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2018年9月17日付 2717号

新東名の中継拠点「コネクトエリア浜松」は10月3日にオープン   中日本高速

 中日本高速(宮池克人社長)は、浜松市の新東名高速浜松サービスエリア(SA)下り線隣接地に、高速道路会社の事業として初となる中継物流拠点の整備を進めてきたが、9月12日に利用物流事業者の募集を開始するとともに、10月3日にオープンさせることを明らかにした。東京~大阪間のほぼ中間地点に「コネクトエリア(CA)浜松」と名付けられた中継拠点が整備されたことで、トラックドライバーの長時間労働改善など「働き方改革」に寄与するものと期待される。

 CA浜松は、中日本高速と地元トラック事業者の遠州トラックが整備を進めてきたもので、約7133平方メートルの敷地にセミトレーラー対応の駐車マスを30区画用意。安全面や防犯面を配慮し、夜間時の照明や監視カメラ、外周柵などを設置している。

 利用には、事前登録が必要で、会費は登録台数によって異なり、6台までが1台当たり月額4千円、7台以上14台までが同2千円、15台以上が同千円。

 このほか、1回当たりの利用料600円が必要で、1回の利用は原則1時間半以内。利用約款ではCA浜松の利用目的を、2台の貨物自動車同士のトラクター・シャシーの交換と運転手の交代に限定しており、休憩などについては浜松SAの利用を想定している。

 CA浜松は、大阪府吹田市の名神高速吹田ICから246キロメートル、東京都世田谷区の東名高速東京ICから224キロメートルと、東京~大阪間のほぼ中間に位置することから、トレーラー交換やドライバー交代などを行うことでドライバーの日帰り運行が可能となるなど、トラック業界で喫緊の課題となっている働き方改革につながるものと期待される。

 開場に当たり、10月3日にオープニングセレモニーを開催し、遠州トラックによるトレーラー交換の実演などを行う。

相次ぐ自然災害で運輸収入3分の2に、代行輸送の検証も  JR貨物真貝社長

会見する真貝社長

 JR貨物の真貝康一社長は12日、東京都渋谷区の同本社で行った定例会見で、相次ぐ自然災害の影響により、1日当たりの運輸収入が計画に対して3分の2程度に落ち込んでいることを明らかにした。

 真貝社長はその中で、西日本豪雨・台風21号・北海道胆振東部地震などにより列車運休が相次ぎ、1日当たりの減収額が1億数千万円に上り、3分の2程度に落ち込むなど「経営に大きなインパクトを与えている」とした反面、「西日本豪雨による山陽線の運転再開は、(予定されていた10月中よりも)早まる可能性があり、北海道地震による不通も比較的短期間となる目途がついた。その後は収入も平常に戻っていくと思う」との展望を示した。

 また、山陽線という大動脈が長期にわたって不通の状態に陥ったことについて「基幹線を強靭化することがいかに重要か、あらためて身にしみた」と語り、関係機関に在来線インフラの強靭化を訴えかけていく考えを示した。JR貨物としても、この10月から予定している基本運賃の値上げについて、労働力確保や技術革新投資の必要性から、引き続き関係者に理解を得るための営業活動を展開していくとした上で、そこで得られる原資のBCP(事業継続計画)関連投資への充当についても検討していく考えを示した。

 さらに、代行輸送についても「われわれとしては、現状で最大限の対応をしているが、それでも輸送力は通常の25%程度にとどまっている」と述べ、代行車両の駐車場、代行輸送に従事するドライバーの宿泊施設、駅の荷役スペースなどの課題があると指摘し、円滑な代行輸送の展開に向けて、検証を進めていく必要があるとの認識を示した。

 一方で社内には、安全最優先で取り組むこと、JR旅客会社・鉄道利用運送事業者・行政・地方自治体・真荷主との緊密なコミュニケーションをとること、JR貨物グループ全体で対応すること、などのメッセージを発していることを明らかにした。

今週掲載トピック一覧

  • ☆物流応援歌(6)『物流教育の重要性(二つの視点)』
    ☆日中ビジネスワンポイント(179)『上海・南通・揚州・鎮江・無錫の旅(その3、鎮江)』

  • ☆日通商事のLSセンター「川崎サテライト」新棟が竣工、同社最大規模拠点に
    ☆国交省が17年度の宅配実績公表、前年度比5.8%増加
    ☆関東ト協が事業者大会開催、難局を乗り切るために協会相互の連携密に
    ☆JA-LPAがセミナー、物流不動産とテクノロジー
    ☆交通労連が第56回年次大会、18春闘の中小組合の健闘をたたえる
    ☆ヤマト労組定期大会、サービスの品質を守りながら魅力ある労働条件を
    ☆JR貨物、北海道地震で札幌タ~帯広貨物間のトラック代行輸送 22日全線開通へ
    ☆通運連盟が10月29日に仙台で通運フォーラム開催、会員事業者の連携促進へ
    ☆日本郵便など5社で宅配ルートの改善可能性を検討するため「情報銀行」の実証実験
    ☆パスコとナビタイムジャパンが配送効率化で提携、3年で300社目標に
    ☆住友商事、インドネシア大手財閥のリッポーグループの宅配事業者へ出資
    ☆国交省森事務次官が会見、運輸業は災害に対しBCPの備え万全に
    ☆国交省が25日に建物用途に関係なく宅配ボックス設置部分を容積率規制の対象外とする改正建築基準法施行
    ☆国交省が本省内に霞ヶ関初の宅配ボックス設置、再配達削減目的に
    ☆全日通商事労組が第38回定期全国大会、変革に挑戦する覚悟を
    ☆エコモ財団のグリーン経営認証、8月の新規登録数はトラック14事業所
    ☆エモ財団、グリーン経営認証永年登録事業者として4社目のラッピング車両の走行開始
    ☆YLCがメルカリに「あんしんスマホサポート」提供開始、スマホ売買時のデータ消去など

今週のユソー編集室

  • ▼6日の「平成30年北海道胆振東部地震」発生から約10日が経過した。
    ▼時間の経過につれて被害の状況が明らかになってきたが、今回の地震では道内全域にわたる停電が道民の日常生活と復旧活動に大きな影を落としたことが強く記憶に残る。
    ▼主要発電所の緊急停止を受け、電力の需給バランスを調整して周波数を安定させるというシステム上の設定が道内の広域にわたる電力ネットワークに影響を及ぼしたものだと説明されても、すぐに納得できる人は多くないだろう。
    ▼システムの話ではなく、命や生活の確保のために必要なインフラとはどうあるべきかを常に最優先に考えておく姿勢が、企業と国に求められている。

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