物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2017年2月20日付 2644号

次期物流施策大綱の策定へ検討始まる、夏の閣議決定目指す  国交省

次期総合物流施策大綱策定に向けた検討がスタートした

 国土交通省は16日、今年目標年次を迎える「総合物流施策大綱2013―17」に代わる新たな大綱の策定に向け「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」の第1回会合を開催。第6次となる新たな大綱は、これまでの暦年による5ヵ年計画を改め、17年度から20年度までの4ヵ年計画とする方針が国交省から示されるとともに、委員からは物流業界で深刻化する労働力不足対策や災害対応を柱とするべきとの意見が相次いだ。新大綱は、関係業界団体のヒアリングや関係者からのプレゼンテーション、6回程度の検討会を経て今夏の閣議決定を目指す。

 現行の第5次大綱では、「強い経済の再生と成長を支える物流システムの構築を目指し、国内外でムリ・ムダ・ムラのない全体最適な物流を実現する」との理念の下、効率的な物流の実現や環境負荷低減に向けた取り組みなどに関する施策の方向性を盛り込んだ。

 13年6月の第5次大綱閣議決定以後、物流を取り巻く環境は大きく変化し、eコマースの発展に伴う多頻度小ロット化が進む一方、少子高齢化による労働力不足が深刻化している。また、災害へのさらなる備えや、アジアの成長を取り込む新たな物流システムの展開なども求められている。

 第1回検討会の冒頭、国交省の重田雅史物流審議官は、「政府は第5次大綱に基づいて物流政策を進めてきたが、物流をめぐる“風景”が変わってきた。これまでの大綱では、その都度、課題に対しての“構え”を行ってきたが、これからの5~10年を見通すと、構造的に見直さなければ物流が“途切れる”ことになりかねない。戦略性を持った国策としての物流政策を取りまとめていきたい」とし、新大綱が今後の物流の持続性に大きな役割を果たすとの考えを強調した。

 また、石川雄一道路局長は、首都圏3環状道路の整備により、東名高速から東関東道までが結ばれ、生産性の高い物流の実現に寄与していることを紹介。

 さらに、新東名高速道路を中心とした「ダブル連結トラック」の運行実験やサービスエリア・パーキングエリアを活用したトラックの中継輸送を進めていることを説明した。

シンガポール~中国間の越境小口輸送開始へ、幹線と各国ネットワーク結合  ヤマトアジア

 ヤマトグループの東南アジア地域統括会社、ヤマトアジア(リチャード・チュア・キン・セン社長)は15日、シンガポール~中国間を定期的に運行する小口混載輸送(LTL)サービスの提供を開始した。

 ヤマトグループは2010年から、中国や東南アジア各国で宅急便サービスを展開するとともに、資本提携などで同地域のグローバル物流機能の強化を進めており、前年8月にはマレーシアを本拠地とするクロスボーダー陸上幹線輸送事業者OTLグループへの出資を決定していた。今回この出資が完了したことから、既存の東アジア・東南アジア各国の小口輸送ネットワークと、シンガポール~中国間の6千キロメートルに及ぶ陸上幹線輸送ネットワークを結合。既存の各輸送モードによるサービスとも併せ、ヤマトグループが顧客の商材・物量・納期等に応じた最適な物流を提供することが可能になったとしている。

 具体的には、東南アジア各国の小口輸送ネットワークとOTLの陸上幹線輸送ネットワークを結合し、集荷から配達まで一貫したドア・ツー・ドアのクロスボーダー輸送サービスを展開。区間によって週2~3便の定期的な幹線輸送を行い、ニーズに応じて拡大も検討する。当面は機械部品等がメインとなるが、各国の宅急便市場の拡大に伴い、クロスボーダーの宅急便輸送も拡大させていく考え。

 各国の国境付近には保税倉庫を用意し、自社社員・車両によるオペレーションを行うことでスピーディーかつ高品質なクロスボーダー輸送を行うとしており、マレーシア、タイ、ベトナムなどではエアサスペンショントラックによる輸送も提供できる。

 また、GPSを利用した全車両の位置確認、CCTVカメラによるコンテナ監視、コンテナ解錠の本社一括管理(E―Lockシステム)など、高品質なセキュリティを提供できる点も特長としている。

 主な輸送対象地域とリードタイムは左上表のとおり。このほか、貸切輸送サービスの一環として、冷蔵・冷凍輸送、重量・大型貨物輸送、危険輸送などにも対応していく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(69) 『最近の東南アジア情勢と物流』
    ☆日中ビジネスワンポイント(160) 『台湾10都市の旅(その1)』
    ☆日通、九州の南北つなぐ都城物流センター竣工披露

  • ☆国交省、トラックの生産性向上目指し全国でのセミナー開催
    ☆日立物流、米国カリフォルニア州ポモナ市に物流センター開設
    ☆国交省・改善協議会のパイロット事業、東日本で着荷主の参加が低調に
    ☆国交省・経産省、改正物効法の計画認定新たに2件加わり13件に
    ☆JR貨物、イオンの往復実入り輸送で31フィートカラーリングコンテナ披露
    ☆埼玉ト協、埼玉DMATへ車両3台寄贈
    ☆首都圏キット協組、新春講演会開く
    ☆日通・近藤常務らが会見、美術品梱包輸送の資格積極取得へ
    ☆国交省、次世代運行管理支援システムの実現へ来年度WG設置
    ☆京都運輸支局、スピードリミッターの不正解是王で大型トラック3台に整備命令
    ☆JR貨物・田村社長が会見、JR北海道念頭に国鉄民営化時のルール堅持の重要性訴える
    ☆ヤマトマルチメンテナンスソリューションズ、食品メーカー向けの自主回収サポートサービス開始
    ☆各社の第3四半期決算

今週のユソー編集室

  • ▼JR貨物は15日、東京都渋谷区の同本社受付ロビーで、プラレールのジオラマ常設展示スペースを設けた。タカラトミーの協力のもと「貨物鉄道への理解と親近感を深めてもらうため」展示したという。
    ▼縦3メートル×横1.5メートル程度のスペースに、アクリルケースに覆われ、さまざまなJR貨物の機関車やコンテナ、貨車、トラックなどが、所狭しと配置されている。今では売っていないスーパーレールカーゴも置いてある。
    ▼プラレールは子ども用のおもちゃなので、そのスペースだけが、さながらデパートのおもちゃ売り場のように感じられる。設置初日には石田忠正会長も訪れ「トップリフターまであるのか」と相好を崩して見入っていた。
    ▼貨物鉄道だけのプラレールのジオラマなど、ここでしかお目にかかれないと思うのだが、残念ながら一般公開は行っていない。田村社長が「小学生などに見せてあげられれば」と語るとおり、何かの形で公開してほしい。

戻る