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2016年7月4日付 2616号

高校新卒等の人材確保対策でPR活動など促進、助成事業も実施  全ト協通常総会

あいさつする星野会長

 全日本トラック協会(星野良三会長)は6月30日、東京都港区の第一ホテル東京で通常総会を開催し、貸借対照表・正味財産増減計算書等2015年度計算書類(決算)を承認するとともに、15年度事業報告書や準中型免許導入に伴う高校新卒者等の人材確保対策などについて報告した。人材確保対策では準中型免許の取得・高校へのPR活動・業界への啓発活動の促進を図る。
 
 冒頭あいさつで星野会長は熊本地震での緊急物資輸送、義援金募金への協力方に感謝の言葉を述べた上で、人手不足が今後とも続くとして、人手確保に向け荷主に対する強気な経営姿勢を求めるとともに、ドライバー等の待遇改善を図り、若い人が大勢入ってくるような業界となるよう、皆さんとともに頑張っていきたいと述べた。高校新卒者等の人材確保対策は、来年3月中旬にも施行予定の準中型免許取得を促進するため、全ト協が高校生向けPRパンフレットを作成・配布するほか、準中型免許取得に対する助成を実施する。
 
 また高校生へのPR活動促進では都道府県ト協が行う人材確保支援事業に対する助成、事業者が行うインターンシップに対する助成を実施。さらに全ト協でのインターンシップ募集サイトの整備、全ト協や都道府県ト協による初任運転者に対する充実した教育訓練やPRの実施、国土交通省、都道府県ト協による運転者不足解消に向けた高校への協力要請などに取り組む。
 
 募集サイトの整備は「インターンシップ受入事業者募集サイト」として3月に開設。高校新卒者等の採用促進を図るための一助として、物流業界への理解とイメージアップを図ることを目的に、全ト協ホームページに高校生や大学生へのインターンシップ受け入れが可能な企業に対し、募集サイトを開設したもの。この登録サイトを利用し、高校以上の教育機関からインターンシップを3日間以上受け入れた企業に対し、期間に応じて9万円から13万円を助成する。また高校以上の教育機関に、物流出前授業や業界説明会、物流施設見学会など人材確保に関する支援事業を実施する都道府県ト協に対し、50万円を上限にその経費の一部を助成する。ともに4月に募集を開始した。6月からは全国高等学校長協会・全国自動車教育研究会加盟校に対し、募集サイトの周知や高校生向けPRパンフレットを配布している。
 
 トラック業界への啓発活動では全ト協、都道府県ト協による人材確保セミナーの実施、スマホ対応のホームページの整備や労働条件の見直し・環境整備などを推進していく。役員改選期ではないが、都道府県トラック協会の代表変更等に伴う理事・監事の選任等では、所属ト協会長を退任した坂本克己、嶋田康子の両副会長は、星野会長推薦により、引き続き副会長を務めていく。また齋藤直也常務理事が退任し、新常務理事に永嶋功審議役が選任された。
 
 報告事項では、熊本地震の熊本、大分両トラック協会における被害状況や全ト協との対応、各ト協に募った義援金・見舞金が当初目標の5千万円を大幅に上回る9300万円が寄せられ、会場で両ト協に目録が贈呈された。

東北・食のソラみち 新たな輸出マーケット創造へ物流で活性化に貢献  日通

 日本通運(渡邉健二社長)は6月30日、東北と世界を「食」で結び東北地域の活性化につなげる「東北・食のソラみち協議会」を仙台国際空港・七十七銀行・三井住友海上火災保険・凸版印刷と協働して設立した。
 
 空港・物流・金融・商品開発に携わる参画企業それぞれのノウハウを活用し、東北地方の高品質で安心な農林水産物・食品等の輸出をより一層推進する。また、東北の食文化を広く世界に紹介し、海外との交流を深めて新たな販路開拓となるよう関係者一体となった取り組みを推進していく。輸送ネットワークの拡大、貨物量の増大を図り、仙台国際空港の利用促進、地域経済の活性化を目指す。
 
 日通では協議会を通じて、国内外に持つグローバルネットワークを最大限に活用し、産地から目的地まで最適輸送の提案や物流モデル構築など、物流から東北の食輸出ビジネスをサポートしていく。
 協議会の目的は◎東北地域の高品質で安心な食品・農林水産物等の輸出を促進する◎東北の食文化を広く海外に紹介することによる海外交流を深める◎関係機関と連携し、新たな販路開拓となる取り組みを推進する―を掲げており、東北農林水産物・食品輸出モデル検討協議会の支援モデル第1号に認定されている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・トラックの安全環境対策
     各団体の助成措置
    国土交通省
    全日本トラック協会
    神奈川県トラック協会
    千葉県トラック協会
    埼玉県トラック協会
    東京都トラック協会
    環境優良車普及機構(LEVO)
     各社注目の安全機器
    矢崎エナジーシステム
    ユピテル
    データ・テック
     トピック
      東京ユニオン物流
      日通
    ☆物流にとってアベノミクス『吉』か『凶』か(62)「英国のEU離脱の影響は」

  • ☆佐川急便、第24回ドラコン開催 団体優勝に東関東支店
    ☆物流連・工藤会長、情報宣伝活動に注力 物流・荷主・行政の連携で生産性向上の実現へ
    ☆国交省・藤井自動車局長、トラックの取引環境・労働時間改善協議会 4地方でパイロット事業開始へ
    ☆厚労省、15年度過労死労災補償状況を発表 脳・心臓疾患は道路貨物運送業が最多
    ☆丸運・荒木新社長 就任あいさつ「創業者スピリット『利他自利』に新たな息吹を送り込みながら、第2次中期経営計画の目標達成へ」
    ☆日立物流、インドネシア国内に物流センター開設 地元日系企業の事業拡大に対応
    ☆インド日通ロジスティクス、国内物流専業会社として営業開始 国内物流の需要増に対応
    ☆日本自動車ターミナル、15年度業績発表 減収も純利益は増 高機能型物流施設着工へ
    ☆SG佐川ベトナム、イオン・ビンタン店で保冷配送サービス開始 ベトナム国内4か所目
    ☆東ト協・千原会長代理、協会の方針を「運営から経営に」 教育研修施設の設置へ向け検討組織立ち上げ
    ☆SGHD、エコ絵画コンクール2016の作品募集開始 全国の小学生を対象

今週のユソー編集室

  • ▼最近のウイルスメールの“進化”は著しい。差出人にはよく知られた企業名などが使われ、件名もいかにもありそうな感じの文言が盛り込まれている。そんなメールが1日に何十件もやってくる。
    ▼国内大手旅行会社のJTBは、サイバー攻撃により793万人分の顧客情報が流出したという。6月30日にはヤマト運輸を装う不審なメールが出回っているとして、同社がホームページ上で不審なメールの添付ファイルを開かないよう注意喚起した。
    ▼国土交通省の佐々木良サイバーセキュリティ・情報化審議官は、日本物流団体連合会の定時総会で「サイバーセキュリティは重要な経営危機管理事案」と強調し、官民連携での取り組み強化を訴えた。
    ▼生産性革命でIoT(モノのインターネット)などが注目されているが、こうしたサイバー攻撃を受けた場合、どのような事態が起こり得るのか、われわれはそのリスクも正確に知っておく必要がある。

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