物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2017年7月24日付 2664号

新設「LE室」の検討事項、隊列走行など5項目 秋田取締役ら会見  日通

会見する秋田取締役

 日本通運の秋田進取締役常務執行役員、植松満執行役員、堀切智執行役員は19日、専門紙誌との定例会見に出席し、5月1日付で実施した組織改正で取り組む事項について説明した。

 秋田取締役は新設した『ロジスティクスエンジニアリング戦略室(LE室)』で検討している内容について①トラックの自動隊列走行②先進的省力化・無人化機器を活用した汎用型物流センター構築③ビッグデータとAI(人工知能)を活用した最適物流ソリューション構築④倉庫内監視などドローンの多目的活用⑤広域的なトラックマッチングシステム構築―の5項目を列挙。

 このうち隊列走行については、国のプロジェクトに参加する形で進めているため、具体的なスケジュールが設定されているが、その他の4項目については日通独自の取り組みとなり、スケジュール等については未定とした。また、室員が4人と少人数であることを踏まえ、LE室では情報収集やコントロールタワーの役割を担いながら、営業部門から吸い上げられた顧客ニーズを基に具体的な開発に掛かる考えを示し、開発段階ではグループ内の各社から知見を持った従業員を集めて進めていく方針とした。

 秋田取締役はLE室について「最先端の技術をどれだけ取り込んでいくかを検討していく。欧米企業や日本のベンチャー企業の最先端技術に関する情報を収集し、社内に開示して、顧客ニーズにマッチングするものを見つけて開発していく」と語った。

 植松執行役員は『ネットワーク商品事業本部』について「アロー便の営業とオペレーションを一体化させるとともに、国内の陸海空輸送を組み合わせた新たなネットワーク商品を開発し、ワンストップ営業の展開で収益拡大に貢献していく」姿勢を強調。

 堀切執行役員は、今まで管理本部の傘下にあったCSR部の独立に関連して、本年4月に設定した環境に関する二つの長期目標、◎CO2排出量を2030年度までに13年度比30%削減◎産業廃棄物排出量を売上高当たり30年度まで毎年対前年1%削減―を示し、CSRのさらなる強化に取り組んでいく考えを示した。

全日通が花巻で全国大会開催、成田新執行部が始動

難波前委員長(右)からバトンを受けた成田新委員長(左)

 全日通労働組合は18~19日に岩手県の花巻温泉で第72回定期全国大会を開催し、成田幸隆書記長を新委員長に選任、新執行部が始動した。

 議事では「入社から65歳までの働き方」について、2019年4月を目途に社員・賃金制度の抜本的な改革に向けて労使協議を行っていくことを確認した。

 役員改選では運輸労連の専従委員長となった難波淳介委員長が退任し、成田新委員長を選任。須藤栄一郎書記次長を書記長に昇任、市村和人東京支部書記次長を執行委員に新任した。

 また山田昌敏副委員長、竹田好孝・長尾誠一・金月一彦書記次長、小水内長功・高野洋・金山圭次・坂井俊文執行委員を再任した。会計監査は関保青森支部副委員長を新任、後藤進札幌支部副委員長・矢田收宏京都支部副委員長、吉田昌裕山口県支部委員長、池田耕造鹿児島県支部委員長を再任した。

 難波氏は退任あいさつで、中央本部での12年間を振り返り、最も記憶に残る出来事として「ペリカン便事業譲渡」を挙げた上で、バトンを託す新執行部に対しては「軸足をしっかりと据え、ベクトルを同じにして運動を展開していくことをお願いしたい」とエールを送った。

 就任あいさつした成田委員長は『入社から65歳までの働き方』がこの1~2年の最大の課題であり、働きがい・やりがいを持てる制度作りに邁進していきたいとの考えを示した。続けて、組合員の期待やニーズにしっかりと応えるため“短いフレーズで分かりやすく、目に映る運動”を展開していきたいと語った。

今週掲載トピック一覧

  • 夏季第1特集号
    ☆グローバル版業界地図2017
     日本通運グループ
     ヤマトグループ
     SGグループ
     KWEグループ
     日立物流

  • ☆全ト協坂本会長が会見、標準運送約款の改正を料金収受の契機に
    ☆ヤマトHDが中国・京東集団と包括的提携へ、コールドチェーンや越境ビジネスの拡大目指す
    ☆ヤマトHDがラクスルと資本提携、企業間物流の構造変革へ
    ☆日通がハイブリッドコンテナ利用した北海道発の複合輸送サービス発売へ、“遅いが安い”商品
    ☆運輸労連・難波委員長ら会見、働き方改革関連の100万人請願署名に「背水の陣で臨む」
    ☆国交省、大規模物流拠点などへの高速道直結インターチェンジ整備で民間事業者の募集開始
    ☆全ト協が自民党細田トラック輸送議連会長に来年度予算等で要望、働き方改革実現への補助求める
    ☆エコモ財団、全国10ヵ所でグリーン経営リーダー研修会を開催
    ☆日通東京輸送協組、労務管理テーマに研修会開催

今週のユソー編集室

  • ▼ネオポストシッピング社とヤマト運輸が共同出資するパックシティジャパンはこのほど、同社が運営するオープン型宅配ロッカー「PUDO(プドー)ステーション」の設置台数が、累計で500台を突破したと発表した。
    ▼設置場所は東名大福の主要駅やショッピングセンター、公共施設などとしており、急ピッチで設置台数を拡大している。オープン型ということもあり、一部で佐川急便や順豊エクスプレスも利用しているようだ。
    ▼日本郵便の「はこぽす」も同様に設置台数を拡大しており、こちらもオープン型を志向しているため、今現在は他社の利用はないものの、ヤマト運輸などに対して今後の利用の呼び掛けを行っているという。
    ▼配達業務そのものの共同化は、各社のサービスの根幹に関わる話であり、実現可能性は低い。だが、利用者利便性の向上と効率的な社会インフラ整備の観点に立てば、宅配ボックスの共同利用は、加速化させるべきだ。

戻る