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2016年10月31日付 2630号

改正物効法の第1号認定を受け、FSST(藤沢サスティナブル・スマートタウン)に拠点開設 次世代型サービス提供へ  ヤマト運輸

テープカットの模様、(左から)長尾社長、山内社長、持永局長、鈴木市長、重田物流審、井戸役員、宮原社長 NDS建物とオリジナル制服の集配員

 ヤマト運輸(長尾裕社長)とFujisawaサスティナブル・スマートタウン(FSST)協議会(代表幹事=パナソニック)は11月1日、神奈川県藤沢市内のFSST内に物流インフラ「Next Delivery SQUARE(NDS、ネクストデリバリースクエア)」を開設する。各宅配会社の荷物の一括配送を全国で初めて戸建て住宅街のFSST内で実施するとともに、今後物流を含めたさまざまな次世代型サービスを提供していく。

 10月25日付で国土交通省の改正物流総合効率化法の第1号認定を受けたことに伴い、ヤマト運輸とFSST協議会は同日現地でセレモニーを開催。長尾社長が国土交通省の持永秀毅関東運輸局長から事業認定書を授与された。セレモニーにはそのほか、鈴木恒夫藤沢市長、国交省の重田雅史大臣官房物流審議官、ヤマトホールディングスの山内雅喜社長、パナソニックの井戸正弘役員、FSSTマネジメントの宮原智彦社長らが出席した。

 FSSTはパナソニックの旧藤沢工場跡地を利用して最先端の街作りを行う官民一体のプロジェクト。戸建て住宅、中高層住宅、コミュニティセンター、商業施設、福祉施設、公園などが設けられ、総開発面積約19万平方メートル、約千世帯・計画人口3千人の規模。20年の完成を目指し、現在約350世帯が入居しているが、各戸にスマートテレビが設置され、FSST内の情報閲覧や災害情報等の自動配信・表示など、双方向コミュニケーションを実現している。

 NDSはFSST内に所在し、鉄筋コンクリート造2階建て、延べ床面積は477平方メートル(うち倉庫部分206平方メートル)。太陽光発電やLED照明の採用、建築資材の低炭素化などにより、ヤマト運輸の従来施設と比較して30%のCO2削減を図っている。

 ヤマト運輸はNDSを中心に各宅配会社の荷物を集約して一括配送を行うほか、来年3月からはスマートテレビを利用した「オンデマンド配送システム」を導入し、配達事前通知・不在通知・配達場所や日時の変更指定が行えるようにする。また11月1日にはFSSTのホームページ内に特設サイトを開設し、スーパーの総菜や鮮魚の取り寄せ、ヤマトグループが提供する生活支援サービスの受け付け等も行えるようになる。今後は、荷物を持ったSDの所在地と配達までの所要時間が確認できるシステムの構築や、24時間365日無人で荷物の発送を受け付ける機械の導入など、さまざまなサービス提供を予定している。

 セレモニーであいさつした山内社長は「パナソニックや藤沢市など協議会のパートナーとの連携を強化し、次の時代に向けた新たな物流サービスを展開することで、100年先に続く新しい街づくりに参画したい」と述べ、長尾社長は「FSSTの一員として住民の皆さんと一緒に、最先端の技術を取り入れながら、より便利な暮らしを物流面から支えていきたい」と抱負を語った。

 来賓あいさつした重田物流審は、現在省を挙げて物流生産性革命に取り組んでいることを紹介しながら「物流と街づくりが一体となり、効率よく付加価値も高いプロジェクトがスタートしたことは大変喜ばしい」と述べ、改正物効法の認定第1号案件となった同プロジェクトの成功を祈念した。

アジア発コペル港経由中東欧向けの一貫輸送開始へ  日通

 日本通運(渡邉健二社長)は11月1日からアジア発中東欧向けシー・アンド・レール複合輸送サービスを強化し、輸送日数を最大4日・輸送コストを最大10%削減させる。スロベニア・コペル港を経由し、コンテナのまま一貫輸送を行う。

