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2016年8月29日付 2623号

トラックの生産性向上事業として高速大口・多頻度最大50%割引を1年継続、荷役用リフトに1台当たり30万円補助  16年度第2次補正予算案

 24日に閣議決定された2016年度第2次補正予算案では、国土交通省関係で、「トラック運送業の生産性向上促進事業」として、トラック後部に荷役作業用リフト「テールゲートリフター」を装着する場合に補助を行うための予算4億円を計上している。また、ETC2.0利用者の大口・多頻度割引の最大割引率を50%とする措置についても105億円計上し、来年度1年間延長する。

 第2次補正の国交省分一般会計予算額は、1兆2257億円。8月2日に閣議決定された「未来への投資を実現する経済対策」で取り組むとされた①一億総活躍社会の実現の加速②21世紀型のインフラ整備③地方の支援④熊本地震や東日本大震災からの復興や安全・安心、防災対策の強化―を柱に、各項目の実施に必要な経費を積み上げている。

 「21世紀型のインフラ整備」では、生産性の高い物流ネットワーク構築に向けた大都市環状道路の整備、渋滞対策などに1295億4300万円を計上したほか、国際コンテナ戦略港湾の機能強化についても140億9800万円計上。

 さらに、ETC2.0利用者に対する高速道路料金の大口・多頻度割引の最大割引率を40%から50%に引き上げる措置を2017年度も引き続き実施するため105億円計上している。

 最大割引率50%への引き上げは、14年4月に従来型ETC利用者を対象にスタート。本年度からはETC2.0利用者を対象に実施しているが、従来型ETC利用者についても経過措置として、最大割引率50%への引き上げが4月以降も継続されている。経過措置分の割引原資については高速道路会社が負担しており、補正予算には盛り込まれていない。

 国費による最大割引率50%への引き上げに必要な16年度分予算については15年度補正予算で256億円が認められた。16年度第2次補正予算では、ETC2.0車載器の普及状況などをにらみながら、1年間延長に必要と想定される105億円を計上した。

 トラック運送業の生産性向上促進事業については、荷役作業の効率化に寄与するテールゲートリフターを装着した新車の導入またはリフターの後付けを行う際に、1台当たり30万円の定額を補助する方向で調整が進められている。

現地企業と合弁設立、タイで宅急便展開 来年1月事業開始へ  ヤマトアジア

 ヤマトグループの東南アジア地域統括会社であるヤマトアジア(本社=シンガポール、リチャード・チュア・キン・セン社長)は25日、タイの複合企業体サイアム・セメント・グループ(SCG)のSCGセメント―ビルディングマテリアルズ社(本社=バンコク、ピチット・メイプーン社長)との間で、タイ国内において宅急便サービスを提供するための合弁会社設立について、基本合意した。

 新会社の名称は「SCG Yamato Express」。本年10月に設立し、来年1月から事業を開始する予定。資本金は6億3300万バーツ(18億9300万円)で、SCGセメント―ビルディングマテリアルズ社が65%(12億3千万円)、ヤマトアジアが35%(6億6300万円)を出資する。

 SCGがタイ国内で保有するBtoB全国配送ネットワークに、ヤマトグループが日本で培った宅急便のノウハウを融合させ、タイ国内で宅急便事業を展開させていく考え。今後両社は協議を重ね、10月にも共同記者会見を行う予定としている。

 ヤマトグループは1990年にタイヤマト運輸を設立し、ロジスティクスやフォワーディング、海外引越の各事業を展開している。同グループが東南アジアで宅急便サービスを展開するのは、2010年のシンガポール、2011年のマレーシアに続き3ヵ国目。

 SCGはタイ国内のセメント業界で売上高トップを誇る複合企業グループ。セメント建築資材、化学、梱包材、流通・物流事業などを展開し、同国上場企業の株式時価総額5位の規模。2013年には創立100周年を迎えており、当初から王室財産管理局が最大株主となるなど、古くからタイの経済発展の中核を担ってきた企業の一つ。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(64)『民進党のマニフェストを読んで驚いた(その1)』
    ☆日中ビジネスワンポイント『桂林の旅』

  • ☆JA-LPA、「物流不動産のこれからの10年」をテーマに10月セミナー開催へ
    ☆全ト協・日貨協連、従来型ETC搭載車への大口・多頻度割引について経過措置の延長を国交省に要望
    ☆運輸労連東京都連が定期大会開く、今春闘に一定の評価 駐車規制緩和などの取り組み強化へ
    ☆日通・後藤常務と小林執行委員が定例会見、重機・グローバル営業の増収に向け強い姿勢を示す
    ☆国交省道路局が特殊車両所有事業者にアンケート実施、通行許可制度の基礎資料収集を目的に
    ☆国交省・早川治大臣官房審議官が会見、『事業用自動車総合安全プラン2009』の目標達成に注力
    ☆日立物流、山口県下松市内の小学生・園児を対象に鉄道車両輸送船見学会を開催
    ☆全ト協、本年1~7月の事業用トラック第1当事者交通死亡事故件数が前年同期比16%減に
    ☆全ト協・秋の全国交通安全運動実施計画、追突と交差点事故防止をトラック最重点推進項目に
    ☆全ト協、燃料供給施設整備の助成について10月に追加公募を実施 軽油タンク新設100万など
    ☆佐川急便、国土強靭化への貢献を評価され物流業界初「レジリエンス認証」取得
    ☆ヤマト運輸、メンバーズ会員対象に配達希望時間を事前登録する「Myカレンダーサービス」開始
    ☆佐川急便、横浜市と地域活性化に関する包括連携協定を締結 市民サービス向上へ
    ☆メキシコ日通、アグアスカリエンテス州に同州2拠点目のロジスティクスセンター開設
    ☆運輸労連、「トラック運輸 職場の法律相談Q&A(新版)」発行、最新の判例など紹介
    ☆センコー、イオン「西関東ロジスティクスセンター」の物流業務受託
    ☆厚労省の本年1~7月労災速報、陸上貨物運送事業の死亡者数前年比9.6%減少

今週のユソー編集室

  • ▼年々厳しさを増していくトラックドライバーの不足感。官民挙げてさまざま対策が議論されているが、その背景には、日本全体の根本的課題となっている、少子化問題があるように感じている。
    ▼厚生労働省発表の資料によると、1人の女性が生涯に何人の子どもを産むのかを推計した合計特殊出生率の2015年の数字は1.46となり、2年ぶりに前年比増加に転じるとともに、21年ぶりの高水準になったという。
    ▼担当大臣まで置いて取り組んでいる国の施策が一定の成果を挙げているとみることもできる反面、人口を維持するために必要な数字は2.07程度とされていることなどを考えると、まだまだ低いと言わざるを得ない。
    ▼運輸労連はこのほど発行した書籍の中で、労働環境の改善こそが少子化対策と訴えており、若年者の経済的苦境が多く報じられる中、この指摘は的を射ていると思う。物流業界の労働環境改善は、国家的課題と言えそうだ。

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