物流・輸送の専門紙、輸送新聞はこれからも輸送産業の発展に貢献してまいります。

文字サイズ

2018年9月24日付 2718号

「ホワイト経営」の可視化制度検討 「一つ星」の認証取得は全事業者の半数が可能な水準に 「二つ星」以上は3年目から  国交省

 国土交通省は19日、東京都千代田区の同省で第2回自動車運送事業のホワイト経営の「見える化」検討会を開き、働き方改革に積極的に取り組む自動車運送事業者の認証制度に関する審査項目や認証基準について審議。6~7月に実施したアンケート調査の結果などを踏まえ、3段階評価での入り口となる「☆(一つ星)」については、全事業者の半数が取得できる水準とする方針を固めた。

 6月の第1回会合では、認証制度の基本的な考え方として①「一つ星」「二つ星」「三つ星」などの段階を設ける②認証に当たっては業界標準よりも高い水準を要求する③中立的な民間団体による運営を想定する④書類作成に慣れていない事業者でも申請しやすいように分かりやすく、書類作成の負担が小さい制度設計に留意する―ことなどを盛り込んだ事務局案が示され、大筋で承認された。第1回検討会開催後の6~7月に労働組合と事業者にアンケートを実施。トラック事業者については、全日本トラック協会経由で108件の回答を得た。

 アンケートでは、審査項目案(トラックでは64項目)についての現行での達成度や負担できる手数料の限度額などを尋ねた。

 審査項目については、1項目ごとに「すべての営業所・車両等で基準を満たしている」で2点、「一部の営業所・車両等で満たしている」で1点を加点する方式とし、トラックでは128点満点で認定割合などのサンプルが導き出され、75点が「回答者の上位50%」(一つ星レベル)のラインとなった。

 第2回検討会で示された新たな認証項目案では、アンケート実施後に項目が追加されているため、満点や基準となる点数が引き上げられる可能性が高いが、違反や処分がなく、グリーン経営認証やGマークなどを保有していれば、「一つ星」は容易に取得できるものとみられる。

 認証の取得単位は、「事業者」とするが、複数の都道府県に事業所を有する事業者は、申請者の選択により、都道府県単位でも申請可能。認証の有効期間は、当面2年間とするが、制度の定着状況を踏まえ、2回目以降の認証については期間延長を検討する。
 初年度となる2019年度は「一つ星」のみ申請を受け付け、最初の更新を迎える21年度以降に「二つ星」と「三つ星」の申請を受け付ける計画。

 要求水準については「二つ星」で「全事業者の上位25%」、「三つ星」で「全事業者の12・5%」とする。

 アンケートではこのほか、申請の意向についても調査しており、トラックでは「申請する方向で検討」28%、「おそらく申請する方向で検討」36%と、合わせて60%で申請に前向きな回答が得られた。負担手数料の限度額は、トラックでは「5万円」が29%で最も多かった。

 来年度の制度開始に向け、年度内にも認証団体の公募を行うが、制度名については、「ホワイト認証を受けていないとブラック企業と判断されるのではないか」との懸念があることや「ホワイト物流実現国民運動(仮称)」と混同される可能性があることから、「ホワイト経営」以外のネーミングを今後検討する。

「PUDO」を発送窓口に「ヤフオク!」で連携 非対面で受け付け  ヤマト運輸 ヤフー

 ヤマト運輸(長尾裕社長)とヤフー(川邊健太郎社長)は19日、ヤフーが提供するネットオークション・フリマアプリ「ヤフオク!」で、商品をオープン型宅配ロッカー「PUDO(プドー)ステーション」から発送できるサービスを開始した。
 出品者は、出品時に配送方法として「ヤフネコ!パック」を、発送方法として「PUDO」を選択し、落札者が発送方法で「ヤフネコ!パック」を選択すると、駅など公共スペースに設置された全国3千ヵ所以上の「PUDO」を、「ヤフネコ!パック」の発送窓口として利用できるもの。

 「PUDO」を宅配便の発送窓口として活用するケースは初めてで、両社はこれにより、幅広いユーザーのニーズに応えることができるとしている。

 利用の具体的な手順は次のとおり。

 ①出品者は「ヤフオク!」で出品する際の配送方法に「ヤフネコ!パック」を選択し、発送方法として「PUDO」を選択する。

 ②落札者からの支払い連絡が完了した後、取引ナビで出品者のスマホ上に二次元コードを発行する。出品者は「PUDO」に荷物と二次元コードを持ちこむ。

 ③「PUDO」にスマホ上の二次元コードをかざし、発送手続きを行う。配達日・時間帯の指定が可能。

 なお、「PUDO」では原則的に24時間365日の発送が可能だが、設置場所によっては利用時間が限られる場合がある。

 また、宛名書きなしでの発送を可能とする「ヤフネコ!パック」は、この8月27日から、出品者・落札者ともに互いの住所・名前等の情報を知らせずに商品を配送する機能「匿名配送」を開始しており、10月16日からは出品する際に送料を出品者負担にすることで、全国一律の送料で発送できるようになる予定。発送窓口としては、「PUDO」のほかに、全国約4千ヵ所のヤマト運輸営業所、約1万6千ヵ所のコンビ二エンスストアなどが利用可能。

今週掲載トピック一覧

  • ☆アベノミクス物流にとって『吉』か『凶』か(109)『来年10月の消費税増税は粛々と実施されるのか(その5)』
    ☆四文字 『不況期の決断「運賃改定」』
    ☆人物ウィークリー、(一社)東京都トラック協会・浅井隆会長

  • ☆国交省、目視外補助者なしドローン荷物配送のガイドライン公表
    ☆国交省の松本物流審が就任会見、SIP「スマート物流」の早期社会実装目指す考え示す
    ☆トナミ運輸労組が定期大会、物販改革や新賃金など職場に根差す活動を
    ☆総務省が特定信書便事業の概況発表、参入着実に増加し事業者は510者に
    ☆JR貨物、西日本豪雨の不通区間は30日に全て解消へ
    ☆第一貨物、食品・医薬品向けに保冷配送スタート
    ☆SGムービング、車載用リチウムイオン電池の回収スキーム構築
    ☆センコーグループ、技能コンテストを開催
    ☆ヤマト運輸、短時間勤務の選択肢を追加し働きやすい環境へ
    ☆鴻池運輸、来年4月に大阪木津卸売市場内に高級食材の加工場操業開始へ
    ☆LEVO、物流のCO2削減補助で3次公募開始へ
    ☆ヤマト運輸労組、ヤマト福祉財団等にカンパ金を寄付
    ☆日通相撲部、全日本実業団大会で団体戦2連覇

今週のユソー編集室

  • ▼先日、某超大手ネット通販で買い物をした時のこと、注文翌日配達のはずが、何の連絡もないまま当日に配達され、ポストに不在票が入っていた。
    ▼慌てて不在票に記載された携帯電話に連絡してみると、拙い日本語で「これから配達に行く」と言う。果たして配達に来てくれた方は、物腰の柔らかな東南アジア系と思われる女性だった。
    ▼その宅配会社の社長は、以前「外国人は使っていない」旨の発言をしていたので、彼女が外国人と速断はできないが、ネット通販の隆盛を考えれば、こうしたケースは増えていくのだろう。今はただ「外国人が安い賃金で宅配業務に従事している」わけではないことを願いたい。

戻る