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2018年4月2日付 2696号

25メートルフルトレーラー、日本初後部解放後にセミトレーラー運行 国交省の実験に参加  西濃運輸

実験用に用いられる25メートルフルトレーラー 曲線走行時よりも中間台車の「ドーリー」の機能によりスムーズに進む

 西濃運輸(神谷正博社長)は3月29日、25メートルフルトレーラーの運行実証実験を愛知県小牧市~静岡県藤枝市間約170キロメートルで開始した。国土交通省が公募している「ダブル連結トラック実験」に参加したもので、後部荷台を切り離した後にセミトレーラーとして運行することができる、日本初の25メートルフルトレーラーとなっている。

 実験は、第一段階として4月末までの毎週木~土曜日に行われ、三重県四日市市の四日市支店と岐阜市の岐阜支店から各1台が木曜日の午後9時前後に出発。小牧市の小牧支店で連結した後、新東名高速などを走り、金曜日の午前3時ごろ静岡市の藤枝支店に到着して解放、四日市支店からの車両は静岡県富士市の富士支店経由で同県沼津市の沼津支店に向かい、岐阜支店の車両は直接沼津支店へ移動する。

 復路は、金曜日の午後9時前後に沼津支店から2台が出発して、藤枝支店で連結、小牧支店まで走行して解放後、四日市支店と岐阜支店に土曜日の午前6時前後に戻るという往復3日間の運行形態となっている。

 実験中は、連結走行区間で四日市支店と岐阜支店のドライバーが乗車するツーマン運行となるため、連結による直接的な省力化の効果はないが、将来的には連結地点までセミトレーラーを運転してきたドライバーが、反対方向から来たフルトレーラーの後部を引き取ることで日帰り運行の実現など、働き方改革につなげていく考えだ。

 後部に連結する岐阜支店の車両は、連結時以外はセミトレーラーとして運行されるため、今回「ドーリー」と呼ばれる連結機能を持った中間台車が用意された。

 連結時は、セミトレーラーのヘッド部分を外してドーリーを装着し、前部車両と接続する。

 実験に先立って小牧支店で行われたフルトレーラーの報道公開で小森紳司常務は、ネットワークの維持が同社の使命であるとの考えの下、国交省の実験に参加したと説明。実験を重ねて課題点を抽出した上で、課題を克服し、物流業界で深刻化する労働力不足対策として役立てていくとの考えを示した。

 25メートルフルトレーラーは、昨年10月に福山通運、11月にヤマト運輸が実証実験への参加を開始しており、西濃運輸で3例目。

 他社との混結運行の可能性について小森常務は、「他社とのネットワーク構築についてイメージは持っているが、現段階では具体的ではない」とし、まずは自社の車両による実験を通じて、課題点の抽出や解決方策の検討などに注力していく姿勢を強調した。

業界インターンシップの参加者減少も、意義あらためて強調 物流連が18年度計画決める  田村会長会見

会見する田村会長

 日本物流団体連合会(田村修二会長)は3月27日、東京都千代田区の学士会館で理事会を開き、物流業界インターンシップの継続開催や、シニア層の活動促進方策の検討などを盛り込んだ2018年度事業計画案を承認。理事会後の記者会見で田村会長は、本年度も引き続き物流を等身大で認識してもらうための施策や労働力不足対策に取り組んでいく姿勢を示した。

 会見で田村会長は、引越業界で利用者側に需要のピークを回避する動きがあることを前向きに評価したほか、物流施策推進プログラムで掲げる施策の実現に最大限協力していく考えを示した。また、3月9日に閣議決定された改正省エネ法で、企業連携による省エネ量を分配して報告可能としたことや、ネット通販事業者を法の対象としたこと、着荷主を準荷主と位置付け協力を求めていくことなどが盛り込まれた点について「省エネへの取り組みは、新たな局面を迎えるのではないか」との見方を示した。

 昨年9月に開催した物流業界インターンシップで、学生の参加者が減少したことについては、一般社会における1日完結型の普及により、5日間拘束される物流連のインターンシップの参加を避ける傾向が出てきたとの認識を示す一方、「各モードが全てそろっている物流連のインターンシップは重要」と意義をあらためて強調。「興味を持っている学生を集めやすくするため事務局に柔軟な対応を求めている」と語った。

 承認された18年度事業計画では◎物流施策大綱やプログラムの推進に向けた連携◎物流業界インターンシップの開催(東京都千代田区のベルサール秋葉原で8月26~30日の期間開催)◎インドを対象国とする海外現地物流実態調査の実施◎女性・高齢者の働き方改革の推進の検討―などを行っていく。

 このうち高齢者の働き方改革の推進については、60歳以上のシニア層の雇用促進を目的に、小委員会を立ち上げ先進企業の取り組みをヒアリング調査し、課題やポイントを抽出していく。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって「吉」か「凶」か(98) 『大規模金融緩和は継続(その4)』

  • ☆日通が1日付で組織改正、全国の警送事業所を事業部傘下に専業化
    ☆日通がグループCREマネジメント部を新設し不動産事業100億円規模を目指す、最先端技術に投資
    ☆佐川急便が日立物流の施設内に営業所開設、提携の取り組み加速
    ☆JR貨物が18年度事業計画発表、鉄道事業の営業利益4億円を見込む
    ☆国交省自動車局の吉永安全政策課長インタビュー、自動車運送事業者は飲酒運転の根絶を
    ☆東ト協連が1月運賃動向調査発表、運転者不足や高齢化進み8割強が希望運賃未収受
    ☆日通総研が貨物輸送見通し改訂発表、18年度の国内貨物輸送量は0.1%増に
    ☆国交省・経産省が無人航空機の目視外飛行に関する要件を公表、操縦者に教育訓練盛り込む
    ☆全国通運・杉野社長が会見、18年度は冷凍輸送拡充等で過去最高実績達成へ 「氷感SO庫」運用開始
    ☆神奈川県改善協議会がパイロット事業報告、積込時間指定などで年間拘束換算120時間超削減
    ☆東京都改善協議会がパイロット事業報告、中継地点での荷台交換で拘束時間の短縮実現
    ☆国交省が海上コンテナの陸上運送に係る安全対策会議を開催、マニュアルにフレキシタンクの液体輸送に関する事項を追加
    ☆東ト協が理事会開催、来年度事業新規重点項目に緊急輸送支援システムの再構築を盛り込む
    ☆第一倉庫が延べ床面積5千平方メートルの保税定温倉庫を開設、三井造船子会社から譲受
    ☆三菱倉庫が西神配送センターを竣工、災害に強いエコ倉庫に
    ☆日通が福岡県苅田地区に「九州オートモーティブロジスティクス支店」を新設、自動車関連顧客に特化
    ☆JIFFAが実用英語通信文講座の修了証授与式を開催

今週のユソー編集室

  • ▼きょうが新年度の初出勤という人も多いだろう。人生初の出勤で、この紙面に目を通した人もいるかも知れない。縁あって入社された物流業界での活躍を心から願う。
    ▼今、物流業界は労働力不足に悩んでいる。それは現場のドライバーや作業員のみならず、企画や営業、管理部門でも新たな価値を生み出す人材が求められている。付加価値のある輸送を企画して顧客に提案し、効率よく輸送するための計画を決め、安全・確実に現場スタッフが遂行する物流という仕事は何よりもチームプレーが大切だ。
    ▼本紙も今号から装いを改めたが、編集スタッフ一同、従前以上のチームプレーで、物流の真の姿を伝えていきたいと思う。

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