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2018年3月12日付 2693号

自動車運転で局間輸送、霞が関~西新橋~銀座をレベル3で実証実験 横山社長「ファーストペンギンに」  日本郵便

使用される実験車 開始セレモニーでテープカットを行う横山社長(中央)

 日本郵便(横山邦男社長)は今日12日から5日間、自動運転車による郵便局間の輸送実証実験を行う。

 7日に東京都千代田区の同本社で行った実証実験開始セレモニーで横山社長は「日本郵便はeコマースサービスの最大の担い手として、将来にわたって安定的かつ持続的なサービスを提供していく社会的使命を担っている。技術の進歩は早く、自動走行はじめドローン、AI(人工知能)ロボット等の実用化は決して夢物語ではない段階に入っており、こうした技術にとり残されることがないように自動走行実用化解禁の折には“ファーストペンギン”としていち早く先頭を走っていく覚悟であり、その決意をこのセレモニーで宣言する」と語った。

 実証実験は同本社内にある千代田霞が関郵便局から港区の西新橋郵便局を経由し、中央区の銀座郵便局までの約2キロを自動運転で1日1回走行する。加速・操舵・制動を全て自動車が行い緊急時のみドライバーが対応するレベル3での実験となる。今回はゆうパックを含む仮想郵便物を運ぶ。

 郵便物を引き受ける窓口郵便局の千代田霞が関・西新橋郵便局で積載し、集配を行っている銀座郵便局に荷卸する設定で、積載・荷卸のオペレーションデータ、特性の把握とリスク対策データの収集を目的に実施するもの。

 運行管理を担当するアイサンテクノロジー、運行技術を担当するティアフォー、リスクアセスメント・保険サービスの検討を行う損害保険ジャパン日本興亜、関係機関の調整・連絡を行う東京都(東京自動走行ワンストップセンター)の協力のもと実施する。

働き方改革は浸透途上も、中計はほぼ順調に 山内ヤマトHD社長と長尾ヤマト運輸社長が会見

会見する山内社長(左)と長尾社長(右)

 ヤマトホールディングスの山内雅喜社長とヤマト運輸の長尾裕社長は9日、都内で専門紙誌記者団と会見し、中期経営計画「KAIKAKU 2019 for NEXT100」の進捗状況等を説明した。

 山内社長はその中で、計画が2019年の創業100周年以降の成長の基盤づくりを目的に、各種の構造改革を進めていくものとした上で、社会的なインフラとしての使命を果たすため、具体的な改革に取り組んでいく姿勢を強調した。計画を実施するに当たっては、ヤマトグループの最大の経営資源である社員の働き方改革に最優先で取り組むとともに、法人・個人向けの宅急便価格改定について、おおむね利用者の理解と協力を得られているとして感謝の意を表し、現段階では計画はほぼ順調に推移しているとの認識を示した。

 長尾社長はデリバリー事業の構造改革に触れ、社員の働き方改革を進めながら、主に夕方以降の配達業務を担う「アンカーキャスト」の採用など各種の効率化を進めることで、最終的には宅急便のキャパシティーを拡大していくことが重要と指摘。一方で働き方改革の全社的な浸透や、宅急便のキャパシティー拡大については「もう少し時間がかかる」と述べ、引き続き力を入れた取り組みを展開していくとした。

 長尾社長はまた、再配達削減にも言及し、同社が関与するオープン型宅配ロッカー「PUDO(プドー)ステーション」について、本年度末までに計画どおり約3千ヵ所の設置が完了するとの見通しを示すとともに、コンビニ受け取りなど他の施策とも併せ、再配達削減効果が出ていることを明らかにした。「PUDOステーション」は、次年度以降設置台数のさらなる拡大を図ると同時に、例えばクリーニング店からの配達など、利用事業者も拡大させていく考えを示した。

今週掲載トピック一覧

  • ☆引越特集(3)
     各社の施策
      日通海外
      日立物流
      ヤマトロジスティクス
      三八五流通
    ☆四文字 『行政の刷新「経済官庁」』

  • ☆日立物流中谷社長が会見、SGHとの協創プロジェクトで利益積み上げ本年度通期営業利益10億円を見込む、
    ☆日通、国際航空温度管理製品を対象とした専用保険の代理販売を開始
    ☆日通、高級アパレルロジスティクスサービスのTraconfを子会社化しFranco Vagoと連携へ
    ☆NTTロジスコ、AIで梱包箱のサイズ予測するシステム開発へ
    ☆全ト協・日貨協連が2月のWebKIT運賃成約指数公表、9ヵ月連続前年比増で2月としては過去最高に
    ☆全ト協が理事会、「過労死等防止計画」等を原案どおり承認
    ☆国交省が安全規制等改正でパブコメ募集、運転者兼ねる役員等も乗務・勤務時間基準対象に
    ☆YSD、4月から事業者の資材に利用できる物理セキュリティ強化の新サービス提供開始
    ☆建交労東京・埼玉部会がトラックパレード実施、魅力ある産業目指し春闘勝利へアピール
    ☆国交省、新型航空保冷輸送用試作コンテナ完成させ羽田~香港間で実験
    ☆コラボデリバリーの17年度業績、経常利益42%増に
    ☆東電物流、「安全理念」を策定し「安全行動指針」を導入

今週のユソー編集室

  • ▼運輸労連は1日、働き方改革関連法案の修正を求める請願署名を衆参両院の副議長らに提出した。署名は連合加盟各産別の協力も得て、目標の100万筆を大きく超える185万筆が集まったという。
    ▼同労連の難波淳介委員長は活動期間中、たびたび「発信の重要性」を指摘していた。過酷な労働実態を知ってもらうことが、署名の目標達成に大きな後押しとなっていたことをうかがわせる。
    ▼署名提出の当日、厚生労働省で行われた記者会見では、一般紙の記者から「荷物は増えているはずなのに、どうして賃金が上がらないのか」との質問が出た。日本の総物流量が減少していることや、過当競争が起こっていることなど知らないのだ。
    ▼確かに「発信」は重要だ。そして「発信」を若年労働者の確保につなげるために、さらに力を入れていく必要がある。難波委員長はこうも言っている。「過酷な労働実態ばかりではなく、産業の魅力も発信していきたい」

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