「ホワイト経営」の可視化制度検討 「一つ星」の認証取得は全事業者の半数が可能な水準に 「二つ星」以上は3年目から 国交省
国土交通省は19日、東京都千代田区の同省で第2回自動車運送事業のホワイト経営の「見える化」検討会を開き、働き方改革に積極的に取り組む自動車運送事業者の認証制度に関する審査項目や認証基準について審議。6~7月に実施したアンケート調査の結果などを踏まえ、3段階評価での入り口となる「☆(一つ星)」については、全事業者の半数が取得できる水準とする方針を固めた。
6月の第1回会合では、認証制度の基本的な考え方として①「一つ星」「二つ星」「三つ星」などの段階を設ける②認証に当たっては業界標準よりも高い水準を要求する③中立的な民間団体による運営を想定する④書類作成に慣れていない事業者でも申請しやすいように分かりやすく、書類作成の負担が小さい制度設計に留意する―ことなどを盛り込んだ事務局案が示され、大筋で承認された。第1回検討会開催後の6~7月に労働組合と事業者にアンケートを実施。トラック事業者については、全日本トラック協会経由で108件の回答を得た。
アンケートでは、審査項目案(トラックでは64項目)についての現行での達成度や負担できる手数料の限度額などを尋ねた。
審査項目については、1項目ごとに「すべての営業所・車両等で基準を満たしている」で2点、「一部の営業所・車両等で満たしている」で1点を加点する方式とし、トラックでは128点満点で認定割合などのサンプルが導き出され、75点が「回答者の上位50%」(一つ星レベル)のラインとなった。
第2回検討会で示された新たな認証項目案では、アンケート実施後に項目が追加されているため、満点や基準となる点数が引き上げられる可能性が高いが、違反や処分がなく、グリーン経営認証やGマークなどを保有していれば、「一つ星」は容易に取得できるものとみられる。
認証の取得単位は、「事業者」とするが、複数の都道府県に事業所を有する事業者は、申請者の選択により、都道府県単位でも申請可能。認証の有効期間は、当面2年間とするが、制度の定着状況を踏まえ、2回目以降の認証については期間延長を検討する。
初年度となる2019年度は「一つ星」のみ申請を受け付け、最初の更新を迎える21年度以降に「二つ星」と「三つ星」の申請を受け付ける計画。
要求水準については「二つ星」で「全事業者の上位25%」、「三つ星」で「全事業者の12・5%」とする。
アンケートではこのほか、申請の意向についても調査しており、トラックでは「申請する方向で検討」28%、「おそらく申請する方向で検討」36%と、合わせて60%で申請に前向きな回答が得られた。負担手数料の限度額は、トラックでは「5万円」が29%で最も多かった。
来年度の制度開始に向け、年度内にも認証団体の公募を行うが、制度名については、「ホワイト認証を受けていないとブラック企業と判断されるのではないか」との懸念があることや「ホワイト物流実現国民運動(仮称)」と混同される可能性があることから、「ホワイト経営」以外のネーミングを今後検討する。