 中東欧諸国向け輸送ルートの一つとして、新たに「ADRIA・DIRECT(アドリア・ダイレクト)」と名付け販売、日系物流企業では初の商品化としている。コペル港を経由することで、ハンガリー・ブダペスト向けの場合、ドイツ・ハンブルク港経由に比べ、海上輸送距離で約3700キロメートル、内陸輸送距離で約550キロメートル短縮される。同社とコペル港は協力関係にあり、2015年には日系物流企業で初の日本発同港経由中東欧向け海上混載サービス「Danube・Express(ダニューブ・エクスプレス)」を開始している。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(68)『民進党のマニフェストを読んで驚いた(その5)』

  • ☆物流連がモーダルシフト優良事業者表彰の各社発表、大賞にトナミ運輸・第一貨物・久留米運送など4社とロジスティクス・ネットワークの2件選出
    ☆全ト協が第48回ドラコン、プロドライバー日本一に井上誠選手(日立物流南関東)
    ☆建荷協、特定自主検査強調月間を展開
    ☆千葉適正化実施機関が評議委員会を開催、指導による改善効果が着実に発揮
    ☆日通労連が定期大会、難波会長がM&Aなどのシナジー効果検証求める考え示す
    ☆国交省、トラックの生産性向上のガイドライン策定に向けてWG設置へ
    ☆国交省、運輸安全マネジメント導入10周年を総括するシンポジウム開催
    ☆東ト協連が7月の運賃動向調査公表、希望する運賃未収受の事業者が依然8割の高水準
    ☆東京団地倉庫が中長期計画発表、各事業所を建て替え先進化・大規模化図る
    ☆運輸労連大手の要求ほぼ出揃い16秋闘がスタート
    ☆日通総研の9月分短観、国内向け荷動き指数が10期連続でマイナスに
    ☆国交省、年内にもトラック運送業界の価格交渉ハンドブック作成へ
    ☆日貨協連、「事業用トラックドライバー研修テキスト」会員向け特別割引販売の先行受け付け開始
    ☆東ト協が第17期物流経営士課程を開講、28人の受講生が参加
    ☆丸運の荒木社長が会見、JXと東燃の統合でマイナス影響を懸念
    ☆ヤマト運輸がベースマスターズ2016開催、技能コンテストと改善発表会行う
    ☆SGHD・日立物流、衣料品など対象とした中国から日本までの一貫物流「スマート・インポート」開始
    ☆物流各社の2017年3月期第2四半期決算
    ☆日立物流の中谷社長が会見、SGHDとのシナジーは200億円分が視野に
    ☆日通自動車学校、東京都の杉並区と環境学習で協定締結
    ☆LEVO、中小トラック事業者向け環境ディーゼルトラック補助事業の台数制限を撤廃

今週のユソー編集室

  • ▼ヤマト運輸は神奈川県藤沢市のFujisawaサスティナブル・スマートタウン内で将来的に展開するサービスとして、無人発送受付機や自動配達システムなどを挙げている。
    ▼自動配達システムは現在病院などで実際にカルテの搬送などで使用されており、積載重量の増加など一部改造を施せば、集合住宅のような屋内の荷物配送には十分活用できるようだ。
    ▼世界的にも“無人物流”に関する注目度が高まっている。UPSは今月、ルワンダでドローン(無人飛行機)による救命用血液の配送を開始し、Uber傘下のOttoは、米国で自動運転トラックによる約200キロメートルの輸送(ドライバーは乗車してシステムを監視していた)を成功させたという。
    ▼確かに“無人物流”に対する心理的抵抗感は否めないし、さまざまなリスクが存在することも事実だろう。だが、昨今の高齢化が進むドライバー事情を振り返ると、やはり期待感も隠せないのだ。

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