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2016年10月24日付 2629号

タイ~ベトナム間でトラック混載輸送サービスを開始、ラオス経由4日で配送  日立物流SGHD

 日立物流(中谷康夫社長)とSGホールディングス(町田公志社長)は20日、両社の海外事業会社である「日立物流バンテック(タイ)」と「佐川急便ベトナム」の共同配送による、タイ~ベトナム間クロスボーダートラック混載輸送サービスを開始した。

 これまで、日立物流バンテック(タイ)はタイ国内、佐川急便ベトナムはベトナム国内を足掛かりに東南アジアでのネットワーク強化を進めてきているが、隣国間の輸送では越境後の輸送を他社に頼らざるを得ず、車両の安定的な確保が課題となっていた。

 クロスボーダートラック混載輸送サービスの開始に当たっては、タイとラオスの国境に両社の貨物積替拠点を設置し、日立物流バンテック(タイ)がタイ国内輸送を、佐川急便ベトナムがベトナム国内およびベトナム~ラオス間輸送を担う新たな共同配送ルートを確立。タイとラオスの国境で40フィートコンテナを、それぞれの車両に積み替えて各社の拠点まで配送する体制を整えた。

 これにより、海上輸送では集荷から指定場所への配送まで8営業日かかるところ、クロスボーダートラック混載輸送により4営業日での配達が可能となる。週1便の輸送サイクルで、タイ(バンコク)ハブ拠点~ベトナム(ハノイ)ハブ拠点間の輸送距離は約1500キロメートル。

 リードタイムの短縮に加え、安定した車両確保や積替地(越境地点)での荷扱い工程省略による安全・高品質な輸送サービスの提供が可能となった。

 日立物流とSGホールディングスでは、今後もバンコク~ホーチミンなどの新たなルート展開について検討するとともに、既存ルートの品質向上にも取り組んでいくとしている。

共同出資で「Fun Japan Communications(FJC)」設立、アジア向けウェブメディア「Fun! Japan」を引き継ぎ運営  日通・JTB・三越伊勢丹HD・日航

会見後の記念撮影(左から2人目が渡邉社長)

 日本通運(渡邉健二社長)・ジェイティービー(髙橋広行社長)・三越伊勢丹ホールディングス(大西洋社長執行役員)・日本航空(植木義晴社長)は17日、都内のホテルで共同記者会見を開き、4社共同でアジア向けデジタルマーケティング事業を展開していくと発表した。

 日通・JTB・三越伊勢丹HDの3社が共同出資し、インバウンド(訪日外国人旅行)ビジネス、海外事業展開、自治体の地方創生の成長・創造を目的とした新会社として「Fun Japan Communications(FJC)」を設立し、日航はFJCと業務提携してアジアでのサービスを強化していく。

 FJCは2014年2月に日通がスタートさせたアジア向けの現地消費者向けウェブメディア「Fun! Japan」を引き継ぎ運営していく。資本金は10億円で出資比率は日通40%・JTB50%・三越伊勢丹HD10%で、JTB出身の藤井大輔氏が社長に就任した。

 インターネット広告・市場調査事業および付帯事業を展開する。現在、インドネシア・タイ・マレーシア・台湾の4ヵ国で展開し、SNSファンは333万人。ASEAN(東南アジア諸国連合)3ヵ国で日本紹介サイトではナンバーワンを獲得しており、アンケートでは「日本大好き」と回答した割合が平均で82%と熱烈な日本ファンが多い特徴を持つ。

 目指す将来像として、異業種アライアンスで人流・商流・物流・情報流を完備するモデルを構築し、サイトでの商品・サービス等を通じて、国内・現地店舗での日本商品の販売、現地店舗でのイベント開催、訪日ツアーの企画・予約、生鮮輸送による“本場の味"の体験、生鮮・ハラール輸送、空港~ホテル間手荷物配送などのサービスにつなげていく考え。

 会見でJTBの髙橋社長は「インバウンドビジネス・海外事業展開・越境ECなどを推し進める上で、日本企業・自治体などが抱える共通の課題は、海外消費者との『接点拡大』『関係性構築』にあり、これらの取り組みは各社単独では投資負担・リスクも大きいため、アジア地域の消費者接点・関係性構築で実績のある『Fun! Japan』を基軸に、トラベル・リテール・物流・エアラインの異業種アライアンスを構築することで、現地消費者との関係性をより堅固なものにできると考え合弁会社を設立する運びとなった」と説明。

 続いて日通の渡邉社長は「製造業や小売業の顧客からアジア各地の消費者のニーズがなかなか把握できないとの声を多くいただいており、海外の現地では日本製品に対する興味は強く、日本製品のすばらしさを正しく伝えていけば購買意欲は高まると考えている。『Fun! Japan』をプラットフォームにすればアジアの生の声が収集できるので、ぜひ活用してもらいたい」と語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆四文字 『集中し強化へ「夜間走行」』
    ☆日中ビジネスワンポイント 『世界遺産「白神山地」「中尊寺」の旅(2)』
    ☆ウォッチ 『最近の中国におけるサービス分野等のいくつかの出来事から考える』
    ☆人物ウィークリー、ヤマトロジスティクス㈱・本間耕司代表取締役社長

  • ☆厚労省、11月に過重労働解消キャンペーン 重点監督実施へ
    ☆ヤマト運輸労使、第6回全国大会開催 関東支社が初優勝
    ☆国交省、ダブル連結トラックの実験参加者を公募開始
    ☆国交省の藤井自動車局長が会見、トラック運転者の長時間労働是正へ荷主所管省庁に働きかけ
    ☆厚労省、1~9月の労災速報 陸運死亡災害2桁減
    ☆SGHD、国内事業者会社16社と合同で大規模災害の対応訓練
    ☆日本生産性労務協会、物流人材サービスの特別セミナー開催
    ☆JR貨物の2016年度上半期実績、コンテナ前年割れで田村社長「鉄道黒字化へ全力」
    ☆滋賀県でヤマト運輸とタクシー協会が連携し訪日外国人向け手ぶら観光開始
    ☆政府が過労死白書発表、1週間の就業時間60時間以上で「運輸業・郵便業」が18%占める
    ☆NASVA、安全マネジメントセミナーを開催
    ☆自動車関係大臣表彰、貨物運送関係は68人が受賞
    ☆センコー、創業100周年記念パーティー開催
    ☆物流連、横浜国立大学で寄附講座スタート
    ☆JA-LPA、セミナー「物流不動産の新時代~変貌の先に見えるもの」開催

今週のユソー編集室

  • ▼電通の女性新入社員が過重な労働を強いられ、昨年12月に自ら命を絶った件で、労働基準監督署はそれ以前にも、同社へ違法な長時間労働の是正勧告を行っていたという。
    ▼おりしも国は初となる「過労死白書」を公開したが、日本では欧米先進諸国と比較して、いまだ長時間労働がはびこっている実態が浮き彫りになった一方で、隠れた過労死はまだまだ多いと指摘する声もある。
    ▼白書によれば、2015年度の脳・心疾患の労災補償支給決定件数の多い業種と、精神障害の労災補償支給決定件数の多い業種の二つの指標において「道路貨物運送業」はどちらも最多となっており、国から「要改善」を突き付けられた。
    ▼先の電通社員の件では「残業100時間ぐらいで自殺するとは情けない」と発言した大学教授が、社会から批判された。そうした感覚を社会からなくしていくためにも、まずは「道路貨物運送業」が、率先して改善を訴えかけていきたい。

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