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2017年7月3日付 2662号

業界一丸で課題解決、坂本体制スタート 第93回通常総会開く  全ト協

星野前会長(左)から坂本会長(右)へバトンが受け継がれた

 全日本トラック協会は6月29日、東京都港区の第一ホテル東京で第93回通常総会を開き、貨物自動車運送事業振興センターとの合併に係る特別決議などを承認するとともに、新役員の選任では3期6年務めた星野良三会長の後任に坂本克己副会長を選定した。わが国の国民生活や経済活動を支えるトラック運送業界は、坂本新会長の下、長時間労働や取引条件の改善に向け、一丸となって取り組んでいく。

 通常総会では、2016年度事業報告や貸借対照表案などを承認。特別決議では、全ト協と貨物自動車運送事業振興センターの吸収合併を承認した。合併については、11月初旬に変更認定申請などを内閣府に提出。来年4月1日に合併後の組織として事業を開始する。

 役員の選任については、5月11日に開いた役員選考委員会で取りまとめられた会長候補者の選定案や理事・監事・会計監査人候補者名簿案が示され承認。総会後に開かれた第171回理事会で坂本会長らを選定した。

 就任あいさつした坂本会長は、「現場で汗を流しているドライバーに自信と誇りを持ってもらえるよう、労働環境の改善を進めるとともに、給与も“世間並み以上”にしていきたい。そのためには、料金を含めた運賃を荷主からしっかり収受できるよう努める必要がある。トラック運送業界には、このほか、多層構造や利用運送事業などの問題があるが、今後は全国を回って皆さんの声を聴き、まとまった意見の下に一緒に行動していきたい」と述べ、業界一丸となって課題解決に取り組んでいくことが重要であるとの考えを強調した。

 退任あいさつした星野前会長は、「60年間トラック運送業に携わってきたが、一度も嫌だと思ったことはない。経営者が“いい業界”だと信じれば、従業員もそう思い、周りの目も変わってくる。会長は退くが、トラックの仕事は死ぬまで続けたい」と語った。

 役員の選任ではこのほか、退任した伊藤昭人、齋藤充両副会長の後任に、奈良幹男、竹津久雄両理事を新任。須藤弘三、千原武美、小林和男、小幡鋹伸、辻卓史、小丸成洋、粟飯原一平、眞鍋博俊の8副会長を再任した。なお、今回選定された副会長はいずれもブロック推薦によるものであるため、7月13日に開催の第172回理事会で会長による指名があらためて行われる。

 また、退任した福本秀爾理事長の後任に桝野龍二元国土交通審議官が就任。細野高弘専務理事も退任したが、後任は置いていない。さらに、永嶋功常務理事も退任した。

RFID活用の新スキーム、長時間待機解消へ ライオンと実証実験  ヤマト総研

 ヤマトグループ総合研究所(木川眞理事長)はこのほど、社会的課題となっているトラック納品時に発生している長時間の待機時間を短縮するため、RFID技術を活用した納品業務と車両予約システムなどを連動した新たなスキームを開発。きょう3日から、実用化に向けてライオン(濱逸夫社長)との実証実験を開始する。

 今回のスキームの内容は次のとおり。

 ①発送元・ドライバー・納品先が携帯端末で相互に入庫スケジュールの確認や連絡ができるアプリを活用し、事前に納品時刻や納品口を予約。

 ②発送元と納品先の双方の拠点で、RFIDを活用した入出庫検品業務を行う。出庫作業時にRFIDタグが添付されたパレット、商品、トラック情報をひも付けたASN(事前出庫明細)データを作成し事前に納品先に送ることで、納品先ではRFIDタグの読み取りのみで検品作業が完了する。

 ③ASNデータを事前に納品先に送ることで、どのトラックを優先的に納品させるかといった車両の入庫スケジュールの調整が可能になる。

 スキームを導入することで、発送元や運送会社には生産性向上・労働環境改善・出庫検品時の業務負荷軽減など、納品先は入庫検品作業の生産性向上などのメリットが提供できるとしている。

 実証実験は3日から9月29日まで、大阪府茨木市のライオン西日本保管倉庫から、愛知県小牧市のライオン小牧流通センターの区間で行われる。ヤマト総研では本年12月までに実用化に向けた調整を行った後、トイレタリー業界全体やトラック運送会社等にプラットフォームとして提供していく考え。また、スキームは現在特許出願中としている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆特集・トラックの安全環境対策
     各団体の助成措置
      国土交通省
      全日本トラック協会
      東京都トラック協会
      埼玉県トラック協会
      神奈川県トラック協会
      千葉県トラック協会
      環境優良車普及機構(LEVO)
     各社注目の安全機器
      ユピテル
      矢崎エナジーシステム
      データ・テック
     トピック
      三菱ふそうトラック・バス
      日野自動車

  • ☆日通、14年11月に続きトラック積合せ運賃9.7%の値上げ
    ☆佐川急便がドライバーコンテスト開催、団体優勝に信越支店
    ☆日通総研が2017年度の経済と貨物輸送の見通し・改訂版を発表、営業用自動車は2年連続増に
    ☆国交省が「総合物流施策大綱に関する有識者検討会」の提言を公表、次期大綱では「強い物流」実現へ
    ☆日本自動車ターミナルの秋山新社長らが会見、大型物流施設を建設し板橋トラックターミナルを全体再開発
    ☆日通、11月から東京~九州・瀬戸内航路で大分港寄港へ 首都圏~東・南九州地域のモーダルシフト推進をサポート
    ☆東ト協が通常総会、加藤・並木両常務を新任

今週のユソー編集室

  • ▼不動産情報サービスのアットホームはこのほど、一戸建て用宅配ボックスに関する意識調査の結果をまとめた。全国の一戸建て居住者20歳代~60歳代の620人を対象に調査したものだ。
    ▼内容をみると、一戸建て用宅配ボックスを知っている人は46%、欲しいと思う人は71%、購入を検討している人は13%となっており、設置にかけてもいいと思う費用は、平均すると約1万2千円になるという。
    ▼お金をかけても宅配ボックスを設置したい人がいるということは、再配達が“社会悪”であるとの認識が広まりつつあることの現れだろう。調査結果でも「再配達は便利だが、宅配業者に申し訳ないと思う」人が多いことが示されている。
    ▼気になるのは、63%の人がネット通販の「当日配送」を過剰サービスと答えていること。価格に触れていないので一概には言えないが「多少遅くてもいいので、配送料は安く」が回答者の本音なのだろうと思う。

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