わが国物流の国際展開 16年度物流パイロット事業の一環としてミャンマー~タイ間で農産品の輸送実験を開始 国交省
国土交通省は23日、2016年度物流パイロット事業の一環として、ミャンマーでの農産品輸送の物流近代化に関する実証実験を開始した。
多くの人口と低廉な労働力、豊富な天然資源を擁するミャンマーは、民主化後の経済制裁緩和や外国企業の進出などにより高い経済成長を続けており、物流の拠点としても注目を浴びている。
一方で、電力不足により製造業の発展が遅れていることや、道路をはじめとするインフラ整備が進んでいないことなど、荷主とともに海外に進出することの多い日本の物流企業にとって、ミャンマーへの進出には課題が多いとされる。
こうした中、新たな市場開拓のために日本の物流企業がミャンマーに進出するには、物流企業が主体となって、自社で扱う貨物を創り出すことも手段として考えられる。
特に、ミャンマーの主要産業である農業は、農産品の品質管理体制や輸送技術の改善により規模の拡大が望めるため、物流企業進出の際の有力な貨物になる可能性を秘めている。
こうした状況を踏まえ、国交省はミャンマーで日本の高品質な物流システムを展開するため、農産品の出荷・輸送に関する実証実験を行うことにしたもの。
「物流機器を用いた野菜の輸送実験」と「マンゴーの高付加価値化実験」を通じて、効果や課題を具体的に調査・分析して、物流システムの形成・促進を図る。
「物流機器を用いた野菜の輸送実験」は、農産品産地のシャン高原からヤンゴンを経て、タイのバンコクまで、荒れた道路にも対応する「防振パレット」や、通気性に優れた「折り畳みコンテナ」などの物流機器を用いてキャベツやトマトなどを輸送する。
これにより、輸送時の衝撃に関する環境調査や、クロスボーダー輸送時の問題点などを把握の上、品質が保持されているかを確認する。きょう27日にシャン高原を出発し、国道1号を経て30日にヤンゴンに到着。7月10~13日には、ヤンゴン~バンコク間のクロスボーダー輸送を行う。
「マンゴーの高付加価値化実験」については、マンゴーの集荷を行うマンダレーで出荷・輸送前に「選果機」を用いた選別により内部障害や糖度を検出して品質を安定化させるとともに、「蒸熱処理装置」により農産品の高付加価値化を図る。実験は23日に始まり、7月5日まで実施の予定。