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2016年10月17日付 2628号

第21回全国トラック運送事業者大会を開催、諸課題の解決に向け業界の英知を結集  全ト協

星野会長(前列右端)らによるガンバローコール

 諸課題に勇気と英断をもって果敢に対応―。
 
 全日本トラック協会(星野良三会長)は6日、鳥取県米子市の米子コンベンションセンター・文化ホールで第21回全国トラック運送事業者大会を開催。会員ら約1200人が参集し、分科会での事例報告などを通じて交通安全や人材確保・育成についての方策を学ぶとともに、取引環境改善や長時間労働の短縮、原価管理に基づく適正運賃収受などを盛り込んだ大会決議を採択した。
 
 冒頭あいさつで星野会長は、トラック業界が最重要項目として要望していた高速道路料金の大口・多頻度割引率最大50%の延長について、2016年度第2次補正予算案に105億円が計上され、ETC2.0搭載車は18年3月末まで継続される見込みとなったことを報告。
 
 トラックの生産性向上促進事業についても4億円が盛り込まれたとして、「アベノミクスの一層の加速に期待する」と述べた。
 
 また、2年目を迎えた国土交通省・厚生労働省の「トラック輸送における取引環境・労働時間改善協議会」について、各地で順次パイロット事業が進められていることを説明し、「長時間労働の抑制や適正運賃収受をはじめとする取引環境の改善に向けて、着々と準備が進んでいる」とした。
 
 第21回事業者大会については、交通安全対策と人材確保・育成の二つのテーマの分科会を設けていることを紹介。「業界一丸となり、積極的に取り組むため一致結束する絶好の機会」であるとの考えを強調するとともに、「トラック業界の明るい未来を自らの手で切り拓くため、業界の英知を結集し頑張ろう」と呼び掛けた。
 
 会長あいさつの後、議長団選出などを経て、分科会に入った。
 
 各分科会のテーマ、コーディネーター、パネリストは次のとおり。
 
 【第1分科会】テーマ=「トラック業界の交通安全対策の推進について」◎コーディネーター=高柳勝二プロデキューブ社長◎パネリスト=清野敏彦ジャスト・カーゴ社長、飯田勇一高井戸運送社長、堂坂佳延コフジ物流社長
 
 【第2分科会】テーマ=「トラック業界の人材確保及び育成について」◎コーディネーター=小坂真弘日本PMIコンサルティング主席コンサルタント◎パネリスト=菅原茂秋ティスコ運輸社長、川北辰実カワキタエクスプレス社長、實光広宣広島急送社長
 
 分科会終了後、山口県内で日本酒「東洋美人」を醸す澄川酒造の澄川宜史社長による記念講演会を開催。
 
 講演会後、全体会議を再開し①取引環境改善・長時間労働縮減②高速道路料金大口・多頻度割引最大50%の恒久化実現③参入基準の厳格化など規制緩和の見直し促進④原価管理に基づく適正運賃収受⑤交通・労災事故の防止と環境・省エネ対策の積極的推進⑥準中型免許の導入に伴う高校新卒者等の人材確保―などを盛り込んだ大会決議を採択した。
 
 来賓からは、国土交通省の藤井直樹自動車局長らがあいさつ。藤井局長は、「トラック業界は課題が山積し厳しい環境にあるが、安全の確保に努め、日本の経済を支える使命を全うしてほしい」とした。
 
 来賓あいさつの後、東北六県トラック協会連合会の須藤弘三会長が次回事業者大会は2017年10月3日に宮城県仙台市で開催予定であることを報告。最後に鳥取県トラック協会の菅埜元晴副会長の音頭で参加者全員による「ガンバローコール」を行い、閉会した。

東京貨物ターミナル駅でコンテナ試作品公開、「氷感SO庫」と「SORAコン」で生販間の流通革命へ  JR貨物・南関東ロジ

「氷感SO庫」の前で、(左から)杉野社長、佐々木社長、田村社長

JR貨物・南関東ロジスティクス(佐々木淳社長)は6日、東京都品川区のJR貨物東京貨物ターミナル駅構内で、同社が中心となって開発した「リノベーションコンテナ」のプレゼンテーションイベントを開催し、関係者ら約150人の前で新開発コンテナの試作品を公開した。

