、2015年(1~12月)の交通死亡事故統計分析結果(発生地別)をまとめた。事業用トラックが第1当事者となった死亡事故件数は308件となり、前年比6.7%の減少となったが、車両相互の衝突事故が昨年に引き続き50%以上を占め、追突事故も依然として多い。
 発生地別に見ると、大阪府が28件(前年比4件増)で最も多く、次いで東京都の25件(前年と同じ)、神奈川県の19件(2件増)、静岡県15件(2件増)、埼玉県14件(6件減)、北海道12件(2件増)、茨城県12件(4件増)、千葉県12件(6件減)、兵庫県12件(3件減)と続く。
 車両区分別では大型が185件で6割以上を占め、中型106件(34.4%)、普通17件(5.5%)。
 事故類型別では「車両相互」が159件で半数以上を占め、「人対車両」が111件(36.0%)、「車両単独」38件(12.3%)と続く。
 「車両相互」の事故では「追突 駐・停車中」(33件)と「追突 進行中」(17件)の追突事故が合計50件と3割強を占め、「出会い頭衝突」29件、「左折時衝突」27件と続く。
 「車両単独」事故では「駐車車両(運転者不在)」が13件(34.2%)で最も多く、「工作物 防護柵等」8件(21.1%)と続く。
 「人対車両」事故では「横断中 横断歩道」が32件(28.8%)で最も多く、「横断中 その他」29件(26.1%)、「路上横臥中」17件(15.3%)と続く。
 交差点での対歩行者、対自転車の事故は87件発生しており、死亡事故全体の約3割を占める。これは追突事故50件の1.7倍にあたる。このうち対歩行者事故は48件、対自転車事故は39件。
 左折・直進・右折事故別に見ると、直進死亡事故が35件で最も多く、このうち対歩行者が22件を占め、対自転車のほぼ2倍発生している。次いで左折死亡事故が29件で、このうち8割以上が大型車によるものであり、対自転車が24件と対歩行者の約5倍発生。右折死亡事故は23件で、このうち対歩行者が21件を占め、対自転車の約10倍と多く発生している。

新京都支店オープン、久留米運送施設に同居し京都市内で共同配達も 第一貨物

新設した京都支店の外観

 第一貨物(武藤幸規社長)は17日、京都府八幡市の現地で新・京都支店の披露式を行った。きょう20日から営業を開始する。
 京都市伏見区の旧京都支店が狭あい化・老朽化したことから移転したもので、久留米運送の新築施設の半分を賃借し、両者のターミナル施設が同居する。このような形態の施設整備は両社とも初のケース。
 新・京都支店は八幡市野尻正畑22の1に所在。全体の敷地面積は1万1900平方メートル、建物は鉄骨造2階建て(荷捌場平屋建て)、延べ床面積5千平方メートルの規模。長寿命LED照明を採用したほか、セキュリティー確保のためデジタル監視カメラを15台設置している。
 荷捌スペースを旧施設の2.4倍に当たる1200平方メートルに拡大させたほか、八幡市・久御山町・城陽市を自社取り扱いエリアとした。久留米運送と同居している利点を生かし、京都市内で共同配達を行う。具体的には左京区・西京区・上京区・下京区の一部を第一貨物が、山科区・北区・南区の一部を久留米運送が、それぞれ配達する。
 移転に併せ第一貨物では、ドライバーを3人増員して17人体制に、車両を2台増備して21台体制に拡充した。7月には京都~仙台間の直行便を開始し仙台市内の翌日配達を可能とし、本年度末までには大型車3台分の増発を計画している。
 披露式には久留米運送の二又茂明社長も出席。主催者あいさつした武藤社長は「旧施設は狭あい化し顧客にも迷惑をかけていたが、移転先の適地もなく困惑していた。久留米運送の施設新築移転の話を聞き、渡りに船と入居することにした」と経緯を説明し、二又社長に謝意を表した上で「当地は関西の交通の要衝であり、輸送の好適地。東北向けの体制を整え、皆さまのプラスになるよう、心して頑張る。創業75周年の記念すべき年に、新しい支店で事業を再スタートできることをうれしく思う」と語り、業容拡大に意欲を示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字『歩合の是非「賃金体系」』
    ☆寄稿、パレット管理『進化するパレット管理システム(Ⅱ)』

  • ☆国際クール宅急便が第1回日本サービス大賞国土交通大臣賞受賞
    ☆通運連盟、通常総会開催 15年度決算承認
    ☆経産省、15年の電子商取引調査結果発表 国内BtoC市場規模の分野別で物販系7兆円超に
    ☆全通連、第66回全国大会で16年度事業計画承認 鉄道コンテナへの過積・偏積防止へ
    ☆日通・郵船ロジ、名古屋発台湾向け冷蔵混載輸送サービスを共同開発・販売開始
    ☆JR貨物、仙台貨タ駅移転事業で宮城県と基本合意 県の防災拠点整備に協力
    ☆国土交通白書、熊本地震で物流事業者など連携による支援物資輸送「プッシュ型」を紹介
    ☆佐川急便・小田急電鉄、小田急線新宿駅西口に宅配カウンター開設 手ぶら観光サービス提供
    ☆長距離フェリー協会、入谷会長が通常総会であいさつ トラック労働力不足に有効な解決策提供できるとの考え示す
    ☆JR貨物・通運連盟、鉄道コンテナ利用キャンペーン2016年で6イベントに出展 お試し輸送も展開
    ☆C&FロジHD、子会社の名糖運輸がベトナムに運送事業合弁会社を設立へ
    ☆日通商事、ナショナルスタッフ研修実施 海外関連会社12人が参加
    ☆ヤマト運輸、高齢者支える活動で東京都と連携協定 21日に都庁で締結式
    ☆テルウェル、総会・研修会で引越エピソードを披露 発表者から「お客の立場に立って」など感想も語る
    ☆山九、日本アジアハラール協会から「大井物流センター」「本牧ふ頭D―CFS2号倉庫」で認証取得
    ☆RSA、定時総会開催 「早期に80社会員体制へ」との方針語る

今週のユソー編集室

  • ▼政府観光局の統計によると2016年の訪日外国人数は5月までで1千万人に迫り、前年同期比で約30%増加した。12年以降毎年20%超の高い伸長率を記録しており、勢いは衰えていない。
    ▼訪日外国人の増加は重要な国家戦略の一つで、ライドシェアや民泊など、さまざまな規制緩和策も導入に向けて検討が始まっている。物流でも宅配などを中心に外国人旅行客向けのサービス強化が進んでいる。
    ▼だが、規制緩和で痛い目にあっている物流業界から見れば、近年の急激な流れには多少の不安感も覚える。現にライドシェアのUberはアメリカで犯罪の温床になっているとの指摘があり、フランスでは民泊業者の脱税などが大きな問題になっている。
    ▼規制緩和が成長を促すことは理解できる。必要なのは悪質事業者を排除し、予想される悪影響を最小限にとどめる仕組み作りだ。物流業界で起きたことをみれば、やみくもな規制緩和には賛成できない。

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