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2017年7月10日付 2663号

インタビュー 日本通運㈱代表取締役社長 齋藤 充
ワンストップ営業さらに強化 陸海空の人的融合進め売上高を拡大へ

 5月1日付で就任した齋藤充日本通運社長。中期経営計画「日通グループ経営計画2018―新・世界日通。―」の達成に向けて、売上高拡大にこだわる姿勢を強調する。その実現には陸海空の人的融合を推進し「ワンストップ営業」を強化していくことが必要だと語る。財務・国際経験を持つ齋藤社長に経営戦略等について聞いた。聞き手 本紙編集委員・牧野雄一郎

―就任されての抱負を。

 5月1日に就任し、実質的には大型連休が明けてからのスタートでした。全国支店長会議や全国安全衛生大会といった社内のイベントをこなしながらお客さまのごあいさつ回りをしている最中です。あらためて、当社のお客さまの幅広さに驚いていますし、同時に、トップ営業の大切さも感じています。

―「ヤマトショック」等、物流の危機が報道される中、顧客の反応は。

 人手不足問題は必ず話題に上ります。

 いわゆるヤマトショックの影響で世間の耳目を集め、非常にタイムリーな話題ですから。そして、次に労働力をどう確保するかを尋ねられ、女性・外国人・高齢者、そしてAI(人工知能)、IoT(モノのインターネット)等最新テクノロジーの活用で対応していく考えをご説明する流れですね。

―物流への理解が広がっている。

 一気に広まった感はありますね。宅配便を中心としたラストワンマイル、物流業界の人手不足の問題を一般の方にも知っていただくこととなりました。

 一方で、当社の多くのお客さまはプロのビジネスパーソンですから、以前からあった話であることはご理解いただいています。

―運賃・料金交渉の進捗は。

 一部報道でニュアンスが違う伝え方もあったものですから、あらためてお話させていただきますと、全てのお客さまに一律何%の値上げを要請する、ということは全く考えておりません。

 お客さまごとの契約・作業条件、これまでの交渉経緯などを踏まえ、丁寧に対応していく考えです。

 運賃の見直しではなく、業務量や業務範囲の拡大ということもあり得えると思います。ただし、手待ち時間など、契約書に記載されずに無償サービスとなっている部分に対しては、状況を丁寧に説明し、ご理解をいただきながら、適正な運賃料金を収受していきたいと思います。

インタビューの続きは電子版かコンビニプリントサービスでお読みいただけます。

通常総会で新会長に田村JR貨物社長が就任、物流業の魅力発信  物流連通常総会

 日本物流団体連合会は6月30日、東京都港区の第一ホテル東京で定時総会を開催し、任期満了に伴う役員改選で、田村修二副会長(JR貨物社長)が新会長に就任した。

 冒頭あいさつした工藤泰三会長は「最近のeコマースの爆発的な拡張で宅配便がパンク状態になっている。こういう状態が続くと物流がボトルネックになって日本の経済が発展しなくなる。この状況を打破するためには生産性を高めるしかない」と語った。

 議事では2016年度事業報告・決算を原案どおり承認。役員改選では田村会長のほか、木納裕日本倉庫協会会長、坂本克己全日本トラック協会会長、武藤光一日本船主協会会長、渡邉健二全国通運連盟会長の4人を副会長に新任。小比賀恒久・伊東信一郎の両副会長および与田俊和理事長は再任。代表理事には田村会長、与田理事長を再任し、小比賀副会長が新任となった。

 田村会長は総会後の記者会見で、歴代会長が取り組んできた「物流を等身大にみてもらう」活動に一層力を入れていく考えを示した。また、労働力不足の打開に向けて、労働環境の整備や社会的な理解、省力化などに業界が一致団結して取り組む必要があることを訴えた。その上で物流業の魅力について、「モノは人が介在して仕組みを作らないと、きちんと動かない。仕組みづくりの面白さを若い人たちに分かってもらいたい」と語った。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(74) 『中国「全国一体化通関」正式実施へ』
    ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(84) 『トラックドライバー不足再考(その2)』
    ☆四文字 『大型車化へ「潮流対応」』

  • ☆国交省が7日付で幹部人事を発令、事務次官に毛利国土交通審議官 自動車局長は奥田鉄道局長に
    ☆国交省が「事業用自動車総合安全プラン2020~」を策定・公表、20年の事故死者数目標でトラックは200人以下
    ☆運輸労連が定期大会を開催、働き方改革に関連し100万人署名活動へ
    ☆国交省が荷主勧告制度の強化・明確化図る、1日付で通達発出
    ☆全ト協・日貨協連が6月WebKIT月例報告を公表、「求車荷物」の登録件数は前年同月比30%増
    ☆日通、医薬品等の定温輸送に2~8度帯を新設 成田空港発から開始
    ☆ヤマトグローバルロジスティクスジャパンが新たな海外向け航空輸送サービス開始、パレット単位で保冷輸送 空輸時も鮮度保つ
    ☆国交省がトラックによる旅客運送など「貨客混載」の条件明確化、許可基準変更でパブコメ募集開始

今週のユソー編集室

  • ▼地元のケーブルテレビ局には「わくわく1年生」という番組がある。カメラが市内の各小学校に出向き、その学校の小学1年生が一人ずつ登場して、将来なりたいものを言っていくという内容だ。
    ▼毎回しっかりチェックしているわけではないが、残念ながら「電車の運転士になりたい」という子はいても、「トラックの運転手になりたい」という子を見た記憶はない。子どもにとって、そしておそらく先生にとって、意識の上で物流は遠い。
    ▼文部科学省はこのほど、小学生・中学生向けの学習指導要領解説を公表したが、その中の社会編で、物流の内容を学習する文言が盛り込まれたという。小学生・中学生への教育は極めて重要であり、歓迎すべきだろう。
    ▼今後は、そうした内容がしっかり教科書に盛り込まれるよう、業界側もさまざまなサポート体制を整えたい。「将来はトラックの運転手になりたい」という子が一人でも増えるよう、願っている。

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