荷役作業の料金などガイドライン作成 手荷役調査の最終報告書を公表 物流連
日本物流団体連合会(工藤泰三会長)はこのほど、「トラック幹線輸送における手荷役の実態アンケート調査」の最終報告書を公表した。
2015年7月に経営効率化委員会の傘下に「ユニットロードシステム検討小委員会」を設置し、トラック幹線輸送における人手不足への具体的な対応策の一つとしてユニットロードシステムの活用策を検討してきたが、最終報告書ではシステムの推進に向けて、荷役作業における料金設定の方法等をガイドラインで明示することなど、具体的な提案を行った。
この調査については、本年4月に物流事業者に対するアンケート結果をまとめた中間報告を公表しているが(2607号6面参照)、最終報告書ではこれに加え①他の類似調査との比較検証②荷主、荷主業界団体へのヒアリング③提言にかえて(物流の真の効率化のために)―の各章を追加し、幅広い観点からより多面的な考察を加えた内容としている。
物流連では今後、国交省・厚労省主導で進められている「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」などの場で、報告書の活用を訴えていく考え。
最終報告書のうち「まとめ(問題提起)」では、今後取り組むべき課題として、物流事業者が手荷役作業の費用と労働実態を把握した上で、運転者が無償で手荷役作業を行うことが困難な実態を社会に発信していく必要があると指摘。発着荷主との共通理解を得るための対話を呼び掛けている。
一方「提言にかえて(物流の真の効率化のために)」では、「『荷役作業』を輸送に伴う“付帯作業”としてではなく“主作業”として別途切り離して検討すべき」と強調。「荷主としては、できるだけ多く積むために手荷役での“ばら積み”を希望する傾向が強いが、これによってトラック運転者に過酷な作業を要求するとともに、荷積み、荷卸ろしに時間を要し、待ち時間を長くさせ、非効率になっていることも忘れてはならない」と訴えている。
その上で「“長距離輸送”においては“輸送時間(コスト)”の比率が大きくなるため、積載効率を優先すべきである。一方、“短距離輸送”では“荷役時間(コスト)”の比率が大きくなるため、“荷役効率”を優先すべきである。この関係を、詳細に分析・把握し、その分岐点を見出すことが必要」と指摘。
これらを踏まえ、パレタイズ化によるユニットロードシステム推進のため「過去における多くの実態調査などの資料を活用し、荷役作業の“作業要素”を抽出・整理するとともに、これらに要する工数(時間や費用)の代表値を提示することが必要と考える。公的機関や組織・団体、大手企業等が中心になって、『荷役標準作業』、『荷役標準時間』、『作業・責任分担方法の例示』、『荷役料金の設定方法』などのガイドラインを作成」することを提案している。