「リノベーションコンテナ」は、JR貨物の汎用12フィートコンテナを改良して機能性や付加価値性を高めたもので、食品類などを凍らせずに鮮度を保ったまま輸送や長期保存できる氷感技術を採用した「氷感SO庫」と、太陽光発電装置と換気扇を備え留置状態でも換気が可能な「SORAコン」の2種類を開発。特に「氷感SO庫」については、電源があれば長期保存も可能なことから、駅頭での保冷保管や柔軟性をもったリードタイムの設定が可能となり、列車の出発時間に間に合わせるために農家が夜明け前に収穫するといった負担が解消できるという。

冒頭あいさつした佐々木社長はまず、技術協力を受けた各社に謝辞を述べ、今後全国で試験輸送を行い、来年度にも量産体制に移る考えを示した上で「生販間の流通革命の役割を担いたい」と胸を張った。来賓あいさつではJR貨物の田村修二社長が「画期的なコンテナであり、低温輸送を鉄道貨物輸送の強力な武器にしたい。商品として成り立つようスピード感をもって取り組んでいく」と期待感を示し、全国通運の杉野彰社長も「氷感技術は常識を大きく変えるシステムで、鉄道貨物輸送が新たなステージに広がることを期待する」と語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集、全ト協主催 第48回全国トラックドライバー・コンテンスト開催
      22~23日に学科・実技競技、143人の選手が出場
      星野会長あいさつ「結果だけにこだわらず伸び伸びと競技を」
      出場選手の平均年齢40歳の大台超える
      出場予定選手名簿

  • ☆日通、横浜・本牧物流センター新倉庫B棟竣工
    ☆東ト協、教育研修施設開設や協会組織改善へ特別委の設置決める
    ☆千葉ト協が理事会、協会のあるべき方向性探る検討委員会設置へ
    ☆国交省、社会実験で埼玉県内の道の駅に宅配ロッカー設置
    ☆センコー、ミャンマーで新センター稼働し3温度帯物流を提供
    ☆全ト協と日貨協連が情報化で国交大臣表彰
    ☆MH協が創立60周年記念式典、川合日通会長らに特別感謝状贈呈
    ☆運輸労連が運輸問題研究集会開催、難波委員長が定期健康診断の100%受診等訴える
    ☆交運労協が定期総会、スケールメリット生かした活動を
    ☆全ト協・日貨協連の9月WebKIT速報、荷物情報登録件数が4ヵ月連続で前年上回る
    ☆日通の創立記念式典で渡邉社長があいさつ、アジア発展支える企業として存在感高めていく
    ☆鉄道の日の大臣表彰
    ☆西濃運輸が内定式・懇親会、木升で乾杯し祝福
    ☆国交省、高速道路での重大事故受け全ト協等に安全確保求め通知
    ☆JR貨物・通運連盟・鉄貨協、輸送品質向上キャンペーンのキックオフ会議開催
    ☆東ト協が創立50周年記念式典開催、祝賀会に700人が参加
    ☆物流連が物流KPIセミナー開催、各社が先進事例など発表

今週のユソー編集室

  • ▼JR貨物・南関東ロジスティクスが開発した保冷用の鉄道コンテナ「氷感SO庫」の試作品が、このほど東京貨物ターミナル駅で関係者に披露された。
    ▼氷感システムとは食材などを凍らせずに保存する技術で、鮮度が保てることはもちろん、保存中に食材を熟成させることもできるという。古米をこの技術で保存すると、新米並みのおいしさがよみがえるという話も聞いた。
    ▼面白いのは、開発費を少しでも抑えるために、冷凍機や蓄電池、断熱材などの技術を、ベンチャーとも呼べる企業から持ち寄っている点だ。イベントでは製作に携わった各企業の代表者があいさつしたが、いずれも力強く前向きな姿勢が感じられ、強い印象を受けた。
    ▼試験輸送では、フォーク作業の衝撃にコンテナの機器類が耐えられるかなども検証していくというが、実験の成功を願ってやまない。鉄道貨物の保冷輸送に新たな道を開けるのか、関係者の熱い期待が寄せられている。

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