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2017年9月4日付 2669号

「生産性革命プロジェクト20」は取り組み着実に、石井大臣「心強い」  国交省

各局からプロジェクトの進捗が報告された

 国土交通省は8月31日、東京都千代田区の同省で第6回生産性革命本部を開催し、「生産性革命プロジェクト20」のうち「物流生産性革命」では昨年秋に施行された改正物流効率化法に基づく計画認定が33件に達したことなどを報告した(関連記事3面参照)。

 第6回本部では、3月に開かれた第5回本部以降の進捗状況について、各プロジェクトを受け持つ各局・各庁の局長・長官らが報告。

 道路局からは、「道路の物流イノベーション」として、高速道路と物流施設をはじめとする民間施設を直結する制度の活用などについて説明するとともに、6月から始まった近畿圏での新たな高速道路料金制度などについて報告を行った。

 物流分野からは、重田雅史物流審議官が、改正物流効率化法の認定件数や7月の総合物流施策大綱(2017~20年度)の閣議決定などを説明し、物流分野での生産性革命に向けた取り組みが進んでいることを報告した。

 各局・各庁からの報告の後、第5回本部での石井啓一国土交通大臣の発言を踏まえ、「小さなインプットでできるだけ大きなアウトプット生み出す」という考え方に基づいた工夫度の高い施策に焦点を絞り広報する「国土交通フォーカス」を毎年1月に取りまとめることが事務局から説明された。

 すべての説明・報告の後、本部長の石井大臣は、「3月の第5回本部開催以降、各プロジェクトが着実に進んでおり心強く感じた」と述べるとともに、省内に2020年以降の展望を探り30年ごろの国土交通行政のあり方を若手・中堅職員で議論する場を設ける考えを示した。

高山~松本間で貨客混載の手ぶら観光、佐川急便が協力  中部運輸局北陸信越運輸局

 中部運輸局と北陸信越運輸局は8月28日、高山・松本両市の宿泊施設に宿泊し高山~松本間を観光する旅行者に、貨客混載による“手ぶら観光サービス”を提供する「高山―松本 Hands―Free Travel」の実証実験を開始した。荷物配送は佐川急便(荒木秀夫社長)が協力し、11月15日までの80日間実施する。

 対象となる宿泊施設は、高山市が◎旅館あすなろ◎カントリーホテル高山◎飛騨牛専門旅館清龍◎飛騨花里の湯高山桜庵◎高山グリーンホテル◎ひだホテルプラザ◎ベストウエスタンホテル高山―の七つで、松本市が◎エースイン松本◎ホテルブエナビスタ◎プレミアムホテル―CABIN―松本◎松本丸の内ホテル―の四つ。午前7~9時の時間帯に発ホテルで発送手続きを行うと、当日午後5時15分以降に着ホテルで荷物を受け取ることができる。高山市発は午後1時発の濃飛乗合自動車のバス、松本市発は午後1時25分発のアルピコ交通のバスをそれぞれ利用し、貨客混載で輸送する。佐川急便は高山・松本両市内の対象となる宿泊施設と両社の車庫間の荷物輸送を行い、車庫で荷物を積み替える。

 中部運輸局と北陸信越運輸局は関係自治体等と連携して、同地域の外国人旅行者の観光促進などを目的とした「昇龍道プロジェクト」を展開しており、主要な観光地となる高山~松本間には、高山の古い町並み・上高地・乗鞍・新穂高・松本城などの人気スポットが多数存在する。一方で手荷物預かり所やコインロッカーが不足しているため、バスを下車するたびに大きな荷物を持って移動しなければならず、大きな負担となっていた。

 実験では、バスを利用した貨客混載の効率的な輸送体系を構築することで、今まで翌日配送だった高山~松本間の手荷物を当日配送し、旅行者の利便性を向上させることが狙い。

 両運輸局は今後、他地域・他区間でのサービス導入や、バスターミナル・手ぶら観光カウンターでの取り扱いも視野に入れ、検討を進めていくとしている。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(88) 『トラックドライバー不足再考(その6)』

  • ☆国交省の18年度予算概算要求、スワップボディコンテナの導入補助を新規要求
    ☆国交省自動車局の概算要求、トラックの働き方改革関連で増額要求
    ☆国交省道路局の概算要求、ダブル連結トラック等物流ネットワーク強化で2784億円要求
    ☆国交省の税制改正要望、物効法の事業用資産など特例の延長求める
    ☆自動車の働き方改革関係省庁連絡会議、貨物集配車両の駐車規制見直しの通達発出へ
    ☆国交省集約、8月29日現在の物流総合効率化法の認定一覧
    ☆通販協が16年度市場規模発表、18年連続増加し6兆9400億円に
    ☆中部ト協がトラックの日に女性限定の乗車体験会を開催、官民連携で初の試み
    ☆運輸労連東京都連が定期大会、新委員長に反町氏
    ☆日通、9月・10月限定の引越キャンペーン
    ☆センコー、プライベートリート法人に3センターを譲渡
    ☆運輸労連の夏季一時金解決状況、増額単組が過半に
    ☆物流連、テレワークに関するアンケート実施へ
    ☆通運連盟、鉄道コンテナお試しキャンペーンが5年連続予算超過の可能性
    ☆通運連盟が今年も広報キャンペーン実施、大学生による講義も
    ☆佐川急便、全国19ヵ所で幹線輸送安全パトロール

今週のユソー編集室

  • ▼国土交通省は来年度の予算概算要求で「連結トラック」の導入に対して補助を行う方針を打ち出した。一般紙でいち早く報道されたが、それに対するネット内の反応が興味深い。
    ▼「そんなものに補助するより、運転手の労働環境を改善すべき」「高速道路のサービスエリアに止められない」「長距離輸送は貨物鉄道に任せた方がいい」など、おそらく業界関係者の書き込みだろうが、“そもそも”論によるネガティブな反応が目立つ。
    ▼ただ、意見の中で最も多かったと思われるのが、事故への不安だ。徳島県では高校生を乗せたマイクロバスがトラックに追突され、多数の死傷者が出ており、運転手の居眠り運転が疑われている。
    ▼トレーラーの導入は労働力不足対策の回答の一つではあるが、事故の被害が今以上に拡大し、業界イメージをさらに悪化させる危険もはらむ。中継輸送の導入など運転手の疲労軽減策も徹底し、“トレーラーは安全”の印象を与えたい。

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