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2017年10月23日付 2675号

ドライバー不足の対応として日本初となるダブル連結トラックの運行開始、休憩場所にも配慮  福山通運

 福山通運(小丸成洋社長)は16日、愛知県北名古屋市の同社名古屋支店と静岡県裾野市の同裾野営業所間で、日本初となる車両全長25メートルのフルトレーラー「ダブル連結トラック」の運行を開始した。国土交通省の実験に参画する形で、幹線輸送の効率化と労働生産性向上を狙ったもの。

 「ダブル連結トラック」は、いすゞ自動車、日本トレクスと開発。前方トラクタの最大積載量は12.9トン、荷室容積が61.0立方メートル、後方トレーラーの最大積載量は11.1トン、荷室容積が65.1立方メートルとなっており、全体の最大積載量は24トンで、大型トラックバンの約2倍となる。このほか、連結運行時の総排気量は、従来のトラック1台と同じ9.83リットルとなるため、環境負荷軽減にもつながる。

 今回導入された「ダブル連結トラック」は1台で、名古屋支店~裾野営業所間を新東名高速道路などを通行して1日1往復する。

 休憩するための停車場所として、浜松サービスエリア(SA)の上り下りに1マスずつ、藤枝パーキングエリア下りに1マス、静岡SA上りに1マスの合計4マスを確保し、連続運転時間が2時間を超えないよう配慮した。

 福山通運は、2017年3月から国土交通省の「ダブル連結トラック実験」に参画。車両全長21メートルのバン型フルトレーラーを導入し、同区間で走行実験を行ってきたが、今回の「ダブル連結トラック」導入も、そうした取り組みの一環としている。

 同社では今後、規制緩和の進展を見越して導入台数を拡大する計画で、幹線運行の自社便化推進により、運転有資格者(牽引免許保持者)が1300人以上在籍しているという同社ならではの優位性を生かしながら、ドライバー不足に対応する有効な輸送手段として活用していく考え。

三菱ふそうの電気小型トラック首都圏に25台導入、車両引き渡し式開催  ヤマト運輸

阿波常務(右)と松永会長(左) 導入される「eCanter」

 ヤマト運輸(長尾裕社長)は19日、東京都大田区のヤマトグループ羽田クロノゲートで、三菱ふそうトラック・バス(マーク・リストセーヤ社長)の電気小型トラック「eCanter」の引き渡し式を開催した。

 「eCanter」は、世界初の量産型電気小型トラックとして、三菱ふそうがダイムラーグループの各社と協力して開発した車両。排出ガスゼロで大幅な環境負荷軽減を実現したほか、荷物積載時の1充電当たりの航続距離約100キロメートルを達成、車両の存在を人工音で知らせる「車両接近通報装置」については、通常の電気乗用車レベルを搭載した。本年度は日本で50台、米国で50台、欧州で50台の導入を計画しており、日本ではヤマト運輸に25台、セブン―イレブン・ジャパンに25台を導入する。

 ヤマト運輸では、環境特性と航続距離のほか、ディーゼル車と比較して振動が少なくSDへの身体的負担が軽減できること、燃料や排ガス除去装置等が不要でランニングコストが低減できることなど、車両が実用レベルに達していると判断。今年11月から来年3月までに25台を順次導入するとしており、車種は配備先のエリア特性に応じて、クール設備を備えたMPバン7台をはじめ通常のドライバン、パワーゲート付ドライバンなど5種類を用意する。

 配備先は東京都23区に5台、神奈川県の横浜湾岸エリアに5台、埼玉県に2台、千葉県に3台を計画。いずれも首都圏の都市部で実際の業務に使用し、今後1年から4年の期間をかけて検証を進める。

 宅配用車両の特性上、車両が稼働しない夜間に充電が行えるため、急速充電設備など新たな投資は行わない。

 19日の引き渡し式には、ヤマト運輸の阿波誠一常務執行役員、三菱ふそうの松永和夫会長らが出席。阿波常務執行役員は「素晴らしい車を用意していただいた。SDの使い勝手、コスト、環境性を見極め、しっかりと事業に取り入れていきたい」と期待感を示し、松永会長は「ついに商業化できたが、まだ始めの一歩にすぎない。ユーザーの意見を踏まえ、さらなる電動トラックの高みを目指す」と述べ、中型車・大型車の電動化も視野に入れながら、引き続き電気トラックの改善に取り組んでいく考えを示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆ウォッチ(77) 『現代版シルクロード「一帯一路」は構想から具体的展開へ(その3)~国際人材戦略~』
    ☆四文字 『労働界の変化「運輸労連」』
    ☆日中ビジネスワンポイント(168) 『中国人が分からない中国語訳』

  • ☆国交省がわが国物流システムの国際標準化連絡検討会開催、経産省が早ければ19年にも小口保冷配送サービスのISO化が実現する見込みと説明
    ☆SBSロジコムが大阪南港物流センター建設、グループ初の関西圏大型施設
    ☆日本生産技能労務協会・物流部会が人材サービス特別セミナーを開催、無期転換ルールなどについて講演
    ☆全ト協が女性部会の設立決定、12月14日に第1回協議会
    ☆運輸労連がトラックドライバーアンケート、依然として厳しい労働条件が浮き彫りに
    ☆セイノーHD、インドネシア国内でコールドチェーン輸送展開へ
    ☆国交省、17年度「モーダルシフト等推進事業費補助金」の第1次公募分31件を認定・交付決定
    ☆ヤマト労連が定期大会開催、グループ再編へ事前協議等求める
    ☆ヤマト運輸とヤマト労組が全国安全大会開催、47選手が参加し関東支社が2連覇
    ☆日通商事、ホームページに物流センター内のソリューションに特化したプロモーションサイトを開設
    ☆日本郵便、中国の越境EC総合税による通関および「ゆうグローバルエクスプレス」での中国宛ての配送サービスを開始
    ☆ヤマト運輸が「ベースマスターズ2017」を開催
    ☆野球日本代表「侍ジャパン」の稲葉監督が日通本社訪問、齋藤社長に意気込みを語る
    ☆三菱倉庫がインドネシアに新センター開業、温度管理物流に対応
    ☆ニトリHDとホームロジ、埼玉県幸手市にグループ最大級の物流センターを新設
    ☆西濃運輸が名神高速道路・養老サービスエリアで安全督励を実施
    ☆JA-LPAがセミナー開催、テーマに「大変革期における物流施設の運用と事例」

今週のユソー編集室

  • ▼産業能率大学はこのほど、第7回新入社員のグローバル意識調査の結果を発表した。インターネットによるアンケート調査で、18~26歳の17年度新入社員800人の回答をまとめたものだという。
    ▼それによると、全体の6割が「海外で働きたいとは思わない」と回答しており、その理由(複数回答)としては、6割が自身の語学力不足を、5割が生活面の不安を挙げている。
    ▼ちなみに海外留学は約2割が経験しているが、そうした人に限って見ると「海外で働きたくない」率は2割にとどまっている。経験者といっても、留学期間は3ヵ月未満が5割を超えており、たとえ短期間であっても、「体験すること」は人の意識を大きく変える力をもっていると言えそうだ。
    ▼大手を中心に、日本の物流企業もグローバル対応が不可欠になってきており、新入社員もそうした認識はもっている。教育とサポート、そして体験を充実させ、グローバル人財の育成を図りたい。